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団塊世代がやり残したことにケリをつけるのは誰か

団塊世代の最終ランナーが定年となる時期を迎え、新たな世代論が高まっている中で、先日私の甥から全く耳慣れぬ言葉を聞いた。ともに人気漫画やアニメのタイトルからとったワンピース世代とガンダム世代というものだ。自由と仲間が大切で所属する組織の浮沈にはあまり関心がないというのがワンピース世代で20代を指す。一方、理不尽だとは思ってはいても組織から逃れられず、結局は守ってしまうというガンダム世代。これは主に40代を意味するという。

実際にこの“機動戦士ガンダム”を見て育った甥は、団塊世代及びそれに繋がる50代の先輩に反発をし、乗り越えることを誓いながら歯をくいしばって生きている。それもこれも後に続く後輩たちが共闘してくれることを信じてのこと。しかし、どうも若い者たちの価値観は全く違うのではないか、と今年45歳になる甥はぼやく。今の20代たちは、およそ人種が違うかのようだ、というのだ。

このあたり鈴木貴博『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』が見事に描きだす。勧められるままに読むと、いろいろな問題点が浮き彫りになってきた。

根底に横たわるのは、今の20代から60代までの現役世代と団塊世代との対立だ。団塊の世代は、いま定年を迎え美味しいところを享受して、落ち着いた老年期を迎えようとしているように見える、というのが若い世代の見立てだ。生まれ落ちてからこの方、好景気を実感したことのない20代の若者たち。師弟対談「先生、このまま逃げる気ですか」(中央公論7月号)でゼミの師にあたる団塊世代の御厨貴先生(東大客員教授)を激しく追い詰める教え子の追及の手は厳しい。御厨氏は「口には出さなくとも、絶対に逃げ切りの論理は皆強く持っている。何もやってこなかったのは悪かったと認めると。でも生物的な限界からいって、我々世代は逃げ切れると心のどこかで思っています」といたってズルい。「一緒に担ってほしい」との問いかけにもひたすら逃げの一手なのだ。

「戦後の補償問題やら対外問題、戦争責任問題など積み残された問題」がある一方、若者たちの多くは非正規労働者の座に追いやられている。31歳でフリーターという現状に「耐えがたい屈辱」を感じ続けつつ、就職もままならない若者の現実を嘆き、現状を流動化させてくれる「戦争」さえも期待するという「『丸山真男』をひっぱたきたい」(「論座」07年1月号)の赤木智弘氏の主張は今なお不気味に響く。こうした世代間闘争にケリをつけるのは一体誰なのか。政治に課せられた責任は限りなく重い。

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