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【読書感想】「高学歴ワーキングプア」からの脱出

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「高学歴ワーキングプア」からの脱出 (光文社新書)
作者:水月 昭道
発売日: 2020/05/19
メディア: 新書




Kindle版もあります。

「高学歴ワーキングプア」からの脱出 (光文社新書)
作者:水月 昭道
発売日: 2020/05/29
メディア: Kindle版

「この問題は解決しない。うやむやに終わるだろう」
――『高学歴ワーキングプア』刊行から13年。研究者であり僧侶でも
ある著者が、紆余曲折ありながらも辿り着いた境地とは?

元ポスドクの「バッタ博士」こと前野ウルド浩太郎氏との対談を収録。

 高学歴ワーキングプア、という言葉を最初に耳にしてから、もうだいぶ経ちます。
 10年くらい前、ネットでは、「高学歴ワーキングプアの悩み」を書いていた人が多かったような記憶があるのです。

 私が『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)という本を著したのは、2007年のことだった。

 当時、国が旗を振った「大学院重点化政策」によって、大学院生の数はそれ以前の約三倍にまで膨れ上がっていた。「欧米に伍する研究者数の確保と研究レベルの実現」という大義が掲げられ、推進された政策の結果、たしかに修士号や博士号を有する人材は増えた。だが、副作用も強かった。

 我が国の企業が新卒一括採用の方式を崩さないなか、大学院にまで進学した者たちはその枠組みからは完全にはみ出ていた。博士号取得者に至っては、もっとも若くて27歳になるため、もはやどの会社からも相手にされない。「末は博士か大臣か」というように、かつては立身出世の代名詞だった博士様も、こうなっては形なしである。

 彼らの就職先は限定的で、民間はまずダメ。そうなると残るは大学の教員ポストということになるが、ここに大問題があった。アカデミア業界は2020年現在においても、未だに終身雇用がまかり通っている世界なのである。そのため、雇用に関しては構造的な問題を抱え続けている。上がつかえていて若手研究者に専任教員ポストが回ってこないのだ。その結果、四十代になるまで非正規雇用が当たり前といった環境ができあがっている。

 研究書ではなく、一般向けの新書とはいえ、ベストセラー作家となった著者は引く手数多かと思いきや、それでも、大学の常勤ポストを得るのは大変だったみたいです。
 
 僕自身は就職活動の経験がないのですが(転職活動はちょっとだけやりました)、大学のポストというのは、大学内部でのパワーバランスに左右されたり、だいたい有力候補が決まった状態で募集されたりして、「狭き門」どころか、「そもそも門が存在しない」なんてことも少なくないようです。

 2007年の前著では、「高学歴ワーキングプア」という人たちの存在そのものが社会に衝撃を与えたのですが(そんな「良い大学」を出た人たちが、なんで40歳まで非常勤なの?とみんな驚いていたのです)、今や「高学歴ワーキングプア」の存在は、多くの人が知るところになりました。
 自らの将来を悲観したポストに恵まれない研究者たちが事件を起こしたり、自ら死を選んだりした、というニュースも時折耳にします。

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