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イージス・アショア配備停止をブースター落下問題に矮小化した防衛省の見解

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イージス・アショアに関する防衛省の公式サイトです。

陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に関する秋田県及び山口県への説明について
https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/aegis_ashore.html

ここに『イージス・アショアの配備に係る適地調査等の結果について(回答)(2019.12.17)』という公文書が文責を防衛大臣河野太郎の名で公開されています。

イージス・アショアの配備に係る適地調査等の結果について(回答)(2019.12.17)

ご覧のとおり、イージス・アショア配備予定地のひとつだった山口県関係者に対して防衛大臣名で、防衛省が回答をしている文書なのですが、注目したいのは文書の20頁の質問と回答です。


大切な箇所なので細かく検証しておきます。

まずは質問内容です。

(4)迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールし、ブースターを演習場内に落下させるための措置を講じるとされているが、突発的な弾道ミサイルの飛来に対応し、瞬時に当該ミサイルの速度・飛翔方向、上空の風向・風速、落下時のブースターの姿勢等の諸条件を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能なのか。 《説明資料 P84、P85》

補足しておきますと、イージスアショアで運用されるSM-3迎撃ミサイルは推進部分が三段式の構造で、第一段ブースター、第二段ロケットモーター、第三段ロケットモーター、そしてキネティック弾頭に分かれています。

第一段ブースターはMk72と呼ばれるアメリカ製で、この部分だけで重量は約700kgあり、推進剤を使い切って約250kgの残骸が落ちてくることになります。Mk72ブースターの燃焼時間は約6秒です。

つまり上記質問は、迎撃ミサイル発射6秒後に落下してくるブースターが「演習場内に落下させるための措置を講じる」としているが、「瞬時に当該ミサイルの速度・飛翔方向、上空の風向・風速、落下時のブースターの姿勢等の諸条件を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能なのか」という技術的質問なのです。

これに対すて防衛省の解答は以下です。

1.迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールする具体的な方法については、米国との関係もあり、お答えは差し控えさせて頂きますが、迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能です。

「具体的な方法については、米国との関係もあり、お答えは差し控えさせて頂きます」とした上で、「迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能」と明言します。

続いて。

2.ブースターに関しては、分離後、上空の風の影響を受けながら、地上に落下してくることから、現状、想定されるあらゆる風向・風速条件でも、設定した落下区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化します。

「現状、想定されるあらゆる風向・風速条件でも、設定した落下区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化します」とソフトウエアの運用で実現するとしています。

さらに、「上記の計算結果を基に組み入れられたシステムによって、ブースターを演習場内に落下させることが可能となる条件を速やかに導出」と回答しています。

3.実際に迎撃ミサイルを発射する場合には、風向・風速計でむつみ演習場に配備されたイージス・アショア上空の風向・風速を計測し、上記の計算結果を基に組み入れられたシステムによって、ブースターを演習場内に落下させることが可能となる条件を速やかに導出し、迎撃ミサイルを発射するといった措置をしっかりと講じます。

今検証したように、防衛省による地元へのこれまでの説明では、「迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能」と明言してきたわけです。

しかしながらです。

15日、河野防衛大臣は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の山口県と秋田県への配備計画を停止する考えを表明しました。これにより日本のミサイル防衛計画の抜本的な見直しが迫られることになります。

配備計画停止の理由は、迎撃ミサイルを発射する際に使う「ブースター」と呼ばれる推進補助装置を、演習場内に落下させると説明していたものの、確実に落下させるためには、ソフトウェアの改修だけでは不十分だと分かったことを明らかにしました。

「ソフトに加えて、ハードの改修が必要になってくることが明確になった。これまで、イージスアショアで使うミサイルの開発に、日本側が1100億円、アメリカ側も同額以上を負担し、12年の歳月がかかった。新しいミサイルを開発するとなると、同じような期間、コストがかかることになろうかと思う」と述べました。

そして「コストと時期に鑑みて、イージス・アショアの配備のプロセスを停止する」と述べ、配備計画を停止する考えを表明しました。

ブースターの落下位置を制御できないからという理由ですが、これはいくつかの点で納得ができません。

まず第一に、問題がブースター落下だけなら海に落とせばいいだけなので配備場所を海沿いに変更すれば解決します。

しかし防衛省側がそのような実現可能な具体的検討をすることなく、ブースター落下問題だけを理由に配備計画を停止したことは、ここまでですでに日本側で掛かっている1000億円以上の費用を考慮すると、納得できません。

さらにより本質的には、推進剤を使い切って約250kgのブースターの残骸などを問題視するとならば、飛来してきた核ミサイルを迎撃せずに見過ごし日本が攻撃され多大なる被害を被るのと、比較議論しなければなりません。

米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」の村野将研究員は、「陸上イージスから1発40億円もする迎撃ミサイルを発射するのは、核かもしれないミサイルが飛んできているという国家存亡に関わる状況だ。ブースター落下による被害を心配して配備計画を見直すのは釣り合いが取れない」と指摘。「政府は陸上イージスに代わるミサイル防衛の案を示していない」として、イージス艦隊の運用や日米防衛協力の役割分担にも影響を及ぼすと懸念を示しています。

その上で「日本では安全性に対する地元住民の不安をあおれば、最終的に政治の腰が折れるという悪い前例を作ってしまった」と分析。今後新たな防衛アセットの配備計画が持ち上がるたびに、中国や北朝鮮、ロシアがそれを阻止するために情報戦を仕掛けてくる可能性があると語っています。

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