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放送作家「テラスハウス問題に潜むテレビ局あるあるの編集テク」

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リアリティー番組の出演者による自殺が増えている

女子プロレスラーの木村花さんが亡くなった。22歳、レスラーとして前途有望な将来を前に、あまりにも早すぎる突然の死だった。

新日本プロレス・スターダム提供試合。星輝ありさ、岩谷麻優組対ジュリア、木村花組。星輝ありさを攻める木村花=2020年1月4日新日本プロレス・スターダム提供試合。星輝ありさ、岩谷麻優組対ジュリア、木村花組。星輝ありさを攻める木村花=2020年1月4日 - 写真=日刊スポーツ/アフロ

ご遺族の意向をくみ死因こそ明らかにされていないが、出演中だったリアリティーショー「テラスハウス」(フジテレビ系、ネットフリックスで配信)での彼女の振る舞いに対する、SNSなどの誹謗(ひぼう)中傷が大きな要因であると報じられている。

韓国では既に、大手ポータルサイトが芸能ニュースのコメント欄を封鎖する中、日本でもようやく誹謗中傷対策の是非が取り沙汰され始めた。

防止策は議論されてしかるべきテーマだが、何よりリアリティーショーという番組の在り方について、こちらも考察すべき事案が多いように感じる。海外ではリアリティーショーの出演者が、自殺などにより30人以上も亡くなっているという報道さえある。

その事実にも驚かされるが、母体となる出演者の人数を踏まえると、この死亡率の高さは検証が必要な“異常な値”でもある。

一般的なテレビドラマなら、どれだけ悪態をつき、嫌みな行動をとっても「役を演じている」とみなされる。しかしリアリティーショーは、番組の性質上、「個人」の言動や性格に直結するように映る。かるが故に、番組へのクレームではなく、出演者本人にその矛先が向けられてしまう。

テラハメンバーが「ムカついてた」こととは

もちろん、過去にもヒロインをとことん“いびる”役を演じた女優に、脅迫電話が寄せられるなどの騒動も多々あった。しかし今は、お茶の間でテレビ画面に向かって呟いていた悪口が、ごっそりとそのままネットに乗っかり、SNSを通じて相手まで安易にたどり着いてしまう時代だ。

事実海外では、不快感を言葉としてぶつけながらリアリティーショーを見る「ヘイトウォッチング」なる楽しみ方さえ存在する始末……。「有名税」を持ち出しての批判もあるが、演者の精神的負担は昔の比ではないはずだ。

木村花さん訃報に際し、テラスハウス関係者の言葉を拾うと、編集方法について言及している発言が多いように受け取れる。あるメンバーの1人はツイッターで「何も指示されていない」と示しながら、同時に「編集にはムカついてたけどな」とも発信している。

出演者と制作者の間で、どういうやりとりが行われていたかは定かではなく、推し量ることしかできないが、彼が指摘したこの内容はおそらく彼の目から見た事実であろう。

結論めいたことを先に述べてしまうと、内容の方向性を完全に出演者に任せきるような番組の作りは、制作側としては怖くてトライできないと想像される。

その理由を、編集も含めた「番組における演出の在り方」から思索してみたい。

制作側の感想やアドバイスは「指示」になるのか?

リアリティーショーの前提は、台本が無い中でカメラを回し、日常のやりとりをドキュメンタリーの要素を入れつつ公開する。つまり、普段は直視することのない人間の本性が垣間見えるほど、番組の特性が“よく出ている”という評価につながる。

だとすれば、回を追うごとにショーとしての面白さを求めるのは、作り手として当然の思考回路である。

おそらくだが、制作者と出演者が全く交流しないということは考えにくい。ベッタリでなくても、ピンポイントで感想やアドバイスを行う場面はあったはずだ(逆に、全く交流が無かったとすれば、それはそれで「出演者の心のケア」という観点で問題だ)。

出演者側に立ち返っても、求められる意図をくみ“番組を盛り上げたい”と少なからず思案してくれていたことだろう。

先程のメンバーの発言に立ち返れば、そうした場面を「指示」と呼ぶかどうかは、やはり双方の裁量と解釈による。「雑談」と呼んでしまうことだって可能だ。だが、その雑談こそ、私意として制作側の意図を伝える役割を持つことを、明瞭に確認しておかなければならない。

「思いもよらない展開」と「想定した流れ」を望む矛盾

「2人でお出かけとか行ってみる?」=(くっつかないかなぁ)
「あの人のことイヤならバシッと言ってもいいよ?」=(対立しないかなぁ)

と、打ち合わせや会議の場で伝えるのとはまた違い、雑談には雑談でソフト部分に占める伝達の役割が大きい。

指示ではなく、あくまでリクエストの範疇である。ただ、出演者サイドから見ても、誰を軸に各回のストーリーを組み立てるか、困ったら誰に話すか……など気持ちの運びや展開を整理し、本番に向かう場合も多い。

そうした演者との調整がまた、目に見えない制作者の「手腕」と評価され、現にタレント対応に優れた制作マンは、やはり業界で重宝されるようにひしと感じる。

台本があっても、演出がある限り100%のリアルではない。制作陣が環境や感情の矛先をコントロールするだけで、文字通り「強制」はしていないのだろう。だが、そこに制作者と出演者という関係性が根を張るならば、ちょっとした雑談も、ひとたび「強制」へと姿を変えかねない。

「思いもよらない展開!」をあおる番組でありながら、「想定した流れで盛り上がってほしい!」という制作側に横たわる矛盾。そして、その狭間を埋めるのが「演出」というグレーゾーンでもある。

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