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「書籍」がレコードのように懐かしグッズに変わる日がひたひたと

アマゾンの電子書籍の勢いが止まりません。電子書籍リーダーも新製品を4種、5機種を投入してきました。フロントライト付き電子ペーパーを搭載する「Kindle Paperwhite」、HD解像度の液晶ディスプレイを搭載する「Kindle Fire HD 」、新しいプロセッサーを搭載し、RAM容量を2倍にした「Kindle」新モデル、69ドルの「Kindle」です。Amazon、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」を発表 -INTERNET Watch : 



しかし、なにか日本ではまるで遠い世界の出来事のように感じてしまうのが残念なところです。 リンク先を見るアマゾンが力をいれるのも無理はありません。アマゾンが開催した報道社向けイベントでアマソンが見せた衝撃的なグラフが時代が交代期にはいってきていることを物語っています。TechCrunchが「Amazonが物理本の余命を宣告」という挑発的なタイトルをつけ紹介しています。

 同記事が書いているように、2010年には、Kindle Bookの売上がハードカバーの本を抜き、そして2011年には「物理本」全体の売上をあっさり抜き去ったのです。グラフを見ると、Kindle Bookの売上がまるで天に昇る竜のように伸びていることに驚かされます。



 日本はどうでしょうか。電子書籍の時代を切り開く担い手は楽天だと言わんばかりに、「読書に革命を。新しい楽しさを」と電子書籍リーダー「Kobo Touch」を発売し、また電子書籍のネットショップ「koboイーブックストア」を開設したのですが、トラブル続きで、レビューが大炎上するというスタートとなってしまいました。

おまけのように、楽天「Kobo」関係者が居酒屋で愚痴っていた様子を見ていた人のツイッターの書き込みまでネットで広がる始末でした。壁に耳あり、障子に目ありです。

人は財なり、楽天「Kobo」関係者が居酒屋で愚痴っていた様子が捕捉された模様 : 市況かぶ全力2階建 : 

非常に残念なことです。三木谷社長は強気のようですが、日経によれば、日本語の蔵書数は2万3000点ほどで、うち1万2500点以上が「青空文庫」を中心とする無料作品だとするとあまりにも貧弱な書店だということになります。しかもコミックを除くと書籍数はさらに少ないことになります。「青空文庫」ならPCでもiPadでも、スマホでも読めるので、楽天が関わる意味はありません。

8月末で6万点までいく予定で、その時点で国内最大になるだろうということらしいのですが、今の時点で「koboイーブックストア」に足を踏み入れても、その勢いや気配は感じられません。

おそらく楽天は戦略をミスしているのだと思います。なにが電子書籍市場、電子書籍ビジネスがブレークする鍵なのかを理解していないか、その鍵をこじ開けることに失敗しているのです。もしかすると「計画」はあっても「戦略」がないのかもしれません。

日本で電子書籍の開国を阻んでいるのは、消費者サイドでもなく、電子書籍リーダーの機能や品質でもありません。コンテンツの供給側の問題です。つまり作家や出版社が乗ってこないことです。

どうすれば「売れる作家」と「売れる書籍をもっている出版社」を取り込めるのか、それに電子書籍ビジネスの成否がかかっています。あるいはこれまでの出版社とは異なった新手で電子書籍の大ヒット作品が生まれるシカケをつくるかです。AKB48のマーケティングのように。

ゲーム機が、ソフトのヒットで売上が左右されるように、プロモーションも、まずは、「Kobo Touch」だけでなく、売れると確信したコンテンツを訴求するのが正攻法のはずですが、その仕掛けが感じられません。買い手側をワクワクさせ、それを読むために「Kobo Touch」も欲しくなるようにしてくれていないのです。

いったい楽天は、「売れる書籍」を電子化する、あるいは「売れるという実績」をつくるためにどれだけの投資を行ったのでしょう。アマゾンとアップルの間で最初に起こった水面下の争いは、作家と出版社の争奪戦でした。当然条件をめぐる駆け引きもありました。まずは、売れるコンテンツを集めることに両社とも必死だったのだと思います。充分収益がでるという実績さえ積めば、あとは自然にコンテンツは集まってきます。

電子書籍リーダーも発売しました、ネットで販売するサイトもつくりました、さあ、ぜひ先生の次の作品は楽天から電子書籍もお願いしますと言っても、売れる作品の作家の人たちや出版社が乗ってくるわけがありません。まだ海のものとも、山のものともわからない世界なのですから。

アマゾンの電子書籍の勢いかっらすると、日本は周回遅れ以上になってしまいました。消費者利益を損ねています。この前に進まない状況をブレークスルーするような見事なマーケティングを見せてくれるプレイヤーは出てこないのでしょうか。日本が遅れた消費市場ということで落ち着いてしまうと、また新しい分野の製品やサービスを生み出すことが難しくなってくるので残念です。

楽天さんはかかわってしまった以上、ぜひ戦略の練り直しを行い、この市場を切り開くことに尽くしていただきたいものです。

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