記事

女帝小池百合子の新たな仮想敵国「豊洲、パチンコの次はホストを殴り殺します」

1/2

「東京大改革バージョン2.0でございます」

6月12日午後6時過ぎ。東京都庁内の記者会見室に、小池百合子知事は無数のフラッシュを浴びながら入室した。濃紺のジャケットに、緑色のスカーフ。この日に合わせたように、襟足や前髪は短く整えられていた。

「4年前の原点を思い返し、再び都民の皆さんの推薦、推挙を得るための戦いに臨みたい。掲げる言葉は『東京大改革バージョン2.0』でございます」

記者会見で東京都知事選への再選出馬を表明する小池百合子氏=2020年6月12日、東京都庁 - 写真=時事通信フォト

小首をかしげ、少しだけ上目遣いに見上げるいつものポーズだった。体ごと、ぐるりと報道陣を見まわし、7月に行われる都知事選への出馬を高らかに宣言した。小池氏は2016年7月の前回選挙で約290万票を獲得し、知事に就任した。差配する予算規模は13兆円、4万人の職員を部下に持つ。任期中、政党を立ち上げるなど国政への色気も見せたが、今は「トップダウンでこれだけの組織が動くことに、面白みを感じているようだ」(都庁幹部)。

小池氏は再選に向け、主な公約として新型コロナウイルスの感染第2波に備えた取り組みを挙げた。その上で、感染リスクが高い密閉、密集、密接の「3密」を避けるため、街頭演説はしないと言い切った。新型コロナ対応など公務を最優先し、選挙戦はオンラインで行うのだという。

あまりに強すぎる小池百合子

こうした選挙では、論戦は低調にならざるを得ない。「危機管理」を前面に打ち出すことで、現職の強みを最大限に生かしたともいえる。立憲民主党関係者によると、5月下旬に実施した都知事選の情勢調査では、蓮舫副代表や、れいわ新選組の山本太郎代表といった想定候補を3倍近くの差で引き離し、圧倒的な強さを見せつけたという。自民党も含め、主要な国政政党は独自候補の擁立断念に追い込まれた。

新型コロナ対応で陣頭指揮を執る姿は、間違いなく再選の追い風になった。

だが、小池氏の新型コロナ対応は、決して手放しで称賛できるものではない。都庁関係者によれば、小池氏は当初、「対策は国の責任」との発言が目立ち、主体性は感じられなかったという。実際、安倍晋三首相が小中高校の一斉休校を要請した2月になっても、小池氏は中国に、約30万着の防護服を無償提供している。

小池百合子の敵認定で動きは急加速する

潮目が変わったのは、3月下旬になってからだ。東京都内では、感染者が急増し始めていた。3月28日。新型コロナ対応を所管する西村康稔担当相は、土曜日にもかかわらず小池氏を急遽、呼び出した。

「厚生労働省の調査で、都内の感染者はキャバクラやクラブなど夜の繁華街で感染しているケースが多いと分かりました。感染拡大を防ぐため、都知事にはここの対策をしていただけないでしょうか」

政府からの強い要請を受け、小池氏は週明けの3月30日、臨時の記者会見を開く。

「若者はカラオケやライブハウス、中高年の方々はバーやナイトクラブなど、接待を伴う飲食店に行くことは当面お控えいただきたい」

小池氏は業種を名指しして、利用の自粛を呼びかけた。それまでの暗中模索と異なり、「敵」が明確になったからだろうか。以降、小池氏の動きは急加速する。

東京の経済を殺した犯人は一体誰だ

4月7日、政府の緊急事態宣言を受け、小池氏はどの業種に休業を要請するかの検討に入った。キャバクラやクラブなどの夜の繁華街関連に加え、百貨店やホームセンター、理髪店などを含める案をまとめた。これに対し、政府側は休業要請の対象をもっと絞り込むよう求めた。いきさつを知る政府関係者は「都は一体何を考えているのかと。ここまで広げたら経済がもたないし、そもそも日常生活が成り立たなくなると思った」と漏らす。

政府と都の話し合いが持たれているさなか、都の案は一部の新聞やテレビで報道される。それが既定路線のように扱われた。都庁関係者は「都民の命を守る小池氏と、経済優先で待ったをかける政府。こんな構図を作るため、知事周辺が意図的にメディアに情報を流したのではないか」といぶかる。

政府と対立構図を作り出した結果、休業要請は緊急事態宣言から遅れること4日後、4月11日にずれ込んだ。小池氏は定例記者会見で「代表取締役社長かなと思っていたら、天の声がいろいろと聞こえてきて中間管理職になったようだ」と嘆いて見せた。

血税4億円は自身の選挙対策に

小池氏はさらに、4億円を投じてテレビCMなどの広告を作成したほか、毎日夜、都庁舎からユーチューブでの生配信を始めた。深刻な表情を浮かべ、語気を強めて「大切な人の命を、守りましょう」と呼びかける。「命を守る都知事」のイメージが定着した。

その間、現場では何が起きていたのか。

急増する感染者に、病床の確保が間に合わない。都の職員はあらゆる医療機関に電話をかけ、病床を空けてもらうよう頼み込んだ。それでも足りず、軽症者はホテルで受け入れることになった。政府関係者によると、どのホテルが使えるかは、観光庁など政府の職員が一軒ずつ、電話で探したという。

都庁幹部によると、小池氏は何らリーダーシップを発揮することはなく、結果として、ホテル探しは政府頼みになった。

あわせて読みたい

「小池百合子」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    尾身氏の述べる感染対策が具体的

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    天才は「How型」で物事を考える

    幻冬舎plus

  3. 3

    韓国 慰安婦像前で三つ巴の戦い

    文春オンライン

  4. 4

    宇垣が豪語 告白は「させない」

    SmartFLASH

  5. 5

    舛添氏 複合災害の対策急ぐべき

    舛添要一

  6. 6

    独立続出の芸能界 裏に金と圧力

    渡邉裕二

  7. 7

    綾瀬はるか 格差が結婚の障壁か

    NEWSポストセブン

  8. 8

    感染増加で若者を批判する愚かさ

    文春オンライン

  9. 9

    日本は米中どちらを取るべきか

    自由人

  10. 10

    北方領土めぐる首相の政策は失敗

    原田義昭

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。