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孤立死と少子化は私たちが望んだもの?「しがらみ」失い孤立する社会の生きづらさ

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写真AC

社会はいつも進歩している。が、どんな社会にも問題はあり、令和の日本も例外ではない。

孤立した人々とその結末としての孤立死。少子化。メンタルヘルスの問題。昭和に比べて、ずっと健康的で清潔で快適な社会で暮らしているはずなのに、昭和より生きやすくなった、楽に暮らせるようになったと感じている人はそれほど多くない。

社会が大きく進歩したのに、私たちが生きづらさを感じているのはなぜか。ここでは、その必然的な一側面を紹介しようと思う。

孤立死が増えていく社会は、私たちが望んだ社会

平成の後半あたりから、テレビや雑誌で孤立死という言葉を頻繁に見かけるようになった。少し古いが、平成22年版高齢社会白書(内閣府)の資料によれば、孤立死は右肩上がりに増加している。そのほかの資料でも、平成22年以降、孤立死の増加傾向は続いているという。もちろんその一因は、社会の少子高齢化が進行したことによる。

孤立死の発生状況 平成22年版高齢社会白書より

少子化については後で触れるとして、高齢化について少し考えていただきたい。

どうして社会が高齢化すると、孤立死が増えるのか?

たくさんの人が年を取ったとしても、お互いが人間関係で繋がりあい、孤立していなければ孤立死などしないはずである。孤立死が増えるのは、たくさんの高齢者が、いや、たくさんの中年や若者までもが孤立しているからではないだろうか。

内閣府の資料によれば、わが国では単一世帯が増えているだけでなく、「ほとんど会話をしない高齢の一人暮らし」が諸外国と比べて著しく増えている。ただ高齢化しているだけでなく人間関係の乏しい高齢者が増えているのだ。中年や若者でも、「オンラインのコミュニケーションはしているが、オフラインのコミュニケーションは乏しい」人は珍しくない。

孤立や孤立死は社会問題とみなされ、改善しなければならないと語られる。だが、孤立や孤立死の「原因」について、私たちはどこまで踏み込んで改善しなければならない・改善したいと思っているのだろうか。

昭和以前のライフスタイル、とりわけ農村的な地域共同体のライフスタイルを思い出していただきたい。

その頃の地域共同体には「しがらみ」があった。町内会や葬祭を共同で運営するだけでなく、お互いに噂話をし、お互いに助け合った。すでに核家族化は進んでいたが、血縁者の大半は生活圏内で暮らしていたので、血縁を通じた「しがらみ」も多かった。「しがらみ」の多い社会では、人と人が頻繁にかかわりあうから、孤立や孤立死はなかなか発生しない。

「しがらみ」とも呼べる人々の結びつきは徐々に薄くなっていった 写真AC

「しがらみ」というからには、もちろんネガティブな側面もついてまわる。地縁や血縁のなかに面倒な人物や気難しい人物がいたとしても、否応なく付き合わなければならなかった。年功序列や男尊女卑が残っていたから、女性や若者はとりわけ苦労した。地域の行事に参加したくないと思っていても、そういうわけにはいかない。人間関係だけでなく、スケジュールまでもが束縛されるのが地域共同体の「しがらみ」で、プライバシーの成立する余地も乏しかった。

だから、高度経済成長で豊かになった人々が地域共同体から離れていったのは理解できることではある。歴史も共同体もまっさらなニュータウンやマンションに移住すれば「しがらみ」から解放される。付き合いやすい相手とだけ付き合い、プライベートなスケジュールを持つこともできる。それが街の常識になり、やがて世間の常識になればみんなが自由になる。自由やプライバシーを手放してまで「しがらみ」を強いられるライフスタイルに戻りたいと願う人は、ほとんどいるまい。

しかしみんなが自由になり、付き合いやすい相手とだけ付き合うようになった時、面倒な人物や気難しい人物は、いったい誰と付き合えば良いのだろう?

付き合う相手や時間を自由に選べるようになれば、他人もまた、付き合う相手や時間を自由に選ぶ。そうなると、面倒な人物や気難しい人物は敬遠されやすくなり、孤立しやすくなる。自由選択の結果としての孤立は、いまどきの常識にかなったもの・自由やプライバシーの感覚にかなったものだから、そう簡単には否定できない。少なくとも地域共同体に回帰し、面倒な人物や気難しい人物と一緒に過ごしたいと考える人は稀だ。

そう考えるのは人間関係に困っていない人々だけではない。孤立している当人自身が「しがらみ」を忌避する常識にもとづき、人間関係を強制されたくないと考えていたりする。

孤立死は私たちが望んだものなのか 写真AC

繰り返すが、孤立死はひとつの社会問題であり、解決すべき課題である。

だが、孤立死が起こりやすい現在の日本社会は、地域共同体の束縛から逃れ、個人の自由やプライバシーをみんなが求め、それが常識になっていった帰結でもある。だとしたら、孤立死とは社会が、いや、私たちが望んだ結果ではないだろうか。

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