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総務省統計局「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」に見る東京都からの脱出やいかに?

一昨日の6月30日付けで総務省統計局から「統計Today No.157」として、「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」と題するリポートが公表されています。

『住民基本台帳人口移動報告』からのリポートで、実は、6月10日にも同じ『住民基本台帳人口移動報告』を基にした3月と4月の国内移動のリポートが「統計Today No.156」として公表されていますが、後者の「統計Today No.156」は通常の年度替わりの移動や引越しシーズンの特徴を取りまとめただけなのに比べ、前者の「統計Today No.157」ではタイトル通りに緊急事態宣言との関連に焦点が当てられています。

実は、私はこの「統計Today」というシリーズは書いたことがないのですが、別シリーズの「統計リサーチノート」というのは、統計局に出向していた際にいくつか書いた記憶があります。

それはともかく、グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。なお、この『住民基本台帳人口移動報告』では、あくまで引越しに伴う移住のことを「移動」と定義していますので、電車に乗って買い物に行ったり、通勤とか、宿泊を伴うとしても旅行なども、この統計で定義する「移動」ではありません。この点は注意が必要です。

また、統計局より1日早く、6月29日付けでみずほ総研から同じ趣旨の「コロナで東京の転入超過数が急減」と題するリポートも明らかにされています。こちらもご参照かもしれません。



上のグラフはリポートから引用していて、最近7年間の月別の東京都の転入超過数をプロットしてあります。

リポートのタイトルこそ、「国内移動」と気張ってはいますが、実は、このリポートは緊急事態宣言下での東京への人口流入に焦点を当てています。

そして、上のグラフから明らかな通り、外国人を含む移動者数の集計を開始した2013年7月以降初めて、わずかに1000人余りではありますが、緊急事態宣言中の2020年5月に東京都は転出超過を記録しています。

どこまで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のための緊急事態宣言が影響したのかは、少なくとも現時点では不明ながら、何らかの関係を強く示唆されていると感じるのは私だけではないと思います。

ここ数年で月単位で見ても、東京に移り住む人の数が一貫して東京の外に出る人数を上回っていたにもかかわらず、緊急事態宣言が出された後の今年2020年5月にはこれが逆転し、ネットで見て東京から外に移り住む人の数の方が多くなったわけです。

どうでもいいことながら、我が家のカミさんと私は3月に東京から移り住んでいます。



まず、地域的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、道府県別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。明らかに東京近郊の首都圏から東京に移り住む人の数が減っていることが理解できます。

首都圏のほかでは、大阪府、愛知県、福岡県といった人口の大きな府県が続いています。でも、大雑把にいって、埼玉県、千葉県、神奈川県からの転入が減っていることが大きな要因です。



次に、年齢的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、5歳階級の年齢別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。

20歳代前半をピークにして、大雑把に、年齢とともに徐々に転入超過者数のマイナス幅が小さくなっており、明らかに若年層を中心にした東京転入減だということが理解できます。

すなわち、これらのグラフを並べると、首都圏3県から20代を中心に、おそらく、進学や就職などの機会で東京に移り住むのをヤメにして、地元から通学・通勤する方を選択した人が昨年より多くなった、という結果なのであろうと想像されます。

そして、時期的に2020年5月が緊急事態宣言下であったということは、要因のひとつがCOVID-19であろうという点も示唆されている気がします。ただし、東京一極集中はともかく、首都圏への集中が緩和された、ということにはならないんではないか、と私は受け止めています。

最近、東京でのCOVID-19感染者数がジワジワと増加の兆しを見せていて、1日あたりで今日は100人超との速報を見ました。 クラスターの発生した周辺を重点的に検査しているから、との発表もあるようですが、この東京からの純転出という統計は、現在、東京都知事選挙の終盤戦で、小池都政への批判もひょっとしたら含まれているのかもしれません。たぶん、違うとは思いますが。

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