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7月1日から有料化のレジ袋は環境保護の厄介者か? エコバッグにはコロナ感染の懸念も

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スーパーやコンビニなどでのレジ袋の有料義務化が7月1日から始まる。実際に店舗を訪ねてみると様々な形でアナウンスされているものの、実は多くの波乱を含んでいるようだ。

このコロナ時代にエコバッグを奨励し、ウイルスが付着している可能性を拭えないままにコンビニやスーパーに持ち込ませるのか。そして、そのエコバッグに「袋詰め」するのは店側か、はたまた消費者なのか…。

国からは、なぜレジ袋だけが環境に悪影響を及ぼすのかに関する科学的な説明はさっぱり聞こえてこない。そもそも、なぜレジ袋は有料化する必要があったのだろうか。考えてみた。



地球環境保護の前提はトレードオフ レジ袋の場合は

6月初旬、いつものようにスーパーを訪ねてみると、売り場にはポリ袋の棚がこれまでになく充実していることにふと気がついた。レジ袋(100枚入り)が何種類か並んでいたので、いちばん安い92円の商品を1袋購入した。1枚あたりでは0.92円だ。

7月から有料化となれば、大手コンビニなら1枚3円でレジ袋を買うことになるため、節約のための準備だ。スーパーにはエコバッグを持参するものの、コンビニでもらうレジ袋は捨てずに家のごみ箱の内袋などにして再利用している。棚の充実ぶりは、他の家庭でも同様のニーズが多いことを物語っているようだ。100円ショップでも完売の店があるらしい。

マイエコバッグならぬ、マイレジ袋。これまでは無料が当たり前だったスーパーやコンビニのレジ袋が有料となる。価格は店舗ごとに決まるというが、消費税が10%漏れなく課せられる立派な商品だ。となると、スーパーやコンビニのロゴマークが入っているかもしれない3円のレジ袋を買うより、1枚1円しないマイレジ袋を携行するのが、庶民の“新しい生活様式”ではないか。

レジ袋は便利だ。雨天のときに自転車のサドルを包んだり、畑で採った野菜を入れたり、犬の散歩に持ち歩いたりと、多くの人に重宝がられている。

一方、世界各国のレジ袋規制は厳しさを増している。次々と課税・有料化・禁止といった流れになっているのが昨今の動向だ。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13では、2030年までに海洋汚染の防止・大幅削減が目標とされているものの、この度の日本ではレジ袋禁止にならず、有料化に止まった。



対象外となった袋(地球環境保護のためによいとされる袋)の顔を立てたのだろうか。あちらを立てれば、こちらが立たず。環境と消費は、一方を得るには他方を犠牲にする、いわゆる一得一失の「トレードオフ」の関係と言われるが、この度は「一得半失」といったところか。

プラスチックの大量生産はわずか50年で20倍に拡大した。それは人々の生活に恩恵を与える一方、いまでは年間800万トンのプラスチックごみ(以下、プラごみ)が海に捨てられる皮肉な結果を生んだ。丈夫な素材だから、いったん海洋に廃棄されれば分解されるまで数百年かかってしまい、現状のまま打つ手なく汚染が進めば、2050年までに世界の海は魚と同量のプラごみで埋め尽くされるという。

プラごみは世界中で年間300頭の海洋生物を死に追いやった。プラごみと知らずに誤飲してお腹を膨らませ、餓死したクジラやイルカ、ストローが鼻に突き刺さったウミガメの痛々しい写真は記憶に新しい。また海中で細かく粉砕されたマイクロプラスチックは生態系に入り込み、人の生命を脅かす恐れもある。いや、もう現実となっているという説もある。いま私たちは、海洋ごみと正面から向き合わねばならない崖っぷちに立たされている。



「実はレジ袋はエコ」 その真偽は?

それにしても、なぜ、レジ袋だけが目の敵にされるのか? 有料義務化を、消費者へのペナルティーのように感じるのは筆者だけだろうか。有料でよければどうぞと、暗にレジ袋辞退を勧めているようでもある。レジ袋は、「もらわないほうがよいプラ」の筆頭にされた格好だ。ペットボトルや、発泡スチロールや、食品トレーと、プラごみにもいろいろあるはずなのに、なぜだろうか。 包装用品メーカー・清水化学工業のサイトが、その問いに逆説的に答えてくれている。

「脱プラ、脱ポリ、紙袋へ 切り替えをご検討のお客様へ」「ポリ袋は実はエコなんです」というタイトルで、ポリ袋(レジ袋)は環境に負荷をかけないものだと列記している。

例えば、その材料であるポリエチレンは(焼却しても)ダイオキシンなどの有害物質を出さない。ポリエチレンは石油精製時に出る素材からできるため無駄がなくエコだという。ポリ袋は自治体の出すごみの0.4%にすぎない。日本では、サーマル(焼却)リサイクルされているので燃料となり無駄がない。レジ袋は再利用率が高い、など。すんなりと納得できる話ばかりだ。

次の一文に、有料義務化に対するレジ袋メーカーの無念が窺える。

“容積ベースではポリ袋は海洋プラごみのわずか0.3%なのに、現在象徴的に非難されています。原因のウエイトと対策のウエイトが乖離しています”

容器包装リサイクル法(以下、容リ法)の省令改正により、レジ袋有料義務化が決まったのは2019年12月。その直前3ヶ月の間、環境省と関係省庁が設置した合同審議会「レジ袋有料化検討小委員会」が開かれていた。

環境省は2016年度、稚内、根室、函館(北海道)、遊佐(山形県)、串本(和歌山県)、国東(大分県)、対馬、五島(長崎県)、種子島、奄美(鹿児島県)の10地点で漂着ごみの調査を行なっている。その結果に基づき合同審議会に提供した資料にも次のように明記している。

「レジ袋は海洋ごみのわずか0.3%」

容積ベースでみても、1位はその他プラスチック、2位は漁網・ロープ、3位は発泡スチロールブイ。0.3%のレジ袋は10ある区分のうち最下位だった。



海洋ごみは大陸の河川から流出する

合同審議会(環境省・経産省)が募集したパブリック・コメントのなかにも、レジ袋をなぜ海洋ごみの元凶のように決めつけるのかと、制度設計を疑問視する声も少なくなかった。以下抜粋する。

・レジ袋のプラスチックごみ全体に占める割合は2%程度であり、仮にレジ袋がゼロになったとしても海洋ごみや地球温暖化などの解決には程遠い。
・海洋ごみ対策なら、不法投棄を取り締まればいいだけである。
・ごみ袋は自治体が回収し焼却するため、マイクロプラスチックによる海洋汚染とは無関係であり、レジ袋有料化は無意味。

あたかもレジ袋有料化で問題が解決するかのような風潮が感じられる。ペットボトル、漁具、トレイ、タイヤ粉塵、衣類の繊維クズ、スクラブ洗顔剤のマイクロビーズ、タバコフィルターに対して、いますぐ対策する必要があるのではないか、など。

こうした意見に対する環境省・経産省の回答は、上記パブリック・コメントと同時に「結果」として発表されたが、海洋ごみとレジ袋の本質的な関係については沈黙するばかりだ。

“ 資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化といった地球規模の課題を踏まえ、これらに対応しながらプラスチック資源をより有効に活用する必要性が高まっているところです。こうした背景を踏まえ、2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、その重点戦略の一つとしてリデュース等の徹底を位置づけ、その取り組みの一環として、「レジ袋有料義務化(無料配布禁止等)」を通じて、消費者のライフスタイル変革を促すことにしています”

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