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「コロナで世界は変わった」のか?

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むしろぼくたちはこう言うべきではないか。コロナをめぐる一連の騒動で露呈したのは、これまできちんと向きあうことを避け、見て見ぬふりをしつづけてきた「不都合な真実」の諸々なのだと。それを、ぼくたちは否応なく目の前に突きつけられたのだと。

構造化されているとは、社会的に再生産されるということだ。だから、もしコロナ以前と以後とのあいだで構造的に大きな変化がないのだとしたら、いま目の前で起きていることは、既存の「コロナ以前」によるバックラッシュにほかならない。「コロナで世界はすっかり変わってしまった」という類いの「アフターコロナ言説」も、この文脈で捉えられるべきだろう。

「アフターコロナ言説」の大半は、未だ到来していない将来をいち早く先取りしてみせるという「予言」的スタイルで語られる。その理由は、「予言」こそが、ある種のカリスマ性を演出し、ひとびとの目を集めるのにもっとも手軽なやり方だからである(ただし、その実効性の程度については語り手の資質に拠る)。

「アフターコロナ言説」において重要なのは、実際に世界が変わったかどうかという言説内容の当否ではない。言説を吐く当人にとって、そんなことはどうでもよく、それを言い立てること自体になんらかの利得がある。おそらく、ビジネスや言論の場における主導権を得ることをめざしているのだろう。

したがって、「アフターコロナ言説」のもうひとつの特徴とは、「コロナ」をめぐる一連の出来事から何かを学ぼうとするのではなく、ただ自己に利するチャンスとしてのみ捉える機会主義的な態度にある。

「アフターコロナ(コロナ以後)」を考え、社会をよりよく変えてゆきたいというのであれば、「コロナ」をめぐる出来事と経験から何かを学びとろうとする姿勢が必要だ。そのためにはまず、「コロナ」の渦中において起きた事象の諸々を観察する視座が欠かせない。じぶんの見たいように、ではなく、それ自体をマテリアルにながめる視座が。

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