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「マスク教」への入信を勧める「マスク警察」

■聖なるアイテムと化した「マスク」


 梅雨のシーズン真っ只中となり、随分と蒸し暑くなってきたせいか、1日中、マスクを着けるのも鬱陶しい季節になってきた。
 しかし、案の定と言うべきか、コロナが一時的に終息してもマスクは外出時の必須アイテムとなり、まるで1億総ファッションであるかの如く、マスクを着けた人々が街中に溢れ返っている。その姿は恰もイスラム教徒の女性が身に着けているブルカやニカブのようですらある。

 イスラム教の聖典コーランには、「女性は美しい部分を隠せ」と書かれているらしい。男性は女性の美しい部分を見てよからぬことを考える(欲情して堕落する)ので、女性は美しい部分(口元・髪・肌・ボディライン等)を隠さなければならないらしく、その教えが現代に至るまで固く守られている。

 マスクは口(口紅)を隠す役割しか無いが、女性にとっては毎日、化粧して口紅を塗る手間が省けるという意味では助かるという人もいるようだ。反面、口紅を塗っていない(スッピン)ということで1日中マスクを外せないので困るという人もいるらしい。
 現在は、マスクが必須アイテムになったせいで化粧品(主に口紅)の売れ行きが落ちているそうだが、マスクに付着しない化粧品や口紅が有るなら、逆に売れるかもしれない。

 しかし、こう暑くなってくると、女性でなくても流石に1日中マスクを着けているのは問題だという人も出てくる。
 実際、マスクを着けたまま階段を駆け足で上ったりすると酸素不足で息切れしてしまうことがあるので、夏場はマスクを着ける必要も無いような気もするのだが、世間の空気がそれを許さなくなってしまっている。マスクの効能以前に、エチケットとしてマスクを着用することが求められているため、この「空気」に抗うのはなかなか難しいものがある。

■「自粛警察」と「マスク警察」の共通項


 さて、前置きはこの辺にして本題に入ろう。今回のお題は「マスク警察」というもの。

 政府の「自粛要請」や「緊急事態宣言」によって日本には「自粛警察」という存在が出現した。その役割は、自粛していない個人や集団を密告及び糾弾するというもので、かつてのナチス政権下において秘密警察(ゲシュタポ)に協力した一般人のような存在だったとも言える。
 彼らの行動様式は、ある意味で、「あそこにユダヤ人が隠れている」とナチスに密告することに奔走したような人々と似通っており、「あそこに自粛していない人がいる」と密告することを聖なる仕事と認識していたのかもしれない。

 「緊急事態宣言」が解除されたことで自粛する必要が無くなると「自粛警察」は鳴りを潜め、今度はマスクを着けていない人を糾弾する「マスク警察」として生まれ変わった。彼らの共通項を一言で言えば、「全体主義者」だということに尽きる。

 日本でも戦時中にマスコミを中心とする多くの「全体主義者」が生まれた。国のために命を捨てることを当然と煽る「全体主義者」が、軍人に対して国のために死ぬことを煽った。そして彼らは戦後、一転して国を否定する立場に転向し、国は悪いものであり、国を否定することは当然のことであると煽るようになった。
 右から左に立ち位置を180°変えたものの、中道を外れた「全体主義者」的気質を持った人々という意味では本質的に何も変わらなかった。

■社会の見えない「空気」に隷属した「自粛警察」


 ついでに言うと、中世ヨーロッパの魔女狩りを行った人々も「全体主義者」的気質を持っていたということでは共通している。真の指導者か、偽の指導者か、その存在の善悪に拘らず大衆を煽動する指導者が現れると、その指導者の言葉を妄信し、その実現のためにひたすら猛進する。彼らの言動により創り出された「空気」は、更なる「全体主義者」を生み出すことになり、社会は、そのスパイラル化した淀んだ空気によって荒廃していくことになる。

 彼ら「全体主義者」は自らの姿を客観視できないという意味でも共通している。芝居で悪人や愚者を演じている者が、その芝居が終わっても、自らの役柄に気が付かない。芝居の中にあろうが、芝居が終わろうが、自分の立ち位置を客観視できない。彼らは、その場の空気に踊らされていることに気が付かない。社会の見えない「空気」に隷属した人々、それが、「全体主義者」の本質でもある。

 マスクを着けないことが異教徒であるかのように批判し、「マスク教」への入信を熱心に説いて回る善意の全体主義者「マスク警察」に注意しよう。

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