記事

申請書すら門前払い…「学生支援緊急給付金」めぐる学生の苦悩と大学側の葛藤 西田亮介氏「予算規模の小ささが諸悪の根源」

1/2

 「学生の給付金について調べてほしいです。公明党で奨学金を利用していなくても給付金がもらえると言っていましたが、奨学金を利用していないともらえないのが現状です。奨学金を利用していない人も生活が苦しいのでそれを伝えて欲しいです」

 ABEMA『ABEMAヒルズ』にTwitter上で寄せられた、新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮する学生を支援する「学生支援緊急給付金」に関する声。その実情はどうなっているのか、番組は調査した。

【映像】大学1年生のAさんを取材

■申請書類すら受け取ってもらえず…1日1食に減らし食費を抑えて勉強

 今年の春に高校を卒業し、夢である消防士を目指して大学に通い始めたAさん。しかしその矢先、新型コロナウイルスがAさんの大学生活に暗い影を落とした。


 「4月にバイトの採用が決まっていたんですけど、コロナの影響でそのお店が2カ月くらい休業になってしまって。バイトはやりたいなと思っているんですけど、やっぱりつらい状況ですね」(Aさん)

 親元を離れ一人暮らしを始めたAさんは、生活費のほとんどをアルバイト代で工面する予定だった。しかし、想定していたバイト代は得られず、新しいバイト先も見つからず、今は高校時代に貯めたお金を切り崩して生活しているという。


 貯金が底をついてしまったら、どうやって大学生活を続ければいいのか。Aさんが望みを託したのが、国の給付金だった。政府が5月に閣議決定した、経済的に困窮する学生を対象に最大20万円を支給する、「“学びの継続”のための『学生支援緊急給付金』」。約40万人の学生への給付が見込まれている。

 給付の主な要件は、生活費や学費をアルバイト収入に頼っていることや、アルバイト収入が前の月に比べ5割以上減ったこと、奨学金など既存の支援制度を利用していることなどの合わせて6つ。学生側が自己申告で申請し、要件を考慮したうえで最終的に大学側が判断する。

 しかし、Aさんは「普通に書類を出しに行ったら『奨学金もらってないの?使ってないの?』と言われて、『使ってません』って言ったら『あーそれやったらダメだね』って。普通に『何で?』っていう疑問しかなかったです」と、奨学金を利用していないという理由で申請書類すら受け取ってもらえなかったという。


 Aさんは今、1日1食にして食費を抑えながら生活し、消防士になるための勉強を続けている。

 「消防士っていう夢以外考えたことがないので、そこは頑張るしかないなって。みんな同じ境遇なので、仕方ないと思って割り切って、勉強は続けていこうかなって考えています。学生にも、と給付金が出たことはすごくありがたいんですけど、審査が非常に厳しくて。その項目に外れた人もいるということを気付いてほしいというか、なかなかメディアに取り上げられず『学生給付金が出た』というだけのニュースで終わっているので、その間に挟まれた人を助けてほしいということは思います」(同)

■文科省担当者「二次推薦の方でなんとか調整を」

 「学生支援緊急給付金」をめぐっては、一次申請の締め切りとなった19日以降、ネット上で様々な声があがっている。


 「よっしゃあ!ダメ元で申請した給付金の審査通ってた!条件満たしてない項目多くて無理かと思った!」
 「学生緊急支援給付金、落ちた。親の年収が何百万もなくなったっていうのに、自宅生だとダメなの?」

 電話取材に応じてくれたBさんも6つの要件すべてに該当していたが、大学側から返答はなく、不安な日々を過ごしているという。


 「6月中旬までに配るような話がHPに書いてあったんですが、結局中旬を過ぎて下旬にかかりますし、Twitterではもうすでに配られているという声もあれば、申請してから2~3週間後に振り込まれるという声もあって、何が本当なのかもよくわからない状態なので、そこをはっきりとして欲しいなと思いました」(Bさん)

 なぜ、大学によって支給の判断が分かれるのか。奨学金制度などに詳しい桜美林大学の小林雅之教授は、大学ごとに給付金を支給することができる人数、いわゆる推薦枠に差があることを指摘する。


 「いくつかの大学の方に聞いているが、学生に比べて推薦枠が大きい大学もあれば、意外と小さい大学もある。何を基準にしているか文部科学省は公表していないので、基準がわからない。(学生側からの怒りの声について)大学の関係者の方から『つらい』という声を非常によく聞く。この要件は優先順位というものではないが、何らかの基準で推薦する人・しない人に分けなければいけないのは、大学にとって非常に厳しくつらいことだ」(小林教授)

 では、大学ごとの推薦枠は一体どんな基準で割り当てられているのか。文部科学省の担当者は「大学や短期大学、高等専門学校については、無利子奨学金の貸与実績に基づいて割合配分、推薦額を割り振っている」と話す。


 また、一部の専門学校や日本語教育機関については無利子奨学金の対象とはなっていないため、学校の在籍人数1人につき8000円を割り振っているという。

 「配分額が足らないところについては、要件をある程度満たしていると認識された方で、今回推薦を受けられないということも承知はしている。配分額に収まらなかった学生の方については、すぐに不採用やバツにせずにあくまで保留ということにしていただいて、二次推薦の中で可能な限りこちらも検討させていただきたいということで(大学に)お願いしているので、二次の方でなんとか調整させていただこうとやっている」(文科省担当者)

あわせて読みたい

「大学生」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    中国ダム決壊危機 世界的影響も

    郷原信郎

  2. 2

    GoToなぜ今か 政府は説明すべき

    青山まさゆき

  3. 3

    れいわ10万円配布案の効果に疑問

    猪野 亨

  4. 4

    松坂大輔が離脱へ 晩節汚すのか

    WEDGE Infinity

  5. 5

    発展に疲弊 シンガポールの若者

    後藤百合子

  6. 6

    感染拡大の裏に軽率さ 医師警鐘

    中村ゆきつぐ

  7. 7

    コロナ楽観予測報道はミスリード

    勝川 俊雄

  8. 8

    西村大臣 PCR陽性率は約5%に低下

    西村康稔

  9. 9

    河野大臣「朝日社説は誤解招く」

    河野太郎

  10. 10

    GoTo開始に国民は混乱「なぜ今」

    内藤忍

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。