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韓国、新型コロナ第2波の懸念高まる - 金 明中

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新型コロナウイルス再発の大きな原因は「気の緩み」

新型コロナウイルス対策として検査、隔離、情報公開を徹底している韓国で、新型コロナウイルス感染の第2波への警戒が広がっている。5月6日にソウルの代表的な繁華街である梨泰院(イテウォン)にあるナイトクラブで初の感染者が発生してから次々と感染者が見つかり、6月1日時点での感染者数は270人まで増加した。また、5月末に京畿道富川(プチョン)の物流センターで発生した集団感染で、100人以上の感染者が確認された。4月30日にようやく国内の感染者数が0人になり、5月6日からは防疫レベルを「社会的距離の確保」から「生活防疫」(生活の中での距離確保)に緩和したものの、事態は急変し感染の再流行が懸念されている。

今回、梨泰院のクラブや富川の物流センターで起きた集団感染の大きな原因は「気の緩み」である。

まず梨泰院のクラブのケースであるが、クラブやカラオケでは3密が起きやすく、換気や消毒、個人間の距離の確保など感染防止対策を徹底しないと集団感染の危険性が高い。しかしながら、今回、集団感染が起きた複数のクラブでは、「気の緩み」から、マスクの着用や個人間の距離の確保など感染防止対策が講じられなかった。梨泰院のクラブ発の集団感染のスーパー・スプレッダーになった20代男性も、マスクを使わずにクラブを利用したことが確認された。さらに、約5500人のクラブ利用者のうち2000人ほどが虚偽の連絡先を記載したため、現在も連絡がとれず多くの利用者に対する検査が行われていない状況である。韓国政府は、人々の移動やビジネス活動に対する厳しい制限をせず、徹底的に検査を行い感染者を発見・隔離することで、感染の拡大を抑えてきた。

そのために、感染者のスマートフォンやクレジットカードの使用履歴、監視カメラなどの情報が利用された。しかしながら、今回、集団感染が発生した梨泰院のクラブの一部が同性愛者向けの店であると知られたことから、店を利用した人たちが身を隠し、自主的に検査を受けておらず、防疫当局に混迷を与えている。韓国では性的マイノリティーに対する見方がかなり否定的であるので、該当クラブを利用したことにより、同性愛者であるとの差別や非難の標的になりやすい。主にその理由により、利用者の多くが防疫当局の調査に協力していない。

一方、富川の物流センターのケースでは、同じく「気の緩み」から、感染防止対策をおろそかにしたことが集団感染の原因となった。日本と同様に韓国でも、新型コロナウイルスへの感染防止のために、外出の自粛や在宅勤務が奨励された。その影響でインターネットショッピングの利用者は増え、物流センターの業務量は急増し、物流センターは人手不足を解消するために、パートやアルバイトを増やした。その結果、現場は3密が起きやすい環境へとリスクが高まっていった。しかしながら、感染防止対策は不徹底であり、従業員がマスクを着用しなくても管理者は注意をせず、食堂でも密接した状態で食事がとられていた。粗末な感染防止対策に加え、人々の間にも「気の緩み」が発生していたのである。

なぜ「気の緩み」が起きたのだろうか?

ワクチンや治療薬がまだ開発されておらず、依然として世界的に感染が拡大している状況にあるのに、なぜ韓国では「気の緩み」が起きたのだろうか?その一つの要因は、自粛期間が人々の予想を上回って長かったことかも知れない。2月中旬に新興宗教団体「新天地イエス教会」における集団感染が発生し、大邱を中心に感染者数が拡大すると、韓国政府は感染病の拡大を防ぐために、ソーシャルディスタンスの確保とともに様々な自粛を勧告した。

入学式や卒業式は中止または延期され、学校は再開できず授業はオンラインを中心に行われた。宗教団体、スポーツジム、カラオケ、クラブ、学習塾、インターネットカフェなど、人々が集まりやすい施設には運営の中止が勧告され、企業や雇用者には在宅勤務の実施が要請された。徹底的な検査や隔離措置、そして国民の協力により、感染者数は少しずつ減少しはじめ、4月30日にはようやく国内における1日の新規感染者数がゼロになった。人々の間には「もう、大丈夫だ」という意識が広がり、4月末から5月5日までの飛び石連休の間には、約20万人の観光客が済州道を訪ねたりもした。 

ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官は、5月4日にブリーフィングを行い、5月6日から防疫レベルをこれまでの「社会的距離の確保」から「生活防疫」に切り替え、行動制限を緩和することを明らかにした。また、高校3年生は5月13日から登校を始め、他の学年は20日から1週間おきに3段階にわたって登校を許可すると発表した。韓国政府は「K防疫」の成果を海外に発信し続け、韓国国内では、新型コロナウイルスを乗り越えたという達成感と安堵感が広がった。

韓国政府が防疫レベルを「社会的距離の確保」から「生活防疫」に切り替えることを決定した理由としては、4月5日から4月18日の2週間に比べて、4月19日から5月2日までの2週間に、(1)1日の平均新規感染者数が35.5人から9.1人に減少したこと(2)集団感染の発生件数が4件と比較対象の2週間と変化がなかったこと(3)感染経路が不明な感染者の割合が3.6%から5.5%と大きな変化がなく安定していたこと(4)防疫網の中での管理比率を80%以上維持したことが挙げられる。

そこで、韓国政府は防疫レベルを「生活防疫」に切り替える基準として、1日の平均新規感染者数50人未満、感染経路が不明な感染者数5%未満、集団感染の数と規模の大きさ、防疫網の中での管理比率80%以上維持を目標として設定した。また、「生活防疫」のガイドラインの基本原則として、(1)体調が悪いときは3~4日間自宅で過ごす(2)人との距離は、両手間隔の距離を置く(3)30秒間手をしっかり洗う、咳は袖で(4)1日2回以上の換気と定期的な消毒を実施する(5)距離は離れても心は近くに、を国民に周知した。

しかしながら、あいにくにも防衛レベルを「生活防疫」に転換した5月6日の当日に梨泰院のクラブでの初の感染者が発見され、感染が広がり始めた。また、5月末には富川の物流センターで集団感染が発生し、一時は0人であった国内の新規感染者数が、5月28日には79人まで増加した。これは、制限緩和の基準とした「1日50人」の感染者数を上回る数値である。政府が対策を緩和することにより「気の緩み」が広がったと言える。

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