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【世界難民の日】コロナ禍で生き抜く日本や世界の難民事情を知って オンラインイベントが20日に続々開催

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宗教、人種、政治的な背景、同性愛などの性的マイノリティであることなど、さまざまな理由で迫害を受け、母国を逃れざるを得なかった難民は日本にもいる。

2019年、日本で難民認定申請をした人の数は10,375人。一方、同年、認定されたのは44人※だった。認定率の面では他国と比べて受け入れ態勢が整っているとは言いがたい。また支援団体によると現在、コロナ禍により職を失い、さらに困窮する難民認定申請者の人たちも出てきているという。

※認定者の人数には19年以前に難民認定申請をした人たちを含む

そんな難民の事情や支援に対する理解や関心を深めてもらおうと、国連が定めた「世界難民の日」が6月20日に訪れる。日本でもさまざまな支援団体が世界難民の日に合わせてイベントを開催する。

難民の存在を身近に感じるのにうってつけの「料理」、「ファッション」、「音楽」などさまざまな切り口で、難民の現在を知ることができるイベントの主催者を取材した。

「食」を通じて知る日本に生きる難民の姿


世界共通だが文化や人によって異なる「料理」。

そんな食をテーマに、日本の難民に考えるライブ配信イベント『食を通して伝える難民の声』をDialogue for People(D4P)と認定NPO法人 難民支援協会(JAR)が20日14時半~16時半、YouTubeにて共催する。

リンク:ライブ配信イベント『食を通して伝える難民の声』

国内外の難民を取材してきたD4Pのフォトジャーナリスト・安田菜津紀さんと、日本の難民支援を続けてきたJAR代表理事の石川えりさんが対談。日本で飲食店を経営する難民の人へのインタビューや、難民たちの故郷の料理を紹介する。

“違い”が強調されがちな難民 「私たちと同じ日常があること知ってほしい」

今回のイベントのテーマを「食」にした背景を編集部が尋ねると、石川さんは「日本では、難民たちの出身国や生きてきた環境、言葉や文化など、“違い”が強調されがちです」と指摘する。

「難民になる前は、私たちと同じように仕事や生活、大切な人との日常があった。違いに目が行きがちだが、誰にでも身近にある料理というテーマを通して“同じ”なんだという理解を深めてほしい」

イベントでは難民の母国の料理を食レポなどで伝える予定だ。普段から難民問題について興味がある人だけでなく、「エスニックなど海外料理に興味がある人や若い人たちも参加していただければ」と石川さんは呼びかける。

昨年から今年にかけ、両者がそれぞれ食と難民に関する著書を上梓したことも今回のイベントが実現したきっかけのひとつという。

『海を渡った故郷の味 新装版 Flavours Without Borders new edition』(編著:認定NPO法人 難民支援協会、出版: 株式会社トゥーヴァージンズ)

『故郷の味は海をこえて「難民」として日本に生きる』(著・写真:安田菜津紀、出版:ポプラ社)

コロナ禍失業で困窮 難民認定申請者から「食料がない」と相談

Getty Images

一方、イベントを機に「新型コロナウイルスの影響が日本の難民当事者に大きな打撃を与えているということも知ってほしい」と石川さんは口にする。

日本で弱い立場に置かれることの多い難民申請者は、申請結果を待つ平均3年の間にホームレスになるなど厳しい状況に陥ることが多い。石川さんは「今回のコロナ禍がそういった厳しい現実に拍車をかけている」と指摘する。

新型コロナウイルスの感染が広がる直前に来日した人のなかには、持参したお金が尽き、野宿をせざるを得ない人もいる。そういった人たちの感染防止のため、難民支援協会はシェルター提供などを行っている。

また、コロナ禍の経済的打撃による失業などにより困窮状態に陥る難民申請者も多くいる。当事者だけではなく、それまで支援してきた周囲の人たちが失業することにより、「最後の頼みの糸」が切られることも。同協会には難民申請者から「食料が尽き、もうあとはお米が少し残っているだけ」という相談が寄せられたこともあるという。

石川さんは「こういったことはこれまで日本社会のなかにあったが、未解決のままだった課題。コロナ禍を機にそれを共有して一緒に考えていきたい」と力を込める。

そのうえで「行動を起こそうとした時に選んでほしいのが寄付という手段。難民支援の活動を経済的に支えるだけでなく、『私たちは無関心ではない』という意思表明になり、とても大きな力になります」と訴えた。

ライブ配信イベント『食を通して伝える難民の声』は有料限定公開のため、事前申し込み(リンク:https://d4p-jar-202006.peatix.com/view)が必要。一般1,000円、学生は無料。

難民認定申請者の就労を「ファッション」で応援

WELgee

難民認定申請者の就労伴走事業などを行うNPO法人WELgeeは15〜21日にかけて、オリジナルの服やバッグなどのチャリティアイテムをJAMMIN ECサイト(https://jammin.co.jp)で販売する。

購入1回につき100〜700円が、難民と日本企業のマッチングを行い、就職や生活の安定をサポートする同団体の人材紹介サービス「JobCopass(ジョブコーパス)」運営の資金となる。

アイテムには「SHAPE THE FUTURE TOGETHER(ともに未来を築く)」というメッセージとともに、向かい合う二人の人物のシルエットが描かれている。

WELgee

異なる境遇を持つ相手との「対話」の重要性を表すデザインだ。同団体広報部の林将平さんは「紛争地帯でテント暮らしを続けるなど“難民=困難”というイメージだけではない彼ら/彼女らの魅力的な一面を知ってほしい」と力を込める。

WELgeeの活動で難民の人たちと接するなかで、自分らしさをファッションで表すことが多いことに気がついたという。

「日本の方も難民の方も自分を表現する手段として共通するファッションを通じて、難民の方の存在や魅力を発信していきたい」とコメントした。

水原希子、伊勢谷友介などが参加 「世界難民の日」限定の配信型無料音楽イベントが開催


日本国内の難民だけでなく、世界の難民に焦点を当てたオンラインイベントも開催される。

国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本公式支援窓口である国連UNHCR協会は20日から、配信型音楽・映画イベント「UNHCR WILL2LIVEムーブメント2020」を開催する。


「#生き抜くチカラ」「#WILL2LIVE」と銘打って行われる同イベント。

「聴く支援」では20日17時~18時半(予定)の間、MIYAVI(UNHCR親善大使)と長野智子(国連UNHCR協会報道ディレクター)をメインパーソナリティーに迎え、YouTubeにて音楽イベント「UNHCR WILL2LIVE Music 2020」を無料配信する。

リンク:YouTube配信ページ

リンク:国連UNHCR協会YouTubeチャンネル


ゲストとしてKREVA、LUNA SEA、RHYMESTERらアーティストが参加。綾小路翔(氣志團)、伊勢谷友介(株式会社リバースプロジェクト代表)、亀田誠治、水原希子、SKY-HIらがメッセージゲストとして登場するという。

「観る支援」では難民に焦点を当てた映画6作品が6月20日〜8月31日までの期間中見放題となる「募金つきオンラインシアター」を展開。

20日8時から申し込みを開始する。料金は2,000 円(視聴料2,000 円)、3,000 円(視聴料2,000 円、難民のための匿名募金1,000 円)、5,000 円(視聴料2,000 円、難民のための匿名募金3,000 円)から選択する。

「世界の難民は苦境を戦い抜いてきた私たちの先輩」

音楽イベント「UNHCR WILL2LIVE Music 2020」は東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えたリアルイベントとして同協会などが昨年から開催準備を進めてきた。しかし、新型コロナウイルス拡大の影響により開催が危ぶまれる事態となったという。

その状況下でアーティストらが参加を表明したことにより、オンライン配信という形での開催が決定。同協会広報の島田祐子さんは「結果として日本や世界中から参加できる形になった」と意気込む。

「#生き抜くチカラ」「#WILL2LIVE」というハッシュタグには「いま、コロナ禍で日本をはじめとした世界中に経済、健康面などで苦しい立場に置かれている人たちがいる。だからこそ、国境を超えて同じように苦しむ人たちに思いをはせることができるのではないか」という思いが込められている。

島田さんは「難民は苦境と戦ってきた先輩」と話す。

「私たちが支援するだけではなく、困難な環境を生き抜いてきた彼ら/彼女らの姿から生き抜くチカラをもらうことができます」

イベントを通して「世界中がコロナ禍という危機を迎えているが、日本だけでなく世界のさまざまな場所でさまざまな危機に立ち向かい、生き抜く人々の姿を知ってほしいです」と願う。

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