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鍵を握るのは“半グレ”双子兄弟 歌舞伎町スカウト狩り事件の内幕

國友公司

6月はじめの週末、『新宿スワン』さながらの事件が歌舞伎町で起きた。あるスカウト会社に所属するスカウトマンたちと暴力団員が揉め、暴行事件に発展。その光景を撮影した動画がTwitter上にアップされるとたちまち拡散され、街は「スカウト狩り」の話題で一色となった。原因は何なのか? 街の住人、当事者のスカウトマンたちは事件をどう見ているのか? 警察は見て見ぬふりなのか? 気になる事件の詳細をレポートする。

歌舞伎町で有名だった双子のスカウト

「スカウト狩り」の標的となったのは「N社」というスカウト会社だ。風俗関係者によれば、このN社は複数ある歌舞伎町の最大手のスカウト会社だという。このN社の経営者である双子の兄弟は、歌舞伎町では有名な存在だ。歌舞伎町に根を張る週刊誌記者に、取材の過程で入手した双子兄弟の写真を見せると、こう返ってきた。

「いま話題のスカウト狩り、やっぱりこの双子兄弟ですよね。3年前にも新宿駅の東口近辺で暴力事件を起こしているのを見ました。その後も何度も街で暴れている、イケイケの双子兄弟として知られていますよ。もはやスカウト会社というよりは半グレ。警察の取り締まりで暴力団が身動きを取りづらくなったのをいいことに、やりたい放題だと聞きました」

発端は「スカウト会社同士の引き抜きであった」などの報道もあるが、原因は諸説あるようだ。話題となった動画の舞台になった商業ビルの近くに毎晩立つキャッチの男性はこう話す。

「私もこの件に関していろいろな噂を聞きますが、何が本当かはわからないですよ。しかし、暴力団員があれだけ派手に暴れるというのは、いまの歌舞伎町では珍しいことだし、ただ事ではない。本当の原因を知っている人は、それをベラベラしゃべるとは思えませんね」

発端は8人組スカウトマンによる暴力団員への暴行

スカウト狩りの根本的な原因は明確にはわからないが、動画が投稿され話題となった6月はじめの週末以前から、騒動は始まっていたようだ。「歌舞伎町のへそ」とも呼ばれる風林会館近くで長年キャッチをしている男性が教えてくれた。

「あの動画は俺も見たけど、その3週間くらい前から騒動は始まっていたよ。N社に所属している8人組のスカウトマンが暴力団員の2人組と揉めたらしい。はじめは話し合いで収めようとしていたんだけど、スカウトマンが手を出して、ボコボコにしちゃったみたいだな。数日後、職安通り近くの『Tビル』の前で30人くらいの暴動、そのあとも何度か似たようなことが起きて、総勢80人の例の動画の暴動さ」

何で揉めたのかは不明ではあるが、はじめの8対2の暴力事件を機に、好き放題に街を荒らしていたN社に制裁を加えた、というのが顛末であると思われる。動画が投稿されてからというもの、「スカウトマンのような恰好をして歌舞伎町を歩いているとスカウト狩りに遭うので注意」という噂も駆け巡っていた。

そもそも歌舞伎町におけるスカウトマンとは、道行く女性に声をかけ(最近ではTwitterなどネットのみで路上に立たない者もいる)風俗、キャバクラ、ガールズバー、AVなどに女性をあっせんし、その売り上げの一部をバックとして受け取っている者たちのことを指す。

しかしながら歌舞伎町には、ホストクラブのキャッチなど女性に声をかけている男性が数多くいるため、一目でスカウトマンだとは判別しがたい状況だ。客の女性と一緒に歌舞伎町を歩くホストは、「全身ユニクロとかにしなきゃいけない感じかもしれないっすね。スカウトマンも担当の風俗嬢と街を歩くでしょ。同じに見られちゃ怖いですよ」と話した。

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アンタッチャブル化したスカウト狩り事件

今回の「スカウト狩り」では、双子兄弟の居場所を特定するために、暴力団員たちが片っ端からN社所属のスカウトマンを探しているという。ネットの情報ではすでに連行されたスカウトマンもいるとのことだ。実際のところはどうなのか。N社ではない会社に所属するスカウトマンに話を聞いた。

「私も暴力団員たちに囲まれて事情聴取を受けましたよ。うちの会社では、歌舞伎町でN社の名前を発することすら禁じられています。スカウトマン同士でいるときも、その話は誰もあえてしないですよ。アンタッチャブル感がすごいです」

これまで得た情報の真偽を確かめようと、こちらの情報をスカウトマンにぶつけてみると、「何も話したくないし、私も何も聞きたくないです。やめてもらってもいいですか」と話を遮られた。しかしこのスカウトマンも、6月10日現在、歌舞伎町の路上でスカウト行為をしている。街を歩いてみても事情聴取のような光景は見られず、事態は一時落ち着いていると見ていいだろう。

警察「派手にやられちゃ黙っていられない」

久々の歌舞伎町らしい事件に興味津々の人たちもいれば、怖くて歌舞伎町に行けなくなってしまったという人もいる。後者には「なぜ警察は見て見ぬふりをするのか」という声もあるようだが、一言でいうと警察は動いている。歌舞伎町である施設を経営する男性がこう明かす。

「スカウト狩りが話題となった約1週間後に、刑事が『防犯カメラを見せてくれ』とやってきましたよ。自分も気になるんでその刑事にいろいろ聞いてみたけど、警察もよくわかっていないみたい。ただ、このスカウト狩りに参加している暴力団員は約150人と見ているようで、『それだけ派手にやられちゃ警察も黙っていられないよ』といっていました」

近隣の飲食店にも同じように刑事が防犯カメラを見に来たという。2004年に行われた石原慎太郎元都知事による歌舞伎町浄化作戦で大量の監視カメラが取り付けられ、現在はドームカメラ46台、固定カメラ9台の計55台が設置されている。それだけでは何もわからなかったのか、もしくはさらなる証拠集めのために各店舗を漁っているのか。

「じつをいうと、その双子兄弟はうちにも何度か来たことがあって面識があるんですよ。でも最近は来ていなかったし、来てもとくに何も映っていないから防犯カメラは見せたけど。何か映っていたらそれはそれで怖いよね。警察に提供したことで逆恨みされてもね。そんなことで、警察の捜査を嫌がっている歌舞伎町の住人は多いです」

このスカウト狩り事件のエンディングは、姿をくらましている双子兄弟が表に出てくることだろう。双子兄弟が見つかり制裁が加われば、歌舞伎町のスカウトも淘汰され、暴力団もいなくなって一石二鳥だという声もある。しかし、そんなことが起きてしまえば、歌舞伎町の取り締まりはより強化され、さらに健全化が進み、夜の街としての魅力を失った街になってしまいそうだ。

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