記事
  • 東龍
  • 2020年06月10日 16:48

飲食店が理不尽な巻き添え! 「接待を伴う飲食店」が全く無神経な理由

1/2

[画像をブログで見る]

「接待を伴う飲食店」の具体例

2020年6月3日、菅義偉官房長官が、新型コロナウイルス感染のリスクが高い場所として「接待を伴う飲食店」を挙げるのは誤解されるおそれがあるとして、キャバレーやナイトクラブといった具体的な業種を示しました。

誤解の理由は、接待という表現が取引先などとの食事と思われ、飲食店に客が訪れなくなるからであると説明しています。

私は以前に「接待を伴う飲食店」に関する記事を執筆し、当初「接客を伴う飲食店」が用いられていたことの問題点を指摘しました。

その時から状況が進展したので、改めて「接待を伴う飲食店」という表現について考えてみたいです。

関連記事

「接待を伴う飲食店」とは

まず「接待を伴う飲食店」とは何でしょうか。

産業別の経済活動を分析する際にも使用されるなど、日本で最も代表的な業種の分類に、総務省統計局の日本標準産業分類があります。

これによると飲食店は「中分類76」となっており、その下にぶらさがっている業種は以下の通り。ちなみに、この下にもさらに業種がぶらさがっていますが、当記事には必要ないので割愛します。

76 飲食店
  • 760 管理,補助的経済活動を行う事業所(76飲食店)
  • 761 食堂,レストラン(専門料理店を除く)
  • 762 専門料理店
  • 763 そば・うどん店
  • 764 すし店
  • 765 酒場,ビヤホール
  • 766 バー,キャバレー,ナイトクラブ
  • 767 喫茶店
  • 769 その他の飲食店
出典:日本標準産業分類(総務省統計局)

「接待を伴う飲食店」は、この分類の中には存在していませんが、推測や消去法からして「バー,キャバレー,ナイトクラブ」であることは確かです。

では、「接待を伴う飲食店」という言葉はどこからきたのでしょうか。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法は、客を接待したり、店内に遊技施設を置いたりするなど、特殊な飲食店について定められた法律。特殊な飲食店が該当するのは風俗営業ですが、性風俗とは関係がありません。

ここに該当する飲食店は公安委員会に許可を得たり、届出を提出したりする必要があります。

そして風営法の中に「接待飲食等営業」という分類があるのです。

接待飲食等営業
  • 1号営業 料理店、社交飲食店

キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業

  • 2号営業 低照度飲食店

喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席における照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業を徐く。)

  • 3号営業 区画席飲食店

喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの

出典:風俗営業等業種一覧(警視庁)

「客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業」と記されていることから、「1号営業 料理店、社交飲食店」が「接待を伴う飲食店」であることは明白。

つまり、「接待を伴う飲食店」は、風営法で定義されるような特殊な飲食店なのです。

以降「接待を伴う飲食店」と区別するために、風営法に該当しない、料理やドリンクを主とする飲食店のことを「普通の飲食店」と記すようにします。

「接客を伴う飲食店」と混用されている

「接待を伴う飲食店」は、3月の終わり頃から新型コロナウイルスに感染するリスクの高い場所として挙げられるようになりました。

そして、意図的であるかどうかは不明ですが、国や自治体、および、メディアが「接待を伴う飲食店」ではなく、「接客を伴う飲食店」と表現する場面も多く見かけられるようになっています。

接待も接客も、相手をもてなすという意味を持ちますが、実際の使われ方には大きな隔たりがあるでしょう。

接待は相手を歓待する場を設けることです。これを接客という人はいません。

接客は、飲食店であれば、オーダーをとったり、料理を作ったり、ワインを注いだり、皿やグラスを下げたり、支払いの対応をしたりするような行為です。これらを接待とはいいません。

法的には、接待はどのように定義されているのでしょうか。

風営法では、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことであると定められており、警視庁の法解釈では、スタッフとの会話やサービスなどの慰安や歓楽を提供することであると述べられています。

以上のように、接待と接客は全く異なるものです。

したがって「接待を伴う飲食店」ではなく「接客を伴う飲食店」と表現すると、大きな問題に発展します。

なぜならば、「普通の飲食店」はどこも必ず接客を行っているので、「接客を伴う飲食店」と表現してしまうと「普通の飲食店」も含まれていると思われるからです。

そもそも「接客を伴う飲食店」という言葉は一般的ではありません。意図的に使用していれば悪質なので言語道断であり、意図せずに使用していれば認識を改める必要があります。

いずれにせよ、「接客を伴う飲食店」という表現は、関係のない「普通の飲食店」の風評被害につながるだけなので、絶対にやめるべきです。

あわせて読みたい

「飲食業界」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    時代遅れの感が否めないほど低画質なサブチャンネル放送 NHKの五輪中継に苦言

    諌山裕

    07月31日 15:52

  2. 2

    どうして日本から敢えて海外移住するのか?

    内藤忍

    07月31日 11:03

  3. 3

    感染者4000人超に マスコミは五輪報道からコロナによる医療崩壊報道に切り替えるべき

    早川忠孝

    07月31日 17:57

  4. 4

    緊急事態宣言下で爆発している今の状況での延長なんて反感しか産まない ただ政府だけに責任押しつけるな 

    中村ゆきつぐ

    07月31日 08:58

  5. 5

    無法地帯になってきた空港と選手村 感染爆発が止まらないのも道理

    田中龍作

    07月31日 08:43

  6. 6

    歌舞伎×ジャズピアノ、タップダンスにイマジン…五輪開会式はなぜ変化球で攻めたのか

    毒蝮三太夫

    07月31日 08:05

  7. 7

    「"おじさん構文"でも大丈夫」部下とのLINEが苦手な人がやるべき"シンプルな解決策"

    PRESIDENT Online

    07月31日 09:40

  8. 8

    全国の新規感染者が1万2000人超、4日連続で過去最多

    ABEMA TIMES

    07月31日 20:13

  9. 9

    ゆうちょ銀行 東証の新区分プライム市場に不合格 上場株式は量よりも質の時代へ

    川北英隆

    07月31日 09:49

  10. 10

    「彼らを誇りに思う」アイリスオーヤマ会長が感激した"クビ覚悟"という社員の行動

    PRESIDENT Online

    07月31日 14:54

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。