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香港に歴史的転換点、中国が安全法案可決 民主派政治団体は解散


[香港 30日 ロイター] - 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は30日、香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法案」を可決した。可決を受け、香港の民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らは民主派政治団体「デモシスト(香港衆志)」からの脱退を表明。デモシストは解散を発表した。1997年に英国から中国に返還されて以降、高度な自治が保障されてきた香港は、歴史的な転換点を迎えた。

中国国務院(内閣)新聞弁公室は香港国家安全維持法に関する政府当局者による記者会見を7月1日午前10時(日本時間午前11時)に開くと発表した。

同法の詳細はまだ公表されていないが、中国は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託の4つが処罰対象になるとしている。

中国国務院(内閣に相当)の香港マカオ事務弁公室傘下のシンクタンクの幹部、Lau Siu-kai氏はロイターに、国家安全維持法は賛成票162票を集め、全会一致で可決されたと明らかにした。ただちに施行するとみられる。

環球時報の胡錫進編集長は30日、同法の下で科すことのできる最も重い処罰は終身刑と述べた。

こうした中、民主活動家の黄氏は、「デモシスト(香港衆志)」から脱退すると表明。「世界が知っている香港の終わりを意味する」とツイッターに投稿した。

欧米諸国は、「一国二制度」下で保障される香港の高度な自治が損なわれると警戒感を強めており、中国と欧米諸国の対立が一段と強まる恐れがある。

米政府は29日、国家安全維持法の制定をにらみ、香港に対する優遇措置の縮小に乗り出した。香港への防衛機器の輸出を停止し、香港によるハイテク製品へのアクセスを制限する。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は30日、同法案についてコメントするのは適切ではないと述べた上で、「いかなる制裁措置もわれわれを脅かすことは決してない」と述べて米政府の動きをけん制した。

<中国の締め付け強まる>

国営新華社通信は今月、国家安全維持法の一部詳細を伝えた。それによると、新たな国家安全法制は香港の現行法に優先し、全人代常務委員会が法解釈の権限を持つ。

中国政府は香港政府の「監督、指導、支援」のために香港に国家安全維持公署を設置する見通しで、特定の案件で中国政府が管轄権を行使する可能性もある。

国家安全法に関する案件を審理する裁判官は行政長官が指名する。香港はこれまで、司法の独立を確保してきた。

中国と香港の当局はこれまで繰り返し、国家安全法制はごく一部の「トラブルメーカー」だけを対象としており、香港における人権や言論・集会の自由、投資家の権利は守られると述べてきた。

香港政府はただちに新法を公布、施行するとみられる。

<民主派に抗議の動き>

香港の警察当局は新型コロナウイルス対策の行動制限を理由に、香港返還から23年となる7月1日の集会を禁じた。

複数の活動家や民主派の政治家は禁止令に反して集会を実施する意向を示している。

民主党の胡志偉主席は「国家安全維持法が香港の法律より優先させるとしても、同法の可決を絶対受け入れない」と述べた。

1日までに国家安全維持法が施行された場合、集会への参加が犯罪行為とみなされるかどうかは不明。

英、欧州連合(EU)、日本、台湾は、国家安全維持法を批判してきた。

日本政府の菅義偉官房長官は30日午前の会見で、中国による香港国家安全維持法案が可決されたなら、香港と緊密な経済関係と人的交流がある日本にとって遺憾だと述べた。

台湾は新法を強く非難し、蔡英文総統は「非常に失望した」と述べた。

欧州連合(EU)欧州議会は先に、香港に国家安全法制が導入された場合、中国政府を国際司法裁判所に提訴するようEUに求める決議を採択している。

*内容を追加しました。

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