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国の豊かさとは何か

「国の豊かさとは何か」をテーマに、今年の夏に竹本直一事務所でインターンをした学生が、竹本直一にインタビューした記事です。

(1) 日本は経済的には豊かな国ですが、国民が豊かさを感じていないことについて、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。


豊かさを感じるのは個人的な価値観ですが、日本は富の量で言えば豊かだといえます。

「富を持っていたほうが幸せだと感じる」という前提であれば、日本の富は中国の2.8倍ほどあるわけです。GDPでいえば現在は中国の方が上ですが、これまで貯蓄してきた富が日本にはあるのです。

それから、ミザリーインデックス(悲惨指数)という、失業率と物価上昇率で算出される数値があるのですけれども、その数値で見ると日本は、惨めではない国という結果が出ています。しかし実際には、自分の生活が豊かだと感じている人は少ないのですね。

日本の富の豊かさと言いましても、平均値を出しているわけで、この10年間で中間層がやせ細っていますから、巨万の富を持つ人と、貧困で悩む人の格差が激しくなっているのですね。

国には富があるが、個人的に豊かさを感じないというのは、そのような要因もあるのだと思います。


(2) 日本人が幸せだと感じる項目の上位が「健康」「お金」「家族との人間関係」であるのに対し、国民の幸福度が高いブータンでは「隣人との関係」「家族間の平和」「地域間の関係」となっています。この結果には国民性の他に、経済的な発展との関係はあるでしょうか。

それはあると思います。やはり国が経済的に大きな発展を遂げれば、国民の生活にも変化が訪れます。

絆や地域とのつながりを優先しなくなる傾向も見られると思います。

ブータンの国王が来日された時に、国民の幸福度が高い国ということで注目されていましたね。

国民性の違いもあるので一概には言えませんが、経済的には豊かでなくても精神的には幸せを感じているということです。

国が経済的に発展をすると、富が増えていくことや、生活水準の向上の中に楽しみや価値観を見出すようになるのですね。

例えば、自動車を手に入れ、自動車のある生活になったとすれば、遠くへ出かけたり移動距離が長くなったりと、それを活用する生活になっていくのですね。

それと同じように、生活のスタイルがどんどん変わって行きますから、当然価値観の変化も訪れるわけですよね。


(3) 経済的な豊かさと、精神的な心の豊かさについて、両立は可能でしょうか。


これは難しい質問ですが、日本の経済が豊かなのは、それだけ多く、ものすごく働いているから豊かなのであって、それが心の豊かさにつながるとは思えませんよね。

例えば、ギリシャなどでは、日本人の約3分の1程度の労働時間なので、GDPもそれほど高くはないですが、我々よりも豊かに感じる生活をしています。

自分たちの生活に余裕を持っているのですね。

どちらが幸せかといえば、ギリシャの方々の方が幸せそうですよね。

国の豊かさではなく、国民の豊かさや余裕に焦点を当ててみると、そのようなことも一つ言えると思います。


(4) 日本人が日常生活で不安に思っていることで例をあげると「老後の生活の不安」「雇用の不安」「子育てへの不安」などがあります。これらが、豊かさを実感するうえで妨げなっていると思うのですが、どのような解決策があるでしょうか。

先ほどの、価値観の変化もあるのでしょうが、昔は何にしても家族の支えがあったわけです。

老後のことに関しても、子育てのことに関しても。地域とのつながりもありました。

今は各家族単位、もしくは個人単位で生活を考えるようになってきていますから、自分の親の面倒を見たり、子育ての時間や労働の時間を工面したりすることが難しくなります。

年金をもらうといいましても、十分生活していけるような金額がもらえるかといえばそんなこともないですから。

また、少子化などの問題においても、家族を大切にしようという政策自体が少なくなっていますから、家族、地域単位で社会活動をするのだという意識をもう一度持ったほうがいいかもしれません。

子育てをするにはお金がかかり、稼ぐために子供を施設へ預けなければいけない。しかしそれにもまたお金がかかる。これはあまりに効率が悪いですよね。

昔は地域の子供たちは地域で面倒を見ていたという感覚ですが、現代では難しいことですよね。

特に女性に優しい、家庭を中心に子供たちの面倒を十分に見られるような政策が必要になってきますね。


(5) 海外での社会の仕組みなどで日本が見習うべき点はあると思いますか。  

見習うべきところはたくさんあると思いますが、逆に取り入れるのは適切でない政策もあると思います。

例えば、北欧の社会システムですが、日本より生活が厳しいところで、男女共に働かなくてはいけない状況なので、男女平等参画社会基本法というものが発達しています。

このやり方が日本に浸透していっても、本当に豊かになれるのでしょうか。

男女を平等に平等にといっても、女性には出産や子育てという役割もありますから、何でもかんでも北欧の社会システムを真似すればいいと言うわけではありません。

もう少し豊かな国では、女性は家で家事をしたり子育てに専念したりとなるわけです。日本では日本に合ったシステムを考えていかなければならないと思います。

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