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共同通信が正職員を300人規模で削減へ! 赤字は8期連続の見通しに…

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共同通信、正職員を1600人から1300人台に

共同通信が現在約1600人いる正職員を2028年度までに1300人台にする方針であることがわかった。水谷亨社長が職員向けのポータルサイトにメッセージを掲載し、表明した。300人規模で減らすことになるが、300人は全正職員のおよそ18%。昨年は毎日新聞が200人規模、産経新聞が180人規模の早期退職を募っており、新聞不況は加速している。新聞社への記事配信が主な収入源である共同通信にも影響が出ており、共同通信は採用の抑制で人員を減らしていく考えだ。

共同通信本社ビル編集部撮影

また、共同通信は記事の配信を受ける加盟新聞社の発行部数に応じた社費を2020年度に限り全体から11億円減らす方針も示した。これにその他の負担金減額が加わり、加盟社の負担軽減額は計12億となる。新型コロナウイルスの影響受けた加盟社を支援する目的だ。減った社費をまかなう財源については明確にされていないが、東京五輪延期や新型コロナウイルスの影響で減った交通費等を充てると考えられている。さらに、東京都中央区佃にある研修・交流センターも売却を決定した。

30代本社記者「こうなることは目に見えていた」

共同通信は1945年の創立以来、国内外のニュースを取材、編集して新聞やテレビ、企業などに配信しさまざまなメディアを支えてきた。いわばニュースの卸問屋で、例えば地方紙の一面が東京・永田町のニュースや、まったく別の地方の凶悪殺人事件であれば、その記事は共同通信配信のものである可能性が高い。ニュースの配信を受けるためには共同通信に社費を支払い「加盟社」となる必要がある。現在、加盟社はNHKや日経新聞、産経新聞、毎日新聞といった全国紙、各県の地方紙など56社に及ぶ。

共同通信社が入居する汐留メディアタワー
編集部撮影

加盟社以外にも一部の記事の配信を受ける「契約社」がある。朝日新聞や読売新聞のほか、フジテレビやTBSなどのキー局をはじめ、地方の主要な民間放送局など100社以上が契約社として共同の配信を受けている。日本語だけでなく英語や中国語での配信もしている。

昨年は「関西電力役員らの金品受領問題」のスクープと一連の報道で新聞協会賞を共同通信が受賞。「公益事業である電力会社が抱える『原発とカネ』の問題を暴いた優れたスクープ」として高く評価された。速報だけでなく調査報道にも力を入れる。

しかし共同通信の経営状況は芳しくないようだ。

6月22日、職員のメールアドレスに共同通信労働組合が発行する「共同労組NEWS」が届いた。そこに記載されていた衝撃の文章に、職場は騒然とした。「水谷社長は(中略)現在約1600人の正職員数を1300人台とし、300人規模で減らすと表明した」。

「正直、ついにきたかって感じです。毎日と産経が人員削減やって、いつまでも安泰なわけがないですし。特段驚きはなかったです」

そう語るのは30代の共同通信本社出稿部の記者だ。「加盟している地方紙の発行部数が落ちれば、それと一緒に営業収益が落ちるのが共同通信の宿命。オンラインの事業もうまくいっているとは言えない。こうなることは目に見えていましたよ」

地方紙の部数減、人件費高騰で8期連続の赤字見通し

共同通信の収入の4分の3を占めるのが、加盟紙が納める社費だ。つまり加盟紙の発行部数が下がれば社費も落ち、共同通信の経営に大きな打撃を与える。共同労組NEWSの4月20日の記事では、労務部長らが経営状況の厳しさを語っている。

その記事などによると、社費は2014年度の約314億3000万円から年に1億円以上の減少が続いているといい、18年度は309億7000万円だった。加盟社の新聞発行部数は、18年度は2437万部で前年から91万部減った。一方で人件費は、14年度の229億6000万円から18年度は236億4000万円まで増加した。18年度決算は13億4000万円の赤字で、赤字は7期連続。19年度も赤字の見通しだという。

本当に採用の抑制だけで大丈夫なのか

共同通信は職員向けのポータルサイトに、6月19日に開かれた全社部長会での水谷亨社長のあいさつを掲載している。水谷社長は「加盟社と共同が健全な報道機関であり続けるため、スリムで強靭な組織づくりに向け、時代に合った構造改革を進めることが求められている」と発言。その「スリム化」の1つとして人員削減を表明した。正職員の総人員は「採用の抑制」で減らしていくとし、「(人員削減によって)配信能力を低下させるわけにはいかない。継続雇用職員にはより多くの管理職ポストを担ってもらう。本社は管理部門や編集の中間・加工部門などの人員効率化を優先する」と述べた。

出稿部の40代職員は以下のように編集現場の状況を語る。

「たしかに、記者から上がってきた原稿の加筆修正などをするデスクや、整理部といった、編集の中間部門のボリュームが大きくなり、ここの人件費が経営を圧迫してしまっているのが現状です。まずはここの世代を削らなきゃいけないのは理解しています」

また、ある地方支局記者は「共同通信は毎年30人程度の新卒を正職員として採用しているが、本当に採用を抑制するだけで28年度までに300人規模の削減が達成できるのか疑問。若手の中には早期退職制度で退職金をもらえるなら、さっさと辞めたいと言いだしている人もそこそこいますね」と話す。共同通信の展望を悲観的にみている職員も多いようだ。

共同への上納金が加盟紙の大きな負担に

そんな中、共同通信は20年度に限り加盟社の負担金である社費を主として計12億円を削減する方針を表明した。若者の新聞離れは指摘されて久しく、実際のところ新聞発行部数も新聞販売収入も減少を続けている。新聞業界が置かれている立場は苦しい。

水谷社長は「国民が求める正確な情報を適切に提供できる媒体として新聞の存在が再認識されている」今こそ「共同と加盟社は互いに支え合う」必要があるとしたうえで、「新型コロナウイルスにより加盟社を取り巻く経営環境が厳しさを増している。経営上の大きな環境変化だと判断」と述べ、加盟社負担減を決断したという。

別の40代職員は「加盟社にとって社費の支払いが大変な負担になっていることは認識している。地方紙の経営が傾き、しんどい思いをしているのに、われわれだけが何もしないというわけにもいかない」と身を切る覚悟を述べる。

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