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休業要請に罰則は要請が要請でなくなる 命令ならば相応の個別の根拠が必要

 コロナが蔓延する中で、一部の企業に対し、休業要請がなされてきました。
 特にパチンコ店に対する風当たりは強く、営業を継続していたパチンコ店に対する誹謗・中傷や嫌がらせなどがありました。
ギャンブルと依存症を放置したことのつけ パチンコ店繁盛の矛盾 日本にカジノはいらない

 知事の中には、そうした休業要請に従わないから罰則を導入せよという主張さえ出てきました。
 同調圧力の下で、パチンコ店もかなり休業に追い込まれていましたが、とはいえ、営業を続けた繁盛店でもクラスターは発生していません。

 今、解除後にクラスターが発生しているのは、カラオケ店やら夜の繁華街などです。パチンコ店ではありません。
 考えてみればパチンコ店ではクラスターは発生しにくいと言えます。タバコ対策から換気がなされ、みな黙って黙々と台に向かっています。店側も相応に消毒などにも注意していたのではないでしょうか。
 これに対してカラオケや飲酒などを伴うところではマスクはしない、濃厚接触、声がでかくなるなど、一人でも感染者がいればたちどころに拡がる環境が整っています。

 こうしたことを考えたとき、例えば、休業要請に従わなかったパチンコ店に罰則を科すのが妥当だと言えるのでしょうか。
 今年4月に、知事会では罰則を設けるよう要望する知事が多数だったと報じています。
 パチンコ店は、店名公表によってかえって繁盛してしまっていましたが、そうしたことに対する憎悪の感情が罰則を与えよと言っているようにしか聞こえません。
「休業応じないパチンコ」知事ら罰則要求、大臣も法改正を示唆…違憲では?」(弁護士ドットコム)

目の敵にされたパチンコ店、好き嫌いは別の話だと思うのだが


 今回の休業要請は、要請だからこそある意味では大雑把にできたのです。強制ではないからです。企業名公表には強制要素も含まれ問題は含みますが、罰則よりは明らかに軽い制裁です。

 なぜなら、罰則を伴うということになると、開店している店舗において休業命令書を見せ(命令到達後~分以内に営業を停止せよ、など)、代表者をその場で現行犯逮捕まで可能にしてしまいます。
 そして強制的に営業を止めてしまうわけですが、これまでのように漠然とした前提で休業を「要請」するのとはわけが違ってきます。

 罰則を与えたり、営業そのものを禁止してしまうわけですから、コロナ感染、クラスター発生の蓋然性が当該企業に生じている必要があります。

 これまでのようにパチンコ店全般のような大雑把なやり方は通用しないわけです。
 逆にこのような要件が整っているのであれば、その禁止には他者の生命、身体への安全など守るべき法益が伴っており、それ故に禁止は当然のこととなり、禁止に伴う補償は不要ということになります。他者に感染の危険を生じさせてまで営業を行う自由は憲法上も保障されていません。従って補償も不要ということになります。

 他方で、業界全般に渡っての営業禁止、罰則ということであれば、広く広範に禁止してしまうのですから、それは明らかに公共の利益を最優先させたということであり、個々の企業や個人がそれを負担する根拠がないということになります。そうであれば補償が必要です。

 禁止や罰則が何を対象にしているかによって補償の要否も変わってきます。
 単純に言うことを聞かなかったら刑罰を科せ、という議論ではあまりに乱暴なのです。
鈴木知事「趣旨は賛同」 休業要請に罰則規定、知事会が提言に」(北海道新聞2020年6月25日)

 鈴木知事が「趣旨に賛同」にとどめたのは見識を示したものとして評価したいと思います。

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