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香港国家安全法と米人種差別暴動

 コロナ禍に苛まれている世界の中で、さらに心配な出来事が日本の両側で起こっている。

  一つは先月末に閉幕した中国の全人代で、政権転覆や機密情報漏洩の防止のみならず、領土保全からインターネット規制まで広い分野をカバーする国家安全法を、香港にまで及ぼすことが決議されたことである。

 香港は1898年来の英国の統治から、99年ぶりの1997年に中国に返還されたが、50年間は高度な自治と資本主義経済を保証することが、両国間で約束されていた。国家安全法はこの「一国二制度」の原則を破りかねない法律である。また香港の議会を経ずに頭越しに適用されようとしており、中国と台湾の関係にも暗い影を落としている。

 もう一つはアメリカ・ミネソタ州で発生した、黒人逮捕における警察の過剰な締め付けが、死に至らしめた事件である。これが黒人に対する差別であるとして、全米で非難のデモが発生し、一部が暴徒化した。1968年に公民権運動の指導者、キング牧師が暗殺されて以来の暴動とも言われる。いくつかの州では州兵が動員され鎮圧に当たっているが、トランプ大統領は軍の出動をもちらつかせている。

 トランプ大統領は香港への不当な中国の介入を批難し、制裁もちらつかせているが、一方お膝元では強硬な手段で事態の収拾に当たるという、まさにダブルスタンダードの様相を呈している。今回の暴動はコロナによる社会の分裂状況が背景にあるとされるが、トランプ大統領がツイッターで「悪党」と罵ったことも、火に油を注いでしまったようだ。

 いずれの出来事も民主主義にとっては脅威であり、それを変質させかねない状況である。またコロナ禍の影響が社会を分断させ、民主主義を容認出来ない状況を作り出してしまったのかもしれない。私たちは何が起ころうとも、この民主主義という真っ当なシステムを守りぬかなければならない。

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