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【返品】、検疫コストに感染リスク!合法的万引き可能なウォルマートのアプリ返品とは?

■アメリカではほとんどのチェーンストアから多くの中小の小売店まで、購入した商品について返品期間内であれば、理由を問わず、使用済みでも、消耗していても返品・返金に応じてくれる。

商慣習になっている「100%満足度保証」は、商品に満足できなければ自由に返品でき、お客にはまったく損をさせない。

ただ今回のパンデミックにより返品は多くのチェーンストアに多大の負担を与えている。

いち早く動いたのはメンバーシップ・ホールセール・クラブのコストコだ。コストコでは新型コロナウイルス感染拡大後、トイレットペーパーやペーパータオル、消毒用洗剤にお客が群がって売り切れとなった。

一部に業者が買い占めを行ったことも品薄になった要因の一つだ。オークション等で高く売れないと知った業者が返品し始めたためコストコはすぐに買い占められた商品についての返品を禁止した。現在もトイレットペーパーやペーパータオル、ハンドサニタイザー等の消毒用洗剤、米などが返品が出来ないようになっている。

しかし他の小売チェーンはコスト高になっても返品に応じている。

コスト高になるのは返品の取り扱いだけではない。返品で行列に並ぶ客にもソーシャルディスタンシングを施さなければならない。

また返品を受け付けるカスタマーサービスのカウンターに透明の仕切り板を設置する必要もある。アクリス板を設置するだけでなく、商品を手渡せるスペースも仕切り板に開けて置かなければならない。

非常事態宣言以降、多くのチェーンが休業を行っていたため返品期間も延長する必要がある。スポーツ用品販売のディックス・スポーティング・グッズは60日の返品期間を90日に延長した。化粧品や香水を扱うセフォラも30日から60日に期間を延長している。

そしてコロナ禍の返品で最も頭の痛い問題が検疫だ。返品に付着したウイルスでスタッフに感染が拡大しないように大手小売チェーンは必要な措置を取らなければならない。受け取った返品を消毒し、隔離した場所に24時間〜48時間、置いておくのだ。

食品や日用品などは売り物にならないからこれらの返品の多くは破棄だ。つまり人件費をかけて返品された商品を処分するだけでもコストになる。

ウォルマートではストレスフリーなアプリの返品機能「イージーリターン」を行っている。

ウォルマートの店によってはカスタマーサービスで、返品以外のサービスを受け付けていることで混雑し、行列もできやすい。お客自身にアプリ上で返品処理を行ってもらうことでコストを圧縮しているのだ。

ウォルマートのアプリを使った返品はユニークだ。eレシートを使った返品は、利用者が事前にウォルマート・アプリ上で返品処理を行うことで返品スピードを早めるメリットもある。

ウォルマートでモバイル決済の「ウォルマート・ペイ(Walmart Pay)」で購入した商品(現在はレシートを読み込んでeレシート可能)やオンラインストアのウォルマート・コムで購入した商品が対象となる。

イージーリターン(モバイル・エクスプレス・リターン)は、購入した商品の中から返品したい商品をアプリ上のeレシートで選択する。そして返品理由をプルダウンメニューから選んで返品処理していくのだ。

現在のパンデミックでは食品やトイレットペーパーなどのペーパーグッズ、クリーニングサプライ、市販薬、衣料品、ヘルシー&ビューティ商品など多くが「お店に返品する必要はありません(No need to return it)」と表示され、返品不要となっている。

店に行かなくてもアプリ上で返品処理すれば登録しておいたクレジットカードに100%返金される。食品等の返品はお客が破棄なり処分するだけだ。

週客数1.4億人と言われるウォルマートでは大量に持ってこられる返品の検疫を考えたら、お客に処分してもらったほうが大幅にコストを抑えられるのだ。

悪用すればウォルマートのイージーリターンで合法的且つ簡単に万引できてしまう。返品期間内にイージーリターンを行えば、実質的に0円で商品を持ち帰れることになるからだ。

ウォルマートでは返品手続きを乱用するお客を一部に限られると見ている。返品検疫を考えれば一部に不正があってもお客に返品処理をしてもらったほうがコスト安となるのだ。

トップ画像:当社IT&オムニチャネルワークショップにてウォルマート・イージーリターン事例。ウォルマート・ペイでマカロニ&チーズを購入後、イージーリターンで返品するとチェックマークに「返品完了しました!(You're all set)」そして「お店に返品する必要はありません(No need to return it)」と表示された。クレジットカードへの返金も完了。返品せずとも返金され、無料で商品をもっていける。パンデミックにより返品無用となる対象商品が市販薬や衣料品などにも拡大されているのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社のIT&オムニチャネル・ワークショップのカリキュラムで、当社クライアントに最も大きなショックを与えるのがウォルマートのイージーリターンです。商品(食品でできるだけ安価なもの)購入直後、参加者にウォルマートのストアアプリで返品手続きしてもらうのです。で、「お店に返品する必要はありません(No need to return it)」の表示に誰もが衝撃を受けます。「合法的に商品がタダ、ゼロ円になるじゃん!」となり、関西の方なら「考えられへん!!!」と茫然、呆然、虚脱状態になります。

しかしこれはパンデミック以前の話。エントリー記事にあるように今なら安価な食品に限らず、トイレットペーパーなどのペーパーグッズ、クリーニングサプライ、市販薬、衣料品、ヘルシー&ビューティ商品などの多くが返品無用となる万引き可能状態です。理由は返品の検疫です。世界的大流行時に週客数1.4億人の10%が返品したら店はどうなるか?を考えれば理解できます。
顧客生涯価値だけでなく検疫コストや感染リスクを考えれば乱用される可能性があっても返品無用です。

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