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「“造船王国”再び」―無人運航船の実証実験スタート―

1960年代から30年以上、世界の造船市場の主役を務め、「造船王国」とも呼ばれた日本は近年、韓国、中国にも後れを取り、ここ数年、造船の花形といわれる液化天然ガス(LNG)運搬船の受注もない。船員の高齢化で内航海運の担い手不足も深刻化している。失地回復には、日本が先鞭をつけ、イノベーションを主導することが何より重要だ。

そんな訳で、昨年10月、日本財団が中心となって「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」の募集を開始。このほど実験を担う5つのコンソーシアムが決まり、日本財団として総事業費41億円のうち計34億円を支援することになった。2021年度に世界でも例のない既存航路での無人航行を実施、25年に無人運航船の本格的な実用化を開始し、40年までに内航船の50%を無人運航船とする計画。40年時点の経済効果は年間1兆円に上ると試算されている。

5つのコンソーシアムは
① スマートフェリーの開発
② 無人運航船@横須賀市猿島
③ 無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランド・デザイン~
④ 内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証
⑤ 水陸両用無人運転技術の開発。
三菱造船や丸紅、日本海洋科学、商船三井、ITbookホールディングスなど42の企業・団体が参加している。

例えば、スマートフェリーの開発。新造のカーフェリーを使って離岸から航行、接岸までの操船を自動化するほか、機関室の監視を強化するための技術や陸上から監視するシステムの開発を目指す。

無人運航船では、船の運転(運航)を完全無人で行ない推進機関の管理なども無人化される。必要に応じ技術者が乗船するほか、重要な運航の最終判断は陸からの遠隔操作で人が行うが大幅な省力化が進む。無人運航船が普及すると、17年に270便だった首都圏の水上運送の総運航便数は40年に1万8250便、総乗船客数も2400人から35万に増え、通勤や買い物の足として使われるようになる。

全国で約400に上る人が住む離島も、無人運航船が普及すれば足が確保され開発も進む。

こうした経済効果を合算すると、40年には内航海運・内航水運だけで5600億円、総額で1兆円に上る計算。同様の試みはフィンランド国営フェリー会社が2018年12月に完全自律運航フェリーの実証を行っているほか、ノルウェーは22年を目標に完全自律型コンテナ船の運航を予定している。

無人運航船プロジェクトを「MEGURI 2040」と名付け、海事産業、関連産業の国際競争力強化に引き続き貢献したく考えている。
関係者で記念撮影

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