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  • ヒロ
  • 2020年06月30日 10:42

フェイスブックの苦悩

フェイスブックのマーク ザッカーバーグ氏ほど精神的に楽にならない経営者も少ないかもしれません。2018年にたびたび起きた個人情報流出問題ではアメリカ議会で証人喚問を受け、厳しい糾弾を受けました。その時、ザッカーバーグ氏に浴びせられたその言葉とは「フェイスブックは(対策を)何もしない!」でありました。

2019年にはフェイスブックが主導しようとしていた仮想通貨「リブラ」について米議会が再びかみつき、議会の金融サービス委員会で証言を求められます。ネクタイ姿のザッカーバーグ氏が再びテレビに映し出されたのは記憶に新しいところです。

アメリカの数多くの企業、そしてGAFAと言われる巨大IT企業でこれほど社会を揺るがす話題をしばしば提供する会社も珍しいかもしれません。そして2020年に再び襲ったフェイスブック問題は議会というよりスポンサーである企業がより強く反応し始めています。

それは再度起きた「フェイスブックは何もしない!」に原点があります。同社はトランプ大統領の投稿などを通じて社会を分断するようなことを放置したとされます。ザッカーバーグ氏とチャン夫人が設立する慈善団体所属の科学者などからは警官による黒人殺害事件を受けたデモに関し、トランプ大統領の投稿が「誤情報と扇動的な発言の両方を拡散することを許し、暴力の扇動を禁止する同社のポリシーに自ら違反した」と書簡を送ったとされます。つまり自分のおひざ元からも強い声が上がっていたわけです。

ところがザッカーバーグ氏は動きませんでした。これに反応したのが広告主の企業で現時点で広告中止を発表したのはユニリーバ、スターバックス、ホンダ、コカ・コーラ、ペプシコ、リーバイスなどで拡大の一途を辿っています。同社は広告収入がほとんどであるため、このような著名企業が広告を中断すると発表すれば逆にそこに広告を載せ続けることが社会的に許されなくなるという雰囲気を増長します。

今、企業が広告を出すにあたり従業員の声が最も大きくなりつつあるのがアメリカの実情です。「俺が勤める会社がこんなところに広告を出すなら俺は会社への忠誠心はもう持たない!」と声を上げ、正義感溢れるこのような声は従業員に瞬く間に広がり、会社のマーケティング部門に「なぜ広告を止めないのだ」と迫るわけです。

企業も社会的存在意義と社会的責任(CSR)をうたっている以上それがどれだけ効果的である広告媒体であっても「残念ながら」とあっさり手を引くばかりか、「広告中止!」という発表そのものに喝采すら起こる事態になっています。

ザッカーバーグ氏の気持ちとは何でしょうか?フェイスブックを通じた発言は個人の表現の自由であり、介入への厳密で詳細な定義が存在しない中、苦悶しているというのが正直なところではないでしょうか?アメリカを中心とする西側社会は言論の自由があり、中国の思想教育、洗脳と対極的であります。つまり、自由であることを標榜するが故に検閲的なことはできないというのが本音でしょう。

仮に「有名人は影響力があるから特に監視体制を行う」としたら企業の存在価値と存在意義そのものがなくなります。耳障りの良い事だけを述べて世の中が平穏に終わればこれほど楽なことはありません。ところが、残念ながら我々は様々な思想、教義、常識観、人種、宗教的バックグラウンド、職業、年齢、性別、社会的地位、受けてきた教育などを介して数多くのカテゴリーに分類されてしまいます。

当然ながら発言に対して万人が喝采することなど100%ないのです。そして99.9%の人が賛意を示したその答えが絶対に正解であるとも断言できません。世の中に正解はたくさんあるわけで、事象の背景に基づき、一定の論理性があるならばそれはそれで一応、正解なのです。問題はそれに強く同意する人がいるかどうかでありますが、フォロワーはあくまでも二次的なものです。

トランプ大統領は本質的には社会を分断するつもりはなかったと思われるし、その発言は大統領としては放置できない状況にあったために行ったのかもしれません。その機会を奪うのはフェイスブックとしては正しくないのではないか、こうザッカーバーグ氏が考えたとしたらどうでしょうか?

私はフェイスブックが社会分断を増長したなどとは思わないし、それを言い出す企業側に自己保身と自分の利益を考えた狭い心があるようにも感じます。つまり、今回はフェイスブックは被害者で社会の風当たりを強く受けてしまった、そんなふうに感じるのであります。

では今日はこのぐらいで。

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