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これでは先が思いやられる。お金だけではなく行動も!

先日,補正予算についての維新の会の政府ヒアリングが行われ,白熱した討議が交わされた。

私も厚労省に,予算の執行に関連して意見を述べた。第2次補正予算には,たしかにコロナに対する診療を後押しするための包括支援交付金が2兆円用意され,病床(空床)確保,設備整備などに予算が組まれている。

しかし,現状はただお金を出すだけだ。それでは何も変わっていかない。

日本の現状を見たとき,課題は次の2つ。

1.重症者や救急患者がたらい回しされないように,コロナの可能性がある患者専門の重症者用ICUや,救急外来施設を整備する

2.初期の発熱や嗅覚・味覚障害の発現時に直ちに受診できる軽症患者外来を整備する。方法としては,①市井の医院でタイムゾーンを分けて感染症疑い患者を区分けする,あるいは②総合病院に動線を別にした感染症外来を作る,③コロナ専門病院を作る,④オンライン診療とPCRセンター,CTセンターを組み合わせる,などが考えられよう。軽症のうちは診察してもやることがないと思われていた今年初め頃の状況とは異なり,現在では「幸せな低酸素症」と呼ばれる自覚なき重症化や血栓による肺塞栓・脳梗塞など急激な悪化もあることが知られている。検査だけでもPCR検査だけでなく,CT検査,パルスオキシメーターによるモニタリング等やることは幾つもある。現在みられる初期段階の患者の受診拒否が続けば,死ななくてもよかった命が失われることが今後も続いていくだろう。

 以上の二点をヒアリングの席で厚労省の担当者に強く訴えた。診療報酬での手当てをしていることはわかっているが,「金は出す」だけでなく,医師会や病院,なんなら国立病院と協議して陣頭指揮するように求めたのだ。

ところが返ってきた答えに唖然とした。

「先生のおっしゃることはPCR検査の拡大ということだと思いますが,これについては政策の中の~」と得意げな答えをとうとうと述べられたのだ。厚労省の幹部でさえ何もわかっておらず,ワイドショーのコメンテーター並の知識しかないことに唖然としたのだ。

PCR検査は,あくまで診療の一環。診療がなされて初めて,医師の判断によって採用されるべきこと。現状の問題点はそこではなく,そもそも診療が受けられないところにある。そして,それに対して厚労省は具体的な取り組みをする気がない。何もわかっていないからだ。

だから,私の問いに対し,1人の担当者は「診療報酬で手当てしている」とお金を出しているんだからそれが対策だ,言わんばかりの答えをし,もう一人は,PCR検査さえしておけば全ては解決するといわんばかりのPCR教団の信者の様な答えをして,満足そうにしていられるのだ。

この新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症が,今までのSARS,MERSのようにほぼ完全制圧の形で収まるとは残念ながら考えられない。世界各国で場所を転々と移しながらパンデミックは続いており,一周回ってまた流行が再発することも当然予想されるところだからだ。

このような見通しを踏まえたとき,国あるいは厚労省の最大の課題は,長期戦としてのコロナとの戦いに備えて,どのような医療体制を構築して国民の安全と安心を確保するかだ。この小休止を有効に利用して,国民が安心して通常の経済生活を送りながらも,いざ罹患した際には速やかに医療サービスの提供を受けられるような体制を整えることが肝要なのだ。

いつまでも外出自粛や休業要請が続けられる訳ではない。テレワークだけでは製造も流通もできない。我々が生きて食べていくには外に出て働くことは不可欠。一方で,経済活動が再開されて,再び流行が見られたとき,燃え広がっている最中であれば備えなどできない。防戦一方の悲惨な戦いになる。イタリアやニューヨークで見られたように。しかし,着々と準備さえしておけば,ドイツのようにどんとこい,と構えていられる。

厚労省はお金を出すだけでは足りない。幸い日本医師会の横倉会長も政府への提言を拝見すると同様の問題認識でおられる。私現場の総合病院の医師の方々も,私が知る限りやはり同様の思いを強くしておられる。厚労省は,より具体的に,コロナシフトをどのように日本の医療現場に敷いていくか,医療界と対策本部を立ち上げていくべきだ。今必要なのは「会議」ではない。より具体性を持って実行もしていく司令塔なのだ。

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