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ポストコロナ時代の都市政策――フラットシティの提案 - 石渡正佳 / iメソッドフォーラム代表

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新型コロナウイルスは従来の生活様式や価値観を転換させつつある。それに呼応して、従来の政策が再考を迫られている。都市政策についても従来の考え方では対応できない部分があり、今の状況にそくして新たな発想をすることが求められている。

千葉県庁で産廃Gメンとして名を馳せた石渡正佳氏は、著書『スクラップ・エコノミー』(日経BP社、2005年)によって独自の都市政策を提案してきた。今回は、そこで展開されていた議論をふまえて、ポストコロナ時代における新しい都市政策について語っていただいた。(聞き手:吉永明弘)

――まずは現状認識からお願いします。

今回の新型ウイルスは、2019年末に中国湖北省武漢で最初の患者が確認されてから、瞬く間に世界中に流行が拡大しました。ちょうどそれは、労働のデジタライゼーションが完成する直前のタイミングで起こっており、ホワイトカラーの在宅勤務やサービス労働のロボット代替を急進展させました。

とはいえ、まだまだ中途半端だったデジタライゼーションで、すべての労働を代替することはできませんでした。そのため、世界の大都市はロックダウンと医療崩壊に陥り、国際航空網がサドンデスとなり、デフレのうっ憤がマイノリティ差別問題と相まって暴動に進行し、スペイン風邪以来のパンデミック恐慌の可能性が指摘される事態になっています。

ウイルスという目に見えない敵との戦いは、自由主義と民主主義の弱点を露呈させました。自由主義の弱点とは、個人や企業の逸脱行動を管理できないという問題です。また、民主主義の弱点とは、危機に直面した政治的リーダーが、選挙を意識したデモンストレーション行動をエスカレートさせるという問題です。

どちらの問題も自由主義と民主主義の旗手を自負するアメリカでもっとも顕著になっています。警察官による暴行事件は、キング牧師暗殺事件以来とされる人種間対立の激化をもたらしました。そして、マイノリティの暴動は、移民労働者の格差と分断の問題を抱える西欧各国に飛び火しています。

新型コロナウイルスによって、ポスト自由主義の潮流が本格的に始まったといってよいと思います。世界中の経営者と政治家は、国境のないフラットな世界とは真逆な方向へのトレンドの反転に向き合わざるをえなくなりました。アメリカは迷走し、EUは分断され、ポスト自由主義実験の先例となった中国の一帯一路が独走を始めたかに見えます。

日本は法的強制力のある営業規制や外出規制ができなかったにもかかわらず、新型コロナウイルス流行の第一波のコントロールに成功しました。自粛要請を無視したイベントや営業は一部に限られ、むしろ政治家としての保身やキャリアアップを意識した首相や知事のパフォーマンスが目立ちました。前例のない緊急事態に対してクールにふるまえる政治的リーダーほど、むしろ実は自分ファーストなのかもしれません。

都市に関して言えば、新型コロナウイルスは、プラットフォーマーと呼ばれ世界経済を牛耳るIT企業や金融企業の本社ビルが集まるコンパクトシティをゴーストタウン化させ、集中の弱点を露呈させました。むしろスプロール化を批判されてきた郊外に広がる低層住宅地や、貧民街化した旧市街が賑わいを保つという皮肉な明暗の逆転を招いています。

――そのような時代において、都市政策はどうあるべきと考えますか。

不動産価格の高騰によって、貧富の資産格差を拡大するコンパクトシティの策略は、新型コロナウイルスだけでは終焉しないかもしれません。職住近接の田舎暮らしで万事解決という、田園都市へのノスタルジーでは何も解決しないからです。時代背景を異にするコンパクトシティと田園都市は対立概念にはなりません。

永久在宅勤務を決めたIT企業も多く、ポストコロナにおいて、コンパクトシティの空洞化が進むかもしれません。しかし、コンパクトシティを陳腐化させるには、もっと強力な代替軸が必要です。有力なキーワードは、開発のカウンターワードとして常に重宝されてきた「環境」でしょう。

環境都市はもともとコンパクトシティの対立概念でしたが、対比をさらに尖鋭にするため、「フラット化」というキーワードを環境都市に加えてみたいと思います。環境都市をフラット化することによって、感染力の強いウイルスが引き起こすパンデミックに対して抵抗力、回復力の高い都市を構築することができます。

都市のフラット化とは、文字通りには、居住人口密度や就労人口密度の勾配のフラット化を意味します。コンパクト化とは反対の方向性です。しかし、フラット化は、無計画にだらだらと郊外に向かって密度を下げながら都市を拡大するスプロール化とは違います。都市の範囲を限ったうえで、都市内の密度の勾配を平たんにするのがフラット化であり、それを実現した環境都市がフラットシティです。

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