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放送作家直伝!テレビを楽しく視聴するための3つのポイント

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放送作家の深田憲作です。今回は、私ごときが大変恐縮ですが「テレビの楽しみ方」なるものをテーマに書かせていただきます。日頃からテレビマンは多くの人に番組を楽しんでもらうためにどんな工夫をしているのでしょうか?今後テレビをより楽しく見るために注目していただきたい、3つのことについてご紹介します。


チャンネルを止めてもらうための演出「サイドテロップ」

テレビ番組では必ずと言っていいほど画面の左上と右上にテロップが常に表示されています。これをサイドテロップと呼んでいます。

サイドテロップは基本的に「今、番組でどんな内容をやっているのか?」が書かれていて、主に視聴者がザッピングしている時にチャンネルを止めてもらうための役割を担っています。

サイドテロップに表示されている言葉が視聴者にとって興味深いものであれば、チャンネルを止めて見てくれますし、興味がなければそのまま違うチャンネルに変えられてしまいます。

みなさんも心当たりがあるかと思いますが「今日のこの時間はこの番組を見よう」というものが特にない時は、リモコンでパッパッパとチャンネルを変えていき、なんとなく面白そうだと思った番組をそのまま見続けるはずです。

その際、1つのチャンネルにつき5~10秒くらいで「見るか?見ないか?」の判断をしているのではないでしょうか?

テレビマンはそこでチャンネルを止めてもらうために、視聴者を惹きつけるサイドテロップを本気で考えています。

テレビマンによってサイドテロップへの考え方は違うと思いますが、僕は先輩から「サイドテロップは1行につき15字以内が理想だ」と教わりました。「パッと見で内容を理解してもらうためには文字が多すぎてはいけない」と。

では、実際の番組ではどんな言葉がサイドテロップに使われているのか? 僕がこのコラムを書く直前に見ていた『金スマ(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)』を例に見てみましょう。

この日はヒロミさんがゲストの回。(新型コロナウイルスの影響で内容は2017年の放送を再編集したもの)

サイドテロップの言葉は1回の放送の中でも何度も変わりますが、ヒロミさんがかつてテレビ番組の収録で大きなヤケドを負ってしまったエピソードを流している時のサイドテロップが以下の内容でした。

画面左上のサイドテロップは『金スマSP』
画面右上の1行目が『ヒロミが10年間テレビから消えた真相』
2行目が『収録中に起きた…死にかけた大事故』

このサイドテロップによってザッピングをしている視聴者は、ほんの数秒で「その番組が金スマである」ことが分かり、「この日のゲストがヒロミさんである」ことが分かり、「この日はヒロミさんが“10年間テレビから消えた理由”を紹介する内容である」ことが分かります。

画面に中居正広さんやヒロミさんが映っていない場面でザッピングしてきたとしても、サイドテロップで無意識に番組内容を理解しているというわけです。

1行目も2行目もひと目で興味を惹かれてしまう強い言葉で、ザッピングから多くの視聴者が流入したのではないでしょうか。極端な話、このサイドテロップが『ヒロミが好きな四字熟語とは?』では、ザッピング中にチャンネルを止めて見ようとは思わないですよね。

文字数を数えてみると『ヒロミが10年間テレビから消えた真相』は18文字。『収録中に起きた…死にかけた大事故』が16文字。僕が先輩から教わった15文字は超えていますが、色々な番組のサイドテロップを見ていると、なんとなく20文字以内に収めるという意識の番組が多いのかなという印象を受けました。

余談ですが、僕の経験上、年配のディレクターほどサイドテロップの文字数を少なくしたがる傾向があるように感じます。実際、昔のテレビ番組を見るとサイドテロップの文字数が少ないことが分かります。というか、サイドテロップ自体がない番組もあります。

サイドテロップという演出がいつ頃に始まって、どんな変遷を辿ってきたかは分かりませんが、視聴率を獲ることを突き詰め続けてきた結果、サイドテロップの文字数が増えていったのかもしれません。

YouTubeなどの影響もあるのだと思いますが、おそらく以前に比べて視聴者がその番組に見切りをつけるスピードも早くなっているはずですから、ザッピング対策も昔より今の方が繊細に行わなければいけないのかもしれません。

そしてもう1つ余談ですが、YouTubeでサイドテロップにあたる役割を果たしているのがサムネイルですね。(YouTubeの動画内にもサイドテロップを使うことがあるのでややこしいのですが)

ユーザーは数ある動画のサムネイルの中から興味を惹かれたものをクリックします。だからYouTubeチャンネルを運営している方々はこのサムネイルに命を懸けているわけです。

僕の知り合いは「YouTubeの再生回数はサムネイルで9割決まると言っていい」と話していました。「動画の内容よりもサムネイルに使う言葉と画像が大事」と言うのです。

「短い時間でいかにユーザーの興味を惹くか?」これは映像メディアに限ったことではありません。それぞれの業界が苦心に苦心を重ねて工夫をしているのでしょう。コンビニの商品や本屋に並ぶ書籍にも、私たちが無意識に誘導されている工夫が散りばめられています。

話がそれましたが、今後テレビを見る時にはサイドテロップに注目すると、今までとは違ったテレビの世界が広がります。

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