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テレワークは継続希望が7割 働き方向上の鍵はハンコと上司

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緊急事態宣言で急上昇したテレワーク実施率

電子印鑑の一例(提供シャチハタ、時事通信フォト)

緊急事態宣言下でのテレワークでも「ハンコ出社」は続いた

 緊急事態宣言を受けて、急遽テレワークに対応した会社は多かった。それに対応するため、ウェブカメラやヘッドセットなどが品薄になったほどだった。テレワークとは時間や場所にとらわれない働き方のことで、何年も前から推奨されてきたがなかなか導入がすすんでいなかったのが、新型コロナウイルス対応のため、結果として取組が進んだ。IT利用におけるトラブル実態に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、テレワークによってもたらされたワークとライフの質の変化と、残されている問題について解説する。

【写真】電子印鑑もあるが……

「久しぶりに会社に行ったら、通勤だけでどっと疲れた。自分のストレスの大半は通勤だったことがよくわかった」

「子どもがやっと保育園に行ってくれた。一日子どもの世話に忙殺されて仕事にならなかったから、会社に行けるのが嬉しい」

 緊急事態宣言が解除されてすぐに通勤となった人からは、そんな声が聞かれた。では、テレワークの実態はどうだったのか。

テレワークを歓迎していた人の意見で多かったのが、「通勤がなくなってストレスが減った」というものだ。ある40代男性は、「通勤がなくなり、浮いた時間で散歩したり、家族と食事したりできた。趣味の時間もできて充実していた」と振り返る。往復3時間分もの通勤時間がなくなり、仕事にあてられて快適だったという。

「子どもといる時間が増えてゆっくり過ごせた」という声もあった。小学生の子どもを持つある40代女性は、「普段は忙しくてあまりゆっくり話す時間がなかったけれど、一緒に料理をしたり、学校の宿題を見たりできた。仕事をしている姿を見せられたのもよかった」という。

 一方、「通勤がないのに逆に長時間労働になってしまった」という話もある。ZoomやTeamsなどを使ったテレビ電話会議は移動時間がなくて便利だが、連続して入れられてしまうことも多かったと聞く。「今日はもう5連続会議」とため息を付いていた人を見たこともある。自宅なので切れ目なく仕事をしてしまい、結果的にいつもより長い時間仕事をしているという人もいた。

 子どもが低年齢の場合は、保育園が休園となり、仕事どころではなかった家庭が多かったようだ。夫婦で交互に子どもを見たり、ついついYouTubeを見せっぱなしになったという話も聞いた。そのようなケースでは、多くが仕事の効率が落ちていたそうだ。

「運動しなさすぎて、5キロも太ってしまった。通勤しないとまったく動かなくなってしまう。通勤は大事だと思った」と、ある40代女性はいう。「パン作りにハマった上、テイクアウトやお取り寄せもしてしまった」。

 このように、在宅を続けたことによる「コロナ太り」となってしまった人もとても多かった。ある調査では4割程度の人が体重が増加したと回答しており、慌ててダイエットを始めた人も多かったようだ。

課題が山積みのテレワーク導入

 では、実際はどのくらいの企業がテレワークを導入したのだろうか。都庁のテレワーク導入率緊急調査結果(2020年5月)によると、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は、3月時点では24.0%だったが、62.7%と2.6倍に上昇した。

 ただし全社員というわけではなく、テレワークを実施した社員は12月の15.7%から49.1%まで増えたものの、結局は全体の約5割にとどまっている。テレワークを実施した日も、4月でも、1ヶ月の勤務日数(約20日)のうち約6割の12.2日だった。

 導入率を業種別に見ると、事務・営業職が中心の業種(情報通信業、金融・保険業等)は76.2%、現場作業や対人サービスが中心となる業種(小売業、医療・福祉業等)は55%と、業種によって導入のしやすさには差があったが、それでも3月に比べて3.7倍と導入は拡大していたようだ。

 筆者が取材したところ、「そもそも自社のデータに外部からアクセスできないから、一日置きに交代で出勤した」「会社はやはり設備が整っているのを痛感した。必要なプリンタやスキャナもないし、家で仕事をしていると腰が痛くなる」などの声も聞く。

 前述のような機器・IT関連問題、社外に書類が持ち出せないなどのセキュリティ上の問題、コミュニケーションがスムーズに行かないなどの問題があり、うまくいかないことも多かったようだ。

 また、「緊急事態宣言中ですが、ハンコのために出社しました」という自虐的な投稿をSNS内で何度も見かけた。

 クラウド会計ソフトのfreee株式会社によるテレワークに関するアンケート調査(2020年4月)によると、「テレワーク中でも出社が必要となる理由」は、「取引先から送られてくる書類の確認・整理作業」が38.3%と最多だった。続いて、「請求書など取引先関係の書類の郵送業務」が22.5%、「契約書の押印作業」が22.2%などと、紙やハンコのために出社した人は少なくなかったようだ。

 しかし現在総務省は、文書が改ざんされていないと証明する「タイムスタンプ」の事業者認定の運用開始を当初の2021年度から20年内に早めると発表している。順調に行けば、”ハンコのための出社”は過去のものとなるかもしれない。

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