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揺れるKERIS

 KERIS (Korea Education and Research Information Service、韓国教育学術情報院)は、教育情報化を推進する韓国の政府機関。1999年設立以来、全国規模で教育・研究情報の開発、管理、提供を行ってきました。

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 その本部、KERISビルを訪問。Ahn Seong HunさんとCho Kyu Bokさんの案内で、近未来の教室モデル「U-class」を拝見しました。 教卓がなく、白と緑の配色はリラックスできる雰囲気を醸成し、曲線でできたレイアウトは安全性を高める工夫です。壁に据えられた酸素発生器は集中力を高めるためのものだそうです。 教室には4台のプロジェクタと3台のディスプレイ。生徒たちはGalaxyタブレットを持ちます。床に投影するインタラクティブなディスプレイでサッカーしたり、3D顕微鏡を使ったり、ARで人体の仕組みを学んだりもしています。

 問題は教材。韓国では国算社理英の5教科のデジタル教科書が作られていて、KERISが開発するものもあれば、出版社も作っていて、学校が選ぶんだそうです。 KERISは国算社理の国定教科書をデジタル化していて、1科目あたり2〜4億ウォンの開発費がかかるとのこと。


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 デジタル教科書の対象は3年生〜中1。小学1〜2年生の利用には要望が低かったので、予算制約の問題で優先度を落としたそうです。 ただ、今後は制作を民間出版社に任せ、KERISはその検定と配信の役割となるとのこと。出版社から流通費をもらう計画だといいます。例えば、教科書からネットに張られるリンクがどこまで許されるかの基準を作っているそうです。 課題は著作権。著作権処理の問題は権利者が納得しておらず未解決とのことです。日本でも紙の教科書とデジタルの扱いが異なるため、デジタル化に弾みがつかないのですが、韓国にも同じ悩みがあるそうです。

 さて、今回それよりも注目したのは、端末のことです。韓国ではデジタル教科書は国が保障しますが、端末は生徒/家庭が用意すると聞きます。日本では一人一台と唱いながら、端末の負担をどうするかは未だ議論となっていません。それをどうとらえるか。
これには以下のような回答でした。
「端末は自分で用意する。いずれは国が買って配ることになるだろうと思うが、当面は自前となる。既に学生の4割がスマホを持っている。タブレットはまだだが、いずれ広がる。逆に、いつまでに何台かという目標を立ててはいない。 2014年に全小学校でデジタル教科書をスタートさせる。ただし、一人一台ということではなく、子どもたちの端末配備は間に合わない。電子黒板だけになる学校もあろう。 “一人一台の情報端末で、全授業でいつでも” ではない。デジタル教科書が「選択できる」よう整えるという考え方だ。一週間使わなくてもいい。使いたいときに使えるようにしておく、ということ。」

 なるほど、一人一台×デジタル教科書という日本が抱くイメージとは異なるということです。まず教科書の整備ありきで、利用シーンはバラバラなんですね。ネットワークは? 「無線LANも間に合うかどうかは不明。無線LANなどのネットワークは来年から整備となり、国が大半を支援する。クラウド・コンピューティング環境も政府は整える予定。KERISが運用することになる。 スマート教育の予算は2012年は332億ウォン。うちデジタル教科書は12億ウォン。その中で整備していく。 みんなタブレットを買え、ということではない。紙だけ、タブレット・PC利用、どちらもOKだ。ただし、いずれはデジタル教科書のみになるのではないか。」

 韓国の動きがことさら速く見えるのは、端末×教科書×ネットワークの一体整備を目指す日本と同様の展開を韓国が早いスケジュールで達成するように見えていたからかもしれません。「2014〜15年に達成するのは「速い」と見られているかもしれないが、Edunetやサイバー家庭学習などで先生も生徒もデジタル教育には慣れているから、抵抗が少ないという実態もある。 PCかパッドかも未だ決めていない。というよりデバイスの種類を問わず、アプリやコンテンツが使えるようにする。 このため、「標準化」が重要となる。2015年には、全てのアプリやコンテンツがあらゆる端末で利用できるようにしたい。」なるほど、このようにコンテンツとクラウドの利用が先に走り、デバイスフリーという考え方や、そのためのポイントが標準化だとする視点は、やはり韓国は先に行っていると思わざるを得ません。

 これまでのPC・ネットベースの対応から、マルチデバイス×クラウドに情報環境が大きくシフトする中で、KERISの役割も変わりつつあり、自身、進路を迷っているようにも見えました。担当者は「日本には、韓国の動きをみて大げさにとらえないでもらいたい。」と謙虚に話していましたが、そうは言っても韓国には先に進んでもらい、いろいろと課題解決のヒントを教えてくれるとありがたいなぁと感じた次第です。

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