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地方経済にチャンス到来

掲題と同じ題名のコラムを「週刊 金融財政事情」に書いた。以前から思っているのだが、ネットの時代、首都圏に住む理由が消滅した。コロナちゃんが、「首都圏の住民が多いの、うれしい、乗り移りたい」とはしゃいでいるから、ますます首都圏に住みたくない。

何故、過去から現在に至るまで、東京への一極集中が生じたのか。理由は簡単である。仕事が豊富にあったから。人が集まったから、ついでに利便性も増した。教育、医療、金融、美術館などの文化だろうか。

これらの理由は、インターネットとコロナによって破壊されつつある。数年後が楽しみとさえ思えるほどに、首都圏の優位性が消滅し、むしろ劣位に立ちつつある。

仕事が豊富にあるとの理由は、在宅勤務によって影が薄くなりつつある。どこに住んでいても仕事ができるようになった。とくに、知的能力や独創力が必要な仕事に、首都圏は不必要である。むしろ、首都圏の超の付く狭い空間は、独創力には毒かもしれない。

そもそも、企業の本社機能が都市部にある必然性もない。かつてのように、官公庁の指導と保護を受け、さらには優先的な地位を与えられることにより、有利な事業展開が可能だった時代ならいざ知らず、今はそんな時代でない。

グローバルに顧客本位の事業展開ができなければ、いくら官公庁と癒着していても経営破綻する時代である。あえて社名を挙げないが、官公庁から役員を受け入れていたのに左前になった大企業が、ここ数年でも複数ある。思い出してみるのもいいだろう。

とすれば、オフィスの賃料が高く、従業員に「痛勤」を強いた上にウサギ小屋みたいな住居相応の給与しか支払えず、さらにはコロナの恐怖に晒してしまう首都圏に、企業が本社機能を構える積極的理由がどこにあるのだろうか。地方に本社機能を移転すれば、これらの首都圏の欠点のすべてが解決し、状況が逆転する。

「でもね」と、「教育は、医療は、金融は、文化は十分なのか」との反論があるかもしれない。

教育と医療は、政府が、業者や関係機関に向けてではなく、国民に向けて誠意を示せるかどうかにかかっている。ネットを使えば、教育も医療も、たとえ地方であっても高い質が実現できる。

たとえば教育に関して、塾などは高い質をネットで提供している。ネットを活用してこなかった政府が遅れ、取り残されただけに過ぎない。医療も、今の「健康でないと病院に行けない」状態が異常すぎる。ネットを使えば、地方の病人でも一定の質をクリアした診療が受けられる。その上で、必要があれば地方の中核病院で検査を受け、入院すればいい。

金融は今でもネットで相当のことが可能であるし、ますます実店舗の必要性が低下していく。文化は、美術館やコンサートはともかく、歴史的な建造物や美術品について、首都圏よりも豊富な地方が多い。

これに加え、地方では豊かな家庭生活が実現する。広い家、豊かな自然環境、通勤時間の縮小に伴う家族との時間の増大である。家族との時間が増えれば、子供と一緒の時間も増え、子育てにメリットが生じる。政府としても、少子化対策にもなること必然だろう。

首都圏から地方への流れを作れば、それはESG(環境、社会、ガバナンス)を推進することにも結びつく。とくにSには大いに貢献する。これまで、コロナに対して下手を打ってきた政府としても、企業に地方移転を促せば、名誉挽回を図れる。そんな千載一遇のチャンス到来である。

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