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韓国・文在寅が夢を描いた「日本依存脱却」からはや1年…コリアで地獄が進行した

脱日本化はその後どうなったのか

韓国の半導体産業の「脱日本化」の行方は今、どうなっているのでしょうか。「日本の誇るべき技術」をそう簡単に代替できるのでしょうか。昨年7月1日に、経済産業省が「ホワイト国」から韓国を除外する方針を示すとともに、特定品目である、フッ化ポリイミド、フォトレジスト、フッ化水素を包括輸出許可から個別許可に切り替えると発表しました。

これを受けて、韓国の文在寅大統領が日本への依存度が高い素材・部品部門の国産化を進め「脱日本」を強調し、輸入品の日本依存からの脱却を図り、「国産化」を模索することとしていました。あれから1年を迎えようとしています。「脱日本化」は成功したのでしょうか。

日韓貿易戦争
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/panida wijitpanya

韓国政府は昨年7月1日の措置を、日本政府による徴用工問題などに対する事実上の報復措置として受け止めて反発し、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄やホワイト国からの日本除外、WTO(世界貿易機関)への提訴などの事実上の対抗措置をとるにいたりました。韓国内でボイコットジャパン、日本製品の不買運動や日本への旅行自粛が広がり、日韓関係は国交正常化後で最悪ともいえる状況に至りました。

韓国半導体産業の日本依存度は非常に高い

輸出管理の強化以前の韓国半導体産業の日本依存度は非常に高いです。2019年のJETROの「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」のデータによると、韓国貿易協会が19年7月2日に「日本半導体素材輸出規制関連統計」を発表しており、輸出審査が必要となる3品目(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)について、19年1~5月のフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの対日輸入依存度は、それぞれ43.9%、91.9%、93.7%だったことを公表しています。

日本のレジストの技術はそう簡単に代替できるようなものではないのです。半導体の微細加工工程で使われるEUV(極端紫外線)向けのフォトレジストは日本企業が世界でも圧倒的に強く、世界市場の約9割を占めており、JSR、東京応化工業、信越化学工業、住友化学、富士フイルムなどが主要メーカーです。

現実問題、脱日本が難しい「レジスト」

フォトレジストの品質の高さには歴史があります。レジストと一緒に用いる重要な装置である露光装置について、1980年代以降キヤノンやニコンといった日本メーカーが急速に技術力を高め、米国メーカーを超えるまでに至りました。この露光装置の発展とともに、日本メーカーのフォトレジストの品質が高まっていった背景があります。その後、露光装置自体はオランダのASMLなどの台頭により、日本企業の存在感はなくなりましたが、フォトレジストに関しては、なおも日本メーカーが独占的地位を保ち続けています。

19年1~5月時点での、レジストの対日輸入依存度は91.9%と非常に高いです。対韓輸出管理強化後のレジストの輸入の動きを見ると19年7月に駆け込み需要で日本からの輸入額が急増した後、しばらくは減少しましたが、最近では、輸出管理の強化前とほぼ同じ水準に戻っています。変化があるとすれば、全体に占める割合は極めて小さいものの、ベルギーからの輸入額が増加するなど、日本以外からの輸入先を増やす動きがありますが、依然、日本依存の形からは脱却できていません。日本のシェアは、いまだ9割近い高いシェアを維持していることから、レジストの「脱日本」は難しいと言えます。

文在寅が夢を描いた「日本依存脱却」の夢、進まず

レジストの国産化については、「外国企業の国内誘致」という路線が目につきます。特徴的な、動きとしては、米国からの輸入先であるデュポンが今年1月、韓国でEUV向けフォトレジストを生産する計画を発表しています。韓国政府が海外企業の誘致を積極的に図ったことがうかがえます。また、デュポン自体も、韓国の半導体メーカーの近くで生産することでシェアを上げる狙いがあると考えられます。

フッ化ポリイミドに関しては、輸出管理の強化後も、対日輸入額に影響がほとんど表れておらず、国産品が輸入品に代替しているといった動きは見られないため、「脱日本」「国産化」は進んでいないと言えます。

フッ化水素の輸入先の多角化を図る

比較的、日本依存度がもともと低かった、フッ化水素を見ていきましょう。韓国で半導体製造工程に使用されるエッチングガスの精製に必要な、フッ化水素。日本の対韓輸出管理強化後、韓国では輸入先の多角化や国産化など「脱日本化」が広がり、その影響を強く受けたのがフッ化水素です。輸出管理強化より以前から、対日輸入依存度が減少しつつあったこともあり、輸出が再開された後も前年水準の2割程度にとどまっています。

対日輸入額が大幅に減少した背景には、輸入先の代替と韓国での国産化が進んだことによります。輸入先の伸び率に関して、日本総研のデータによると、韓国のフッ化水素の19年輸入額は中国マイナス9.1%、日本マイナス38.5%、台湾132.5%と、台湾からが著しく伸びています。20年(1~5月)は、中国1.4%、台湾マイナス20.7%、日本マイナス84.0%と、フッ化水素の輸入額が前年比マイナス28.7%となるなかで、中国からが増え、日本からの輸入額が減少していることがわかります。

しかし、フッ化水素の国産化はある程度は進んだ

対韓輸出管理の強化後、韓国では国産化や輸入先多角化の動きが始まっています。LGディスプレイがいち早く日本製フッ化水素を国産フッ化水素に切り替え、半導体関連では、サムスン電子が19年9月3日、製造工程の一部に、国産フッ化水素を投入し始めたと発表しています。韓国のもう一つの半導体メーカーであるSKハイニクスも品質テストを経て、19年10月より国産フッ化水素を使用し始めたと報道しています。

同社は韓国の化学素材メーカー・ラムテクノロジーが製造した液体フッ化水素を使用し始め、さらにグループ企業のSKマテリアルズが20年6月17日、高純度の気体フッ化水素の量産を開始ししています。韓国で生産され始めたフッ化水素の純度は依然として日本企業製よりも低いといわれているものの、相当な水準に達しているといわれており、半導体製造用フッ化水素については、ある程度、国産化が進み、日本のシェアが低下したといえます。

日本企業の韓国国内での生産を容認

「フッ化水素」は輸入の日本依存からの脱却と国産化が徐々に進んでいるといえます。しかし、「レジスト」や「フッ化ポリイミド」については輸入の日本依存からの脱却、国産化はどちらも難しい状況です。

また、輸出管理の強化以降、韓国の半導体産業を狙った、海外企業による現地生産の動きが始まったことが注目されます。シリコンウエハーで世界第3位の台湾系企業が韓国で増産、デュポン(米国)が今年1月、EUV向けフォトレジストを韓国で生産を開始しています。

いずれも韓国半導体メーカーの需要を取り込む狙いがあります。半導体製造装置メーカーのラムリサーチ(米国)がR&Dセンターを建設し、日本企業の東京エレクトロンは今年1月、サムスン電子の工場がある平澤市で、技術支援センターを竣工したと発表しています。「国産化」と言いつつ、自国での努力というより、外国企業誘致の動きが目立ちます。日本への依存度を下げたい韓国政府も、日系企業による「国内生産」は容認せざるをえないのが現実なのです。

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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)

テクニカルアナリスト

京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。

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(テクニカルアナリスト 馬渕 磨理子)

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