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ドイツ版持続化給付金の事務費は0円!!

今日は経産委員会で「持続化給付金」と「GoToキャンペーン」について質問の機会を得た。後者は別の記事で取り上げるが,まずは前者について。

この問題を調べて浮かび上がって来たのは,日本という国の現状をいかに政府と官僚が理解していないのか,ということと,トップエリートであったはずの経産省関連の官僚が,今はアイディアも実行力も無い=仕事が出来ない,という意外な事実。

それを強く実感させたのが,最初の与党議員の質疑において,今回の持続化給付金の仕事ぶりについて,開口一番「役所仕事は遅いという定説を覆すまさに快挙」という言葉が飛び出したこと。恐るべき鈍感さだ。

今回のペースが「快挙」なのか。ドイツと比べてみよう。

(うちの事務所では,これまで国会図書館などに問い合わせて資料をいただき,さらにはドイツ在住の邦人に協力してもらって,ドイツ政府にも問い合わせるなどして調査していたのだが,今回それが大変役に立った。)


ドイツは政策の具体的内容が発表されてから僅か8日間(最短)で振込実行にまで至っている。給付開始からは最短2,3日だ。

では,それに日本のような巨額の経費(769億円!)を掛けたのか?

答えはNo!!なんとゼロ円だ。

その秘密は既存組織の活用にある。ドイツでは,給付実務を担当したのは各州におかれている公的銀行(ベルリン投資銀行,フレーメン復興銀行,ハンブルク投資開発銀行等)。各銀行が,政府発表と同時にただちに銀行内部のリソースを使ってソフト作成などの下準備を始め,迅速な給付に結び付けたのだ。

例えば,当事務所の問い合わせに対し,ハンブルク 投資開発銀行( IFB )からは,

「IFB ハンブルクでは、短期間のうちに完全オンラインのハンブルクコロナ緊急助成金の申請システムを構築し、国と州、両方の申請処理にあたった 。」

との回答をいただいた。

また,全体の経費については,連邦経済エネルギー省から以下の回答を得た。

「コロナ緊急援助について、国の財源から助成金が支払われたわけですが、その実行については、州を通じて、独自のリソースで処理をしております。

準備期間の短いコロナ緊急助成金の実行となりましたので、各州は、すでに助成金の申請処理を以前から担当している機関と職員を通じて、事務処理を行いました。

このため、申請金処理に必要となった州の担当機関での処理費用は州の財源から賄われております。

これらの処理、運営にかかる費用については国からの払い戻しは行われません。

助成金の申請は主としてオンラインで申請書類を提出する形で行われ、迅速かつ効率的な処理ができるよう努めました。

6月18日現在、州から228万6954件の申請が報告されており、184万9372件が承認され、157万6004件が支払い済みとなっております。」

つまり,従前存在するリソースを利用したのですぐに出来たし,国費は1円もかかっていない,ということなのだ(ちなみに処理件数は上記のとおり日本とほぼ同じ)。

こういう極めて合理的かつ的確なやり方をしているので,同じような新型コロナ経済対策をしているドイツでは,メルケル首相の評価は高まった。

一方で,丸投げでお金ばかりかかって質が伴わない日本では,逆に安倍首相の評価が低下している。

まさに宜なるかな,である。

比べるべきはドイツばかりではない。国内にもある。そう,10万円の特別給付金事業だ。

10万円の特別給付金の場合は,既存のリソースとして地方自治体を活用し,一件当たり僅か1,146円という極めて低コストでの給付を実現している。

持続化給付金が少なくとも一件当たり3万8,450円にも上るのとは大差がある。誰も文句を言わないのも当然だろう。


こういうと,自治体は持続化給付金で手一杯だった,との声もあろう。

だったら,商工中金や政策投資銀行などと地方銀行・信用金庫が共同して,このような政策対応を行うことも検討すべきであった。これらの金融機関は,現に緊急融資などもしているのだし,それと同時に行えば手間も掛からない。派遣社員に急場を凌がせるよりもよほどきめ細かい対応は可能と思われる。また,赤字に苦しむ地方の金融機関も多いところだが,今回の業務はまさに簡単で実入りのいい特需にもなっただろう(ちなみに法的に可能なことは金融庁に確認済み)。

ドイツでも,例えばブランデンブルク投資銀行(ILB)は,

「申請件数は 75,799 件、 内 63,427 件が支払い対象 となった 。通常、 ILB 銀行の助成金に関する処理件数は年に約 5,000 件であるが、今回は 2 か月半で 76,000 件を処理したことになる。」

と回答された。ドイツの銀行も頑張ったのだ。

もう一つのこの手の業務に手慣れた組織としては,そう,税務署がある。

今回の業務において,まさにこれ以上うってつけの審査機関はない。しかも全国に524あり,ちょうど持続化給付金事業のサポートセンター(500箇所)とほぼ同じ数なのだ。

今回の持続化給付金業務の執行のあり方を多方面から検討してみて思ったこと。

経産省というトップエリートというべき(あるいはいうべきだったと既に過去形かもしれない)が,ここまで工夫もないやり方しか出来ないというところに,今の日本という国が世界から随分置いて行かれていることの象徴なのではないか?ということだ。

そして,それによって支持率低下という被害を受けている政権与党が,反省と改革を提案するのではなく,自画自賛するかのように庇い立てしているところにどうしようもなくガラパゴス化した日本の縮図が現れているように見えてならない。

このままでは,ダメなのだ。

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