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安倍首相の根拠なき楽観論「未来を先取りする変革進める」

時楽観論に根拠は無かった(時事通信フォト)

 新型コロナに関して安倍晋三首相は計8回、会見を開いたが、振り返れば「虚言」「詭弁」「責任逃れ」が目立った。それを検証する。

 3月14日、緊急事態宣言が可能になるコロナ特措法の成立翌日に行なわれた安倍首相の会見。

「現時点で緊急事態を宣言する状況ではない」

 感染が広がる中、首相は緊急事態宣言を決断できずに“根拠なき楽観論”を繰り返すようになる。

「人から人へ、次から次に感染が広がるわけではありません」
「オリンピックを無事、予定どおり開催したい」
「卒業式も安全面での工夫を行なった上でぜひ実施していただきたい」(2月29日に行った休校要請は継続中)

 そうは言ったものの、全国には卒業式を中止した学校も多い。国民は首相の言葉を信じられなくなっていた。

 コミュニケーション・トレーニングやPRセミナーを運営するグローコム代表の岡本純子氏は、国民の不信感の理由をこう分析する。

「感染についての楽観的な発言は国民の不安を煽らないためかもしれないが、安倍首相はこの段階では、休校や自粛を要請しているわけです。子供の安全のためと4月まで休校させ、一方で卒業式は実施というのはブレーキとアクセルを同時に踏むようなもので、判断を国民に委ねただけ。リーダーはひとつのメッセージを明確にしなければなりません」

 休校を決めたときは「私が決断した以上、私の責任において、万全の対応をとる」といいながらブレにブレた。

 そうした間にも経済的な影響は次第に広がった。感染防止のためにテレワークを実施する企業が増え、旅行・観光業界などでは休業が相次いだ。とくに深刻なのが音楽や演劇など文化芸術分野だ。コンサートなど予定していたイベントの中止で売り上げ減少どころか大きな損失を被った。

「機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れず講じる」

 首相は会見で強調したが、対策として掲げた言葉はこれである。

 テレワークの普及で「これを機に次元の異なる対策を打ち出して未来を先取りする変革を一気に進めたい」(3月16日国会答弁)

 首相のイベント中止要請に苦しむ文化芸術業界などに対しては「直接補償は困難」という姿勢を変えず、そのかわりに、「こういう時期だからこそ、デジタルニューディールという形で文化、芸術分野に対する支援についてしっかり考えていきたい」(4月1日国会答弁)

「未来を先取りする変革」も「デジタルニューディール」にしても、具体的な中身のない政権の宣伝スローガンだ。生活の保障と仕事の継続を求めている人々が失望するのは当然だった。

※週刊ポスト2020年6月26日号

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