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日産よ、復活の狼煙を上げよ

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安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・日産自動車、ゴーンショック後大幅な赤字に転落。

電動化、新技術で先行するも、商品化は遅いのが不思議。

・リストラ出来ぬなら、アライアンスの価値最大化が最終手段。

去る者日々に疎し。カルロス・ゴーン被告が話題に上ることもほとんどなくなった。が、日産がまた苦境に喘いでいる。また、と言ったのは、ゴーン被告が日産再建のためにルノーから送り込まれた20年前の時を思い出したからだ。日産は2000年3月期に6843億円の赤字となったが、2020年3月期の最終損益は皮肉にもほぼ同規模の6712億円の赤字となったのだ。

以前の記事にも書いたが日産にはお家騒動の系譜がある。前回は、労組のドンと石原俊会長(当時)との確執。今回は、ゴーン被告と西川廣人前代表執行役社長兼CEOらとの権力闘争だ。どちらも経営とは別のところでエネルギーを使い、会社の屋台骨が揺らいだ。

筆者は、1979年に日産に入社、日産がルノーに支援を仰ぐ直前の1992年に辞めた。その後、記者に転じ、ゴーン被告にも何回かインタビューしたし、日産をずっと取材し続けてきた。

ゴーン被告がいち早く電動化に目をつけ、経営資源を集中させたときは、その思い切りの良さに、慧眼だと感心したものだが、その後が良くなかった。

不思議なことに、電気自動車(EV)リーフを2010年に発売してから、他のモデルの電動化は一向に進まなかったのだ。モーターショーなどで日産の社員に毎回質問しても、明快な答えは返ってこなかった。

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ハイブリッドカー(HV)プリウスに注力していたトヨタ自動車は、EV開発に本腰を入れることが出来なかった。未だにフルEV(純粋にバッテリーとモーターだけで駆動するEV)は出していない。そのかわり、プリウスにプラグインハイブリッド(PHV)モデルを追加するなど、HV、PHV連合で市場を押さえに行く戦略を進めた。

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中国が一気に電動化を推し進め始め、EVや燃料電池車(FCV)などを新エネルギー車と定義づけ、その普及に一気に推し進めるべく政策の舵を切った。新エネ車にHVが含まれなかったので、一瞬トヨタが世界市場で不利になるかと思われたが、その後中国はPHVも新エネ車に加えたのでトヨタはほっとしたことだろう。その後中国の経済成長鈍化などもあり、電動化のスピードは鈍っている。

▲写真 上海の渋滞 出典:flickr : Carlos ZGZ

いずれにしても世界の電動化の潮流は、メディアが騒ぐほど進んでいない。その理由だが、一つには、まだまだEVの価格が高いこと。二つ目に、走行距離など性能的にユーザーが満足していないこと。三つ目には充電網などのEVのインフラが不十分でないことなどがあるだろう。

■ 日産の戦略:不思議その1

このような環境の中で、日産がEVのコストダウンを図るためには、リーフの技術を他のモデルに移植してEVのラインアップを増やすことが近道だ。既にEVの技術もプラットフォームもあるのだから、他モデルに移植することは容易だし、他社に技術を売ることもできたはずだ。しかし、この10年間その動きは全く見られなかった。EVの車種が一向に増えないのが第1の不思議だ。

■ 日産の戦略:不思議その2

その後、日産は更に不思議な戦略をとる。EVの車種を増やす前に、“e-POWER(イーパワー)”なる技術を開発したのだ。e-POWERとは、ガソリンエンジンとモーターを融合した電動パワートレインで、ガソリンを燃料にエンジンが発電機を回して電気をつくり、モーターで駆動するシステムだ。

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この技術は、先ほど上げた二つ目の弱点、走行距離の問題を一挙に解決した。充電専用のガソリンエンジンを搭載するというコペルニクス的転回で。ライバルから「こんなものEVじゃない!」などの声も聞こえてきそうな技術ではあるが、ユーザーは歓迎した。最初に搭載されたのはノート(2016年11月)で、大好評を博し、その後、セレナにも追加設定された。(2018年3月)変化球だったが予想を裏切り両モデルとも売れしたのだ。

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しかし、その2モデルだけで他モデルにe-POWERはなかなか水平展開はされなかった。ようやく今年になり新モデルに搭載されたが、その発表はタイ日産だった。それが新型コンパクトSUV、日産KICKS(キックス)”だ。日産の公式ホームページ内に先行公開サイトも開設され、まもなく不振の国内市場に投入されるようだが、いかにも遅い。せっかくユーザーに受け入れられた新技術も市場投入が遅れてはその優位性が失われるのは自明の理ではないか。なぜ、e-POWER搭載車を増やさないのかが第2の不思議だ。

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