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【ウォルマート】、有人レジ撤去しセルフレジのみをテスト!安全性や生産性だけでない?


■ウォルマートは先週、アーカンソー州フェイエットビルにあるスーパーセンターでフルサービス・チェックアウト・レジをすべて撤去し、セルフ・チェックアウト・レジのみでのテストを開始した。

有人レジを無くすことで店内での感染リスクを下げ、買い物のスピードアップなどを試験する。

米国のフルサービス・チェックアウト・レジは通常、カートやカゴほどの幅があるベルトコンベアが付属しており、お客は自分で商品をベルトコンベアに載せる。

ベルトコンベアで運ばれた商品をレジ係りが次々にスキャンしていく。ウォルマートではレジ係りがスキャンし終わった商品を袋詰めまで行うようになっている。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、レジ列にソーシャルディスタンシングを導入し、お客とレジ係りを仕切るアクリル板も設置している。

店内感染の防止ではスタッフ全員がマスクやフェイスシールド、手袋を着用し、お客も入店時にマスクの着用を義務化されている。

フルサービス・チェックアウト・レジでは商品を介しての間接的な接触があることで感染リスクが完全には払拭されていない。

ウォルマートではセルフ・チェックアウト・レジだけにして、スタッフは補助のみ対応していくことで完全性を確保するのかを見るのだ。

ウォルマート独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」ではタッチスクリーン上の操作もパンデミック以降、コンタクトレスで行えるようにもなっている。

 セルフ・チェックアウト・レジについては賛否両論があり、対応もまちまちだ。

ワシントン州シアトルなどで消費者協同組合形式のスーパーを展開するPCCコミュニティマーケット(PCC Community Markets)は昨年初め、全11店にあったセルフ・チェックアウト・レジを撤去した。買い上げ点数が少ないお客には有人のエクスプレスレーンを導入したのだ。

PCCでは会計時にお客とスタッフの接点をもたせることでカスタマー・エクスペリエンス(CX)を向上しようとしている。

PCC同様、一部のチェーンストアではセルフ・チェックアウト・レジを撤去する動きがある。

世界最大手の家具チェーンのイケアは8年前、セルフ・チェックアウト・レジを全店でやめてしまった。組み立て家具が入ったフラット型ダンボールなど形がいびつの商品パッケージでは、慣れないお客が商品バーコードを探すことになる。

セルフ・チェックアウト・レジでは時間がかかりすぎてしまい、かえって行列ができてしまっていたのだ。

マサチューセッツ州に80店近くを展開するスーパーのビッグYは2011年、セルフ・チェックアウト・レジを撤去した。

アルバートソンズでも傘下のスーパーや南カリフォルニアで展開するボンズやパビリオンでも一部、セルフ・チェックアウト・レジを止めている。

一度はやめたものの復活させているチェーンストアもある。コストコは2013年、テストを行っていたセルフ・チェックアウト・レジを撤去した。しかし数年前から新たにセルフ・チェックアウト・レジの導入に踏み切っており、導入店舗を徐々に拡大しているのだ。

 セルフレジのみ対応するウォルマートのテストは、カーブサイド・ピックアップや宅配サービスの利用を促進することも背景にはあるのだ。

トップ画像:セルフ・チェックアウト・レジでウォルマート・ペイで買い物する当社IT&オムニチャネル・ワークショップ参加者。数点の買い物ならセルフレジでOKだが、カート山積み客の場合は?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。週末の忙しい時間帯、ウォルマート・スーパーセンターにいくと必ずと言っていいほど、あの大きなショッピングカートに商品を山積みにして買い物をするお客を見かけます。

ウォルマートが先月発表した第1四半期(2月~4月期)決算では既存店・売上高前年同期比が10%の増加でした。内訳は客数が5.6%の減少で、客単価は16.5%の増加です。外出を控えながら買い物時は食品や生活必需品を買いだめするようになったのです。以前にも増してカート山積みで買い物するお客が明らかに増えたことになります。

フェイエットビルで行っているセルフレジのみのテストは、カート山積み客の買い物動向を探るために行うのです。買い物点数が数十点以上あれば、商品一つ一つを自分でバーコード・スキャニングするためお客には大きなストレスになります。

単純に客離れや大クレームが起こるのか、それともカーブサイド・ピックアップ利用の割合が増えるのか?が焦点になります。後者の場合、生産性の上昇もポイントです。

⇒ところでウォルマートのビジョンにはネットスーパー用にAIロボットを活用した店内物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)があります。ウォルマートは今年2月、ロボット物流企業のアラート・イノベーション(Alert Innovation)と提携し、ニューハンプシャー州セイラム地区にあるスーパーセンターでのMFCについて稼働状況を明かしました。

スーパーセンター・セイラム店では昨年、2万平方フィート(560坪増床)し高さ20センチ幅60センチ四方の小型カートのようなロボット「アルファボット(Alphabot)」が動き回る物流倉庫を導入したのです。MFCでは8,000平方フィート(220坪)内にある複数台のアルファボットが注文品をピッキングして、複数のピックステーションに運びます。

ピックステーションでは、カーブサイド・ピックアップもしくは宅配用にドライブスルーで利用者に渡せるようにスタッフが商品を仕分けを行います。現在は30台(最大100台の稼働が可能)のアルファボットが稼働しています。

⇒最大収容2万アイテム中の2割となる4,500アイテムをピッキングしています。1日当たり170件の注文を処理していますが、野菜や果物などの生鮮品ピッキングにはまだ対応していないということ。ウォルマートではスタッフが店内を歩き回ってピッキングするマニュアルピッキングと比較してMFCでは10倍速くピッキングできるとしています。

来年中にはオクラホマ州マスタングとカリフォルニア州バーバンクにあるスーパーセンターでも2万平方フィートより小型となるMFCを導入する予定です。ハイブリッドストアとなるMFCを併設したスーパーセンターは、生産性を高めなければなりません。一部スタッフをマニュアルピッキング用のピッカーにする必要があるのです。

フルサービス・チェックアウト・レジのスタッフをピッカーに登用するということ。そうすると有人レジに代わってセルフレジを大幅に導入しなければなりません。それまで店内でカート山積みで買ってくれていたお客は、ネットスーパーでどれぐらい注文するようになるのかがカギになります。

 それを知るためにフェイエットビルでテストを行っているのです。単純に店内の生産性や安全性を上げるためのテストではありません。最尖端ITを使う、世界一の小売チェーンはアフターコロナなど二手先、三手先のフェーズを見ています。

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