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NHK放送技研公開2012

 放送技術のメッカ、NHK放送技研にやって来ました。一番人気はスーパーハイビジョンの超高精細映像ですが、ぼくの関心は「通信・放送融合」。マルチスクリーン、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスの3点セットに日本の放送がどういう技術的な答案を書くのか。  技研公開には去年も参りました。その際のぼくの関心も同じ。融合の新展開について、ブログにも書きました。  http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/06/nhk2011.html  そして今年の注目は、放送と通信を連携させる「Hybridcast」の進化度合いと、放送とSNSを結合した「ソーシャルテレビ」の2プロジェクトです。主任研究員の浜田博士に解説していただきながらじっくり拝見。

 まずHybridcast。  テレビとタブレットのダブルスクリーンです。高橋大輔さんが舞うシーンをテレビで観ながら、タブレットで足下アップの指示や再生のコマンドを与えてネット映像を見る。旅番組をテレビで観ながら、その地図をタブレットで確かめる。

 サッカー中継中、選手たちのフォーメーションがタブレット上にリアルタイムで示される。同じ画面がテレビ上にもオーバーレイされる。あるいはテレビ画面に映る選手の頭上にフキダシで名前が表示される。これらデータはネットによる配信です。

 放送の番組と通信のデータとを合成し表示するのはhtml5の役目。html5で記述されていれば特別な装置は要らない。ただ、「同期合成」が重要なポイントとなります。放送で映像を端末に送るのに比べ、ネットでの配信は若干の時間的なズレが生じる。それをダブルスクリーンにしろ同じ画面にオーバーレイするにしろ、放送コンテンツと通信データを合わせて見るには、放送コンテンツの表示を通信に合わせて「遅らせる」ことが必要。それを正確に計測して実行するんですと。

 悔しいでしょうな、放送屋としては。通信のために、放送の速度を、ほんのちょっとだけど、遅らせてやるっていうんですから。ま、そこは大人の放送人ということで。

 これにより、放送でニュース画面を送り、ネットで手話CGをかぶせ、同期を取って同時に表示。野球中継で多地点カメラが映像を配信、テレビの大画面と、ぼくの好きなカメラアングルを同時に表示。AKBの板野友美ちゃんをタブレットで選び、テレビ画面に彼女をクローズアップさせて表示。そんな楽しいことができるのは、NHK同期合成のおかげなのです。

 浜田博士によれば、やはりこういうキメ細かい技術は、日本が図抜けてるそうです。

 視聴者向けに情報をカスタマイズする技術もありました。ドラマ好きにはドラマ情報を、スポーツ好きにはスポーツ情報を流してあげます。視聴履歴に基づいて、個人に合った番組を届けてあげる。べんり。

 だけど問題はセキュリティ/プライバシーですね。その人が普段どんな番組を観ているかの履歴に基づいて送られてくるとすれば、その選択機能は局のサーバが持つの?それともたくさんの番組を送っておいて端末で個人が選別するの?

 浜田博士は、まだどちらにも進めるようにしている、と言います。プライバシー保護か、端末コストか、実装段階でどちらを取るか、技術的にはどちらにも対応できても、マネジメント的には重要問題ですね。

 浜田博士がいうHybridcastの特徴は4つにまとめられます。

  • 1 html5
      つまり、BMLを否定するのです。
  • 2 同期合成
      これが融合のキモだということがわかりました。
  • 3 安全安心
      セキュリティ、プライバシーの確保ですね。
  • 4 端末連携
      テレビ、ケータイ、タブレット。マルチスクリーン。
  •  浜田博士、アメリカと日本とでは、どう違うんでしょう? 「アメリカは、知りたいものを自分で検索する。放送コンテンツも通信コンテンツもバラバラに混在。日本は放送局が放送コンテンツも通信コンテンツも自ら組み合わせてプロデュースするスタイルです。」  なるほど、アメリカは通信と放送が一つのテレビ画面でしのぎを削る「競合」。日本は放送局が通信を取り込んでマルチスクリーンで展開する「融和」ですね。

     ソーシャルテレビ「Teleda」も気になってました。テレビ画像を知人と共有して、コメントを言い合う。離れて暮らす家族と一緒に番組を観て楽しむ。特に高齢者には優しいソーシャルサービスのインタフェースをテレビが用意してくれるんです。

     これって科学技術振興機構(JST)の資金に基づく、東大、IBMとの共同開発なんですって。ええ仕事してますな。という話をしてたら、使われてる番組が「NHKらくらくデジタル塾」。ギョッ、ぼくの出演してたやつです。「入力は音声認識かねえ」とは浜田博士。

     技研が作った番組制作記述言語「TVML」を使って、SNSユーザがCG映像を作るプロジェクトもありました。クリエイティブライブラリーと連携して、みんなが番組を作る。いよいよテレビもソーシャルになってきましたね。

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