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来年の日銀総裁人事にも影響するか、イングランド銀行総裁の公募制

 NHKの報道によると、イギリスのオズボーン財務相は11日、議会での演説の中で、来年6月で任期を終えるイングランド銀行のキング総裁の後任について、公募する方針を明らかにしたそうである。

 総裁の公募はイングランド銀行では初めてだそうだが、世界の中央銀行でも極めて異例となる。オズボーン財務相は「公正で開かれた手続きで行う」と述べ、選考過程の透明性を高めるためだと説明したとか(NHK)。

 選考にあたっては、中央銀行や同じような機関での職務経験か、民間の大手金融機関で経営トップを務めた経験を持っていることなどが条件となる見通し。イングランド銀行の理事には外国人もおり、今回の総裁人事でも外国人が要件を満たす可能性もあるようである。

 イングランド銀行総裁の人事については、副総裁含めて、首相の助言に基づいて女王が任命する形式となっている。任期は5年で再任できる。人選にあたっては財務省の影響が大きく、これまでは現役の総裁や財務次官などと検討し、財務相が首相に候補者を推薦する格好となっていた(このあたりは日銀総裁人事とも似ているか)。ちなみに現在のキング総裁は副総裁から総裁に就任している。

 実は次期総裁候補にはタッカー副総裁が最有力とされていたものの、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題で関与が疑われたことで流動化した。カナダ銀行のカーニー総裁を推す声もあるようだが(共同通信)、LIBORの不正操作問題もあり、公募という形式を取らざるを得なかったようにも思われる。公募は10月8日まで受け付け、年末までに決定する。

 ちなみにFRB議長は14年任期の7名の中から議長と副議長が選ばれる。議長と副議長の任期は4年。議長・副議長・理事は大統領が上院の助言と同意に基づいて任命する。その後、上院の公聴会を経て上院本会議で承認される。FRB議長は大統領に次ぐ影響力を持つと言われ、世界的にも注目される人事であり、今回も大統領選挙でのひとつの争点ともなっている。米共和党の大統領候補に内定しているロムニー氏は、自身が大統領に当選した場合、2014年1月に2期目の任期が切れるバーナンキ現議長を再指名する意思がないと言明している。  ECB総裁の人事については、欧州理事会が候補者を推薦し、欧州議会とECB政策理事会の承認後に欧州理事会が任命する形式となっている。国を跨ぐ異例の中央銀行であるだけに、その中核国であるドイツやフランスの意向が反映されやすくなるとともに、ドイツとフランスの対立がさらに人事をややっこしくさせている面もある。

 たとえば、ECBの初代総裁となったのが、オランダ銀行総裁やオランダ大蔵大臣を歴任したウィム・ドイセンベルク氏であった。本来であれば総裁の任期は8年であったが、総裁選出や本部所在地との兼ね合い等々があり、ドイセンベルク氏の任期半ばでの退任と、その後継にはフランス銀行総裁のトリシェ氏を任命することが、公然の密約として取り交わされていた。つまり、ドイツとフランスの対立などが反映され政治色が非常に強いものとなっていたのである。

 ECBのトリシェ総裁の後任には当初、ドイツ出身者が就任するであろうことが暗黙の了解のようになっており、ドイツ連邦銀行のウェーバー前総裁が最有力視されていた。しかし、そのウェーバー前総裁が、個人的な理由(ECBの国債買入に反対)で2011年4月末にドイツ連邦銀行総裁を辞任したことで、トリシェ総裁の後任にはイタリア出身のマリオ・ドラギ氏が就任する結果となった。

 そして、日銀の総裁人事は国会同意人事となっている。政府から人事案が衆参両院の議院運営委員理事会に提示され、衆参両院の議院運営委員会で総裁候補者からの所信聴取のあと、衆参両院の本会議で採決されるという仕組みになっている。しかし、福井総裁の後任人事では、両院の同意が得られず一時、日銀総裁が戦後初めての不在となるなどの事態も発生したこともあり、人事案がどのような経緯で出されているのかはやや不透明なところがある。

 来年4月8日に白川総裁は任期満了となる。再任の可能性も残るが、新日銀法に基づく制度となってから速水氏、福井氏ともに1期のみであり、白川総裁も1期のみとなる可能性も高いと思われる。年内にも解散総選挙となれば、政権がどのような形になるのかも皆目見当がつかず、来年の日銀総裁人事も前回以上に厳しい状況となる可能性がある。この際、日本でも英国同様に公募制にしてしまったほうが透明度も強まり、良いのかもしれない。今度のイングランド銀行の総裁の公募制は、来年の日銀総裁人事にもかなり参考になるのではないかと思われる。

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