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従来のフェスは選ばれた人たちのものだった “フェスの解放”となるか? 本日開催『ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020』の挑戦

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コロナ禍をきっかけに爆発的に広まった配信ライブ。今週末の6/20~21には、その配信ライブを大規模にした“オンラインフェス”が3つも開催されるのだが、中でも『ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020』は、ひときわユニークな形で開催される。

出演者全260組。彼らのライブが2日間にわたり、LINE LIVEやニコニコ生放送、YouTube、インスタライブ、ツイキャスなどあらゆるプラットフォームで配信される。おそらく配信史上最も大規模なフェスになるだろう。しかも視聴は無料。あくまで収益はクラウドファンディングのみに支えられているというのだ。

タイムテーブル1日目

タイムテーブル2日目

今回はその『ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020』の主催者であるお笑い芸人・やついいちろう氏に、この巨大オンラインフェスはどのような経緯で生まれたのか、オンライン化によって見えてきた新しい可能性について伺った。【木下拓海・田野幸伸】

フェスとは“体験” 様々な会場を周遊するイメージを重視した


——どのような経緯で、このフェスをやることになったのでしょうか?

僕は毎年6月に、渋谷の円山町にあるライブハウスやクラブを13会場使った『やついフェス』を開催してきたので、9回目となる今年もその準備を進めていたんです。

——もともとフェスをやっていたんですね。

今回の新型コロナウイルスの影響で、他のフェスも中止が発表されていく中、やついフェスも会場となるライブハウスやクラブが3つも閉店となり、GW明けに中止を発表しました。その代わりとして、オンライン化して開催することにしたんです。

——様々な配信プラットフォームを使うことにしたのは、なぜでしょうか?

1つのチャンネルに限定して、テレビの生中継的に視聴するというスタイルは、今まで13会場を周遊して楽しんできたやついフェスらしくないと思ったんですね。だからLINE LIVE、ニコ生、YouTube、インスタライブ、ツイキャスなど、それぞれの配信プラットフォームをライブハウスに見立てたら面白いんじゃないかなと思ったんです。

——ライブハウスを回って歩くようなイメージを、プラットフォームをまたぐことで再現したと。

ところがそのアイデアを最初、運営チームにぶつけてみたら『収益化が難しい』と言われて、『どれか1チャンネルだけ有料にするのはどうか?』と返されたんです。でも、それだと今までのやついフェスの良さが生かされない。

——配信プラットフォームがバラバラだと、課金がしにくいですよね。

フェスとは体験であって、ライブをただ1つのチャンネルに羅列したものは体験ではないと思うんですよね。自分でタイムテーブルを見て、チャンネルを移動することは、実際に体を動かしている体験とほとんど変わらない。だから自由に行き来するというイメージにはこだわりました。そのためには無料化するしか方法がなかったというわけなんです。

——それでクラウドファンディングを始めたと?

そうです。いくら発想が良くても収益化ができないとイベントは続けられません。だからクラウドファンディングですべてのお金を賄うことにしました。おかげさまで運営チームから『これだけあれば赤字は何とかなる』と言われている1500万円を突破することができました。目標金額に対して300%超えです。支援してくれた皆様には本当に感謝しています。

▲CAMPFIREで現在も募集中の「YATSUI FESTIVAL! 2020 支援プロジェクト」(6/19午後時点)

——300%ということは、最初は500万円を目標にしていた?

はい。閉店瀬戸際のライブハウスと違って、フェスはそもそも好きで勝手にやっているものですからね。そこまで応援してくれる人はいないだろうと思って、最初は控えめに500万を目標にしました。でも、いざ蓋を開けてみたら、僕が思っている以上に、やついフェスを楽しみにしてくれている人がたくさんいた。まだ出演者も発表していないわずか3日間の段階で、500万円を達成できたんです。

——一旦中止を発表したことで、フェスを応援してくれる人たちが見えてきたんですね。

励みになりましたね。これが達成できていなかったら、規模も縮小せざるを得なかったわけですし、最初に思い描いていた自由に行き来できるオンラインフェスのイメージにならなかったかもしれません。でも300%を超えた今、もともと抱いていた構想が実現できるところまでは見えてきました。

オンライン化で、地域格差とルックスのコンプレックスを極限までなくす?


——そして全国のライブハウスも参加することになりました。

今までは渋谷で開催していたので渋谷にこだわっていましたけど、オンラインですからね。物理的な制約がありません。

——なるほど。

観客目線で言っても、端末さえ数を用意できれば、複数会場を同時に見ることもできますし、それってつまり、自分の分身を増やせるということですから。会場間の移動時間もないですし、本当にオンラインって制約がないんです。

——それで渋谷を飛び越えていろいろ巻き込んでいったんですね。

札幌、東京、名古屋、京都、大阪、松江、福岡、沖縄、そして韓国と9カ所のライブハウスに声をかけて、地元のミュージシャンを呼んでもらい、無観客ライブをやってもらうことにしました。そのライブはYouTubeなど、ライブハウスが持っているチャンネルで配信します。

——今回、多くの出演者たちが自分のチャンネルで配信をしますが、これにはどういった意図があるのでしょうか?

それが一番楽というか、やり方ももうわかっているし、すでにそこにお客さんもいる。ソーシャルディスタンス的にも理にかなっています。それに少しでも出演してくれる皆さんに自分のチャンネルを使うことで、収益などを還元したいという考えからです。もちろん大きなライブハウスでライブをしたい方は、そのためのチャンネルも用意しています。

——さらにフードコートも開設していますよね。

はい。全国の飲食店などに声をかけて、店頭でフェスのリストバンドを見せると割引になるサービスや、特別メニューのテイクアウトなどをしてもらっています。出店も無料です。観光客が激減して、全国の美味しい食材やお土産品が余っているという話を聞き、それが流通するきっかけになれたらいいなと思って始めました。

——そして、キャンペーンガールのオーディションもやると。

もともとのフェス中止を受けて1回打ち切ったんですけど、オンライン化で再度募集を始めました。オンラインならいちいち東京に出てくる必要もないし、どの地域に住んでいても、参加できますからね。ちなみにキャンペーン“ガール”と打ち出してますが、年齢性別不問です。もうカオスです。
(参照:キャンペーンガール応募者一覧

——誰でも“ガール”になれてしまうんですね(笑)

審査方法は、動画とZoomを使った生配信だけ。だから最初から最後まで一切会わずに審査するんですよ。オンライン上での面白さだけで優勝できる。最後まで盛ったままの状態で乗り切ることができるという、史上初のコンテストです(笑)

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