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全国的な課題への打開策? 増加するいじめの刑事事件化 - 斎藤剛史

滋賀県大津市のいじめ自殺事件を契機に、いじめ問題が全国的な課題になっています。今回の事件では、地方教育行政を担う教育委員会への不信が高まっていることが大きな特徴です。そのようななかで、いじめを受けた子どもやその保護者が直接、警察に被害届を出し、刑事事件にするケースが増えているようです。背景には、学校や教育委員会に対する国民の不信感の高まりがあります。

いじめにより中2男子生徒が自殺したのは2011(平成23)年10月でした。しかし事件が社会的問題にまで発展したのは、市教委が「自殺の練習」などのいじめを男子生徒が受けていたとする学校のアンケート調査の結果を公表しなかったと報じられた2012(平成24)年7月以降です。このことから一般社会は、いじめ自体の問題と同時に、いじめの存在を公表しなかったとされる市教委の対応に大きく反応したことがうかがえます。その結果、子どもや保護者からの被害届を受けた警察が、傷害事件などとしていじめ加害者の子どもを検挙・補導したというニュースが相次いで報道されるようになりました。
警察庁(外部のPDFにリンク)によると、2012(平成24)年上半期(1~6月)に警察が扱った「いじめに起因する事件」は65件で、前年同期に比べて38.3%増加しています。大津市の事件が社会的問題となった2012(平成24)年7月以降のいじめの刑事事件化の報道の多さを見ると、さらに増えることが確実です。

いじめを刑事事件化するケースの増加には、二つの理由が挙げられます。
一つ目は、2011(平成23)年暮れの長崎ストーカー殺人事件で、被害届の不受理やたらい回しが社会的批判を浴びたため、各警察署が被害届を積極的に受理するようになったことです。警察庁は2012(平成24)年8月、被害届の受理を徹底するよう各都道府県警察本部に通知(外部のPDFにリンク)しましたので、この傾向はさらに強まると予想されます。二つ目は、大津市の事件により学校だけでなく、地方教育行政の責任者である教育委員会への不信感が国民の間に高まったことです。いじめを訴えても学校は当てにならない、教育委員会も信用できない、という子どもや保護者がたどり着いた先が警察と言えるでしょう。
ただし、いじめを刑事事件化することには賛否両論があります。一つは、傷害や恐喝などは「犯罪」であり、学校と警察が連携して刑事事件として対応すべきだという意見で、文部科学省などもこの立場を取っています。もう一つは、あくまで「教育問題」として子どもたちに対応すべきだという意見です。

「いじめ」という名の下で、傷害や恐喝などの「犯罪」が見逃されるようなことがあってはなりません。でも、すべてを警察任せにしても真の解決にはつながらないでしょう。今、大切なことは、子どもや保護者の目線に立って、学校や教育委員会が国民の信頼を取り戻す努力をすることです。これまでの「教育問題」としての対応が「保身」や「事なかれ主義」につながっていなかったかどうか、教育関係者全員の猛省が求められます。

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