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コロナで経営危機続出の航空業界 「冬の時代」迎えたCAのいま

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国内では新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は解除されたものの、世界に目を向けると感染拡大は収束したとは言えず、外国人の入国を阻止する水際作戦は依然として続いている。111の国・地域を対象として、外国人の入国を拒否する規制について、政府はその措置を6月末まで延長する方針だ。

国際線を運航する航空会社は大幅な減便を強いられ経営危機に陥っている。海外では、タイ国際航空、ヴァージン・オーストラリア航空、チリのラタム航空が経営破綻したとの報道もあった。いま休業続きで空を飛べなくなったCA(客室乗務員)たちは、どこでどうしているのかーー。



コロナが招いた冬の時代 月収10万円減の若手CAの苦悩

新型コロナで著しく打撃を受けた産業は航空・観光・飲食と言われるが、なかでも、ウイルスの世界的な拡大により、もっとも需要の回復が危ぶまれているのが航空業界だ。IATA(国際航空運送協会)は、新型コロナの影響で世界の航空会社が抱える債務について、2020年までに日本円で59兆2500億円に達するとの試算を発表。国際旅客需要がコロナ以前の水準に戻るのは、国内線で2022年、国際線で2024年になると予測している。

新卒入社3年目にして、「冬の時代」に突入した自身の近況について、JALに勤務するCA・M子さん(26歳)は語る。

「月平均で27万円の収入から10万円ほど減少しました。会社から補償の話はまだないので、不安を抱えたままSTAY HOMEです。フライトのない日は自宅勤務でZoomミーティングなどをしています。4月以降、国際線・国内線を合わせて月数便しか飛んでいませんが、もっと給料カットになった友人もいて生活は苦しそう。ボーナスが半減するという話も聞いています」

同期でも収入差の生じる理由は、その給与体系にある。日系・外資系を問わず、CAの月給は次のような内訳になるという。

基本給+乗務手当+深夜勤務手当+パーディアム(1泊ごとの滞在費)=月給

経験10年以内のCAの場合、基本給は平均17〜19万円。そこに平均10万円の手当がプラスされるのが一般的。月々の給料は便数と乗務時間によって変動するため、今回のようにイレギュラーな乗務の状況だと個人差が出る。

ANAに勤務するCA・Y美さん(29歳)の場合は、少しだけ事情が異なる。

「会社が(休日に対して休業手当を出す)一時帰休の制度を導入していますが、それでも収入は三分の二に減りました。実家で暮らしているので何とかやっていけますが、これが何年も続くと思うと不安で落ち着きせんね。会社から医療用の防護服を縫製するボランティアの話がありましたが、応じる気持ちにはなれませんでした」

こうした収入減に加え、M子さんとY美さんが目下の悩みとして挙げるのは、他でもないコロナの感染リスクだ。各社とも6月末まで、機内でのソーシャル・ディスタンスを保ち使用座席の間隔を空けるなど感染防止策を講じているが、たとえマスク着用で乗務しても、狭い機内は「三密」が避けられない場面もある。ボーディング(搭乗)の際、機内持ち込み手荷物をCAに手渡しして収納を依頼しようとする無神経な乗客もいるらしい。

「正直怖いですよね」と、Y美さんが教えてくれた。

「4月初め、ニューヨーク便に乗務する日本人のキャプテンがコロナウイルスに感染したというニュースがありましたが、やはりスタンバイ(欠員が出たときのために空港や自宅で待機する勤務)の日は、感染が爆発的に広がるニューヨーク便にアサイン(指名)されないようにと祈るような気持ちでいました」

〝コロナ減便〟によってスタンバイ勤務の日は増えたが、そこに乗務手当はつかない。飛べば感染リスク、飛ばなければ減収リスクの板挟み。

「でも、CAは飛んでなんぼの仕事ですから、頑張らないと」といった声もある。

100人アンケート 解雇に怯える外資系CA

現在、日本人のCAは1万7千人いると推定されている。内訳はANA8000人、JAL7000人、外資系2000人。外資系の航空会社で働くCAには、いま解雇の不安に苛まれている人も多い。そのひとり、台湾の航空会社で働くT子さん(30歳)に話を聞いた。

「普段はメインの成田—台湾線以外に、2ヶ月に1、2便ほど欧米フライトに乗務していますが、4、5月のスケジュールはほぼ白紙でした。6月もやはり休業状態になるようで、とても不安です。収入は三分の一になり、手取りが10万円を切って貯金を切り崩している状態。私は外国人CAという立場ですから、もし人員削減ということになれば、真っ先にクビを切られるかもしれないですね」

とはいえ、エマージェンシー(緊急事態)対応はCAの専門スキル。気持ちの切り替えも早い。日系航空会社から現在の外資系で二社目という転職組のT子さんは、その経験を生かしたいとキャリアコンサルタントになるための国家資格試験に挑戦。難関を突破して4月末に合格した。その後すぐ、同業各社で働くCAへのアンケートを実施しようと決意したという。

題して、「現役CA100人に聞いてみました」。アンケート・フォームはSNSを通じて次々と拡散され、「経験3〜5年の方を中心に新人からベテランまで、また日系と外資系のバランスもよく100人の(日本人)CAから回答をもらいました」と、T子さん。

アンケートに応じたCAの所属社名を聞くと、オンシーズンの成田国際空港にいるような感覚が甦る。日系では、JAL、ANA、エアージャパン、ジェイエア、日本トランスオーシャン航空(JTA)、AIRDO、スカイマーク、スターフライヤー、ソラシドエア、エアアジア・ジャパンなど13社。

外資系では、アメリカン航空、カタール航空、マレーシア航空、キャセイパシフィック航空、スイス航空、KLMオランダ航空、エバー航空、チャイナエアライン、大韓航空、アシアナ航空、ガルーダインドネシア航空、ジェットスターアジアなど15社。

日本人CAがこれほど多くの航空会社で活躍していることに驚かされるいっぽう、すぐさまSNSで繋がるそのネットワーク力にもある意味感動する。アンケート結果は、T子さんが「CAにゃんこ」のハンドルネームで運営するブログ、「CAのセカンドキャリアを考える」に掲載されている。

新卒採用を中断 復興まで道のり長い航空業界

T子さんは、アンケート結果についてこう解説する。

「4月のフライトタイムについては、50%に近い方が30時間以下だったことが分かりました。また、35%がゼロ時間と回答。通常、各社とも月平均のフライトタイムは70〜80時間ですから、この現実は厳しいですよね。ほとんどのCAが減収です。外資系では収入がゼロだった方もいました」

減収が続くなか転職を考えるCAは少なくないと、T子さんは感じたという。

「スケジュールは、5月から6月までの休業が決まっている方が36%。フライトはあっても月に1本という方もいました。また地上勤務に回されたという方、会社から無給休暇を取るように打診されたという方も複数名。今後の収入に関する見通しでは、ほぼ半数が給料は半分以下になると答えました。仕事自体については52%が今後も続けることを希望。皆さんこの仕事が好きなんだなぁと感じましたが、転職を考えたりCAを続けるどうか悩んでいたりという方も30%いました」

キャリアコンサルタントの国家資格を得たT子さん自身は、早くも新しいライフステージに向けて舵を切った模様だ。

「会社の動向を見ながらですが、いまはキャリアコンサルタントとしての経験を積みたいと考えています。コロナ禍からの復興は、航空業界がもっとも遅れると予想されていますから、休業同然が続くCAのカウンセリングや、ライフプランニングや、CA受験生からの相談にも乗りたい」

ANA、JALをはじめ、21年度新卒採用の一時中断を発表した航空会社も多く、「途方に暮れるCA受験生も多い」とT子さんは話した。

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