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「禁止する法律なんて必要ない」という社会になるまでは… 被害が相次ぐアウティング・SOGIハラ


 三重県が全国の都道府県で初となる「アウティング禁止条例」を制定する見通しとなった。

・【映像】アウティング・SOGIハラって何だ? 三重が都道府県で"初の禁止令"を検討 オープンリーゲイの当事者と学ぶ

 「アウティング」とは、どの性別に好意が向くかを指す「性的指向」(Sexual Orientation)、あるいは自分が認識している性別を指す「性自認」(Gender Identity)について、本人の同意なく第三者に暴露することをいう。

 また、性的指向や性自認に対する侮辱的な言動を、頭文字を取って「SOGIハラ」と呼ぶことも増えており、今月1日に施行された職場でのハラスメント対策を企業に義務付ける「パワハラ防止法」の中でも禁止事項とされている。


 背景にあるのが、アウティングによって当事者が受ける偏見や差別だ。2015年には同性愛者であることを同級生にアウティングされた後に転落死した一橋大学の男子大学生の遺族が訴訟を起こしている。

 オープンリーゲイの松岡宗嗣・一般社団法人fair代表理事は「なぜ“LGBTハラスメント”ではなく“SOGIハラスメント”なのかと尋ねられることがあるが、私はゲイの当事者なので、男性が恋愛対象という性的指向を持っていて、男性という性自認を持っている。

 また、ストレートの男性だという人は、女性が恋愛対象という性的指向を持っていて、自分は男性だという性自認を持っているといえる。そのように、性的指向・性自認(SOGI)は全て人が持っている属性だといえるからだ。

 つまり、“お前ってホモみたいで気持ち悪いよな”といういじりは、同性愛嫌悪だけでなく、女性蔑視も含まれるハラスメントになってくる」と説明する。


 電通ダイバーシティ・ラボによる「LGBT調査2018」によれば、日本のLGBTは11人に1人と、左利きの割合に相当すると推計されている。また、「誰にもカミングアウトしていない」と答えた当事者は65.1%と、「カミングアウトした」との回答()父親:10.4%、母親:9%、職場の同僚・仕事仲間:4.5%、職場の上司:2.6%)を大きく上回る。

 一方、厚労省の調査によれば、性的マイノリティやいわゆるLGBTと呼ばれる人が社会にいることを認知しているという企業は93%だったものの、特に対策を実施していないという企業は88.2%に上っている。


 松岡氏は「当然といえば当然かもしれない。当事者としては家を追い出されるかもしれない、絶交されてしまうと考えて、身近な関係であればあるほどカミングアウトがしづらい。職場においても、カミングアウトをすれば笑われるかもしれないし、逆に腫れ物扱いにされるかもしれない。

また、企業としてはカミングアウトがないのでLGBTはいない、いない人のために施策する必要はないということでなかなか進まない。そういう負のスパイラルがあるのではないだろうか」と指摘。「実際、当事者の6割が学校でいじめ被害を経験しているという調査もあるし、悪気のないホモネタや“オカマ”“男女(おとこおんな)”といったいじりによって傷ついていることも多い。

しかしカミングアウトしてしまうことで、ありありと差別や偏見を受けてしまうかもしれない。そうやって、当事者の多くは“仕方がない、言わずに生きていこう”と考えている。だからこそ、自分のことを受け入れてくれる人たちは救いになるし、信頼できる友達に伝え、その人の前では自分らしく生きられるということになる。アウティングが危険なのは、そういう人たちが暴露してしまうことで差別的な言動をする人が現れ、やはり自分の居場所はないと感じてしまうことになる」と話した。


 その上で松岡氏は、法令の整備が進んでいることについて、次のように語った。

 「韓国のゲイクラブでクラスターが発生したことをきっかけに、韓国社会ではゲイコミュニティに対するバッシングも起きている。日本でも、アウティングによる訴訟が起きている。私もカミングアウトした後に地元に帰ると、みんなが噂で知っていた、という経験をしている。そういう中で、法律でちゃんと規制する必要があるのではないか、という議論が出てくるようになったのは大きな変化だ。

一方で、わざわざルールや法律で決める必要があるのかという意見もある。私も、必要がないのなら、その方が絶対にいいと思うし、アウティングされたところで“あなたがゲイだから何?”という社会になってくれれば、法律は必要ない。しかし今は過渡期として、法律を作った上で皆に浸透させ、法律が必要ないという社会にしていくことが大事だと思う。

大事なのは、本人に確認するということだ。本人が言ってもいいのであれば、別に誰に言っても問題はないし、本人が言って欲しくないということなのであれば、誰にも言わないでおこうという、すごくシンプルなことだ」。


 エッセイストの小島慶子氏は「私は異性愛者だが、それは男を好きになるということを選んだ、決めたというわけではなく、気が付いた時には男の子を好きになっていた、そういうふうに生まれたということだ。選べないものにも関わらず、“わざわざ男を選ぶなんて気持ち悪い”というように、趣味の問題にされてしまうこともある。性的指向に基づく差別がいかに人を傷つけ、疎外してしまうかということだ」とコメント。

 お笑いコンビ・EXITのりんたろー。は「僕にもゲイの友達がたくさんいるが、普段は隠して働いていると言う。“何で?言ってもいいじゃん”と聞くと、“その方が生きやすいし”と。中には、親にバレてしまったときに“そんなこと言う子は私の子供じゃない、出て行って”と言われた子もいる。一番理解してもらって、ケアしてほしい親に。すごく辛いことだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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