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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)になすすべなしのチリはどうなるのか?

私が在チリ大使館の経済アタッシェをしていたのは1991-94年ですから、もう30年近くも昔のことなんですが、そのころからチリは経済的には「中南米の優等生」とされていました。

私のような左派・リベラルのエコノミストには決して快くはありませんでしたが、アジェンデ政権をクーデタで倒したピノチェト大統領のもとにシカゴ学派のエコノミストが集まって、ジャーナリストのナオミ・クライン女史のいうところの「惨事便乗型資本主義」でもって、メチャメチャな経済運営をしながら、銅という天然資源に恵まれて順調な経済発展を続けて来ました。

長らく、チリ経済についても注目されてこなかったのですが、一昨日の6月16日第一生命経済研から「チリ: 感染『第2波』直撃もなす術なし、事態収束の見通しはみえず」と題するリポートが出ていることを知りました。

すなわち、昨年10月の地下鉄料金引上げをきっかけとした反政府デモが激化し、11月のAPEC首脳会議の開催が放棄された、ところまでは知っていましたが、加えて、12月のCOP25も開催できず、国際的な信認を失墜していた上に、さらにさらにで、世界を覆った新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の抑え込みにも失敗し、リポートでは、「中南米で政治の流動化が懸念される上、チリがその発火点となる可能性にも注意が必要である。」とすら指摘されています。

チリでは3月にCOVID-19感染者が確認され、政府は感染封じ込めに向けて国境封鎖のほか市民の移動制限を実施した結果、4月下旬にはピニェラ大統領が「感染拡大のピークは過ぎた」と発言して外出制限の解除に踏み切ったんですが、外出制限が解除されたことで5月から感染者数が急拡大したため、再び5月中旬に首都サンティアゴなどを対象に強制的な外出制限を課す事実上のロックダウン措置を取ったものの、その後も感染拡大が収まっていません。

上のグラフの引用元である第一生命経済研のリポートでは、タイトルでもそうなっていて、「第2波」と考えているようですが、私のようなシロートが上のグラフを見る限り、そもそも第1波も終わっていないのではないのか、とすら思えます。

例えば、チリの累積の感染者数は約18万人と中南米地域ではブラジルの約89万人、ペルーの約23万人に次いで3番目となっていますが、ブラジルなんぞとは人口規模がケタ違いですから、人口対比では突出しています。

しかも、本格的な夏に向かう我が国などの北半球と違って、チリなどの南半球はこれから気温が下がって冬に向かい、まあ、日本でいえばインフルエンザが流行したりするシーズンに入るわけです。私が滞在したのは30年近く前のことですが、50年前の1970年9月の大統領選挙ではアジェンデ大統領が当選し政権に就いた歴史を考えれば、今年は50周年に当たります。果たして、チリはどこに向かうのでしょうか?

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