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社畜とノマドとの静かなる戦争: 『ニートの歩き方―年収100万円で楽しく暮らすためのインターネット活用法』pha

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ニートの歩き方 ―年収100万円で楽しく暮らすためのインターネット活用法、pha画像を見る

最近は、名のある大企業でもリストラがあったり、そもそも給与水準が下がってきたりして、サラリーマン、いわゆる社畜でいることの利益は相対的に低下してきている。また、無料のクラウドなどを使い、IT系のスキルを持っている人たちにとって、誰からも雇われずに生活することが、それなりにできるような時代になってきた。こうした社畜の相対的な地位の低下と、インターネット・テクノロジーの発達により、フリーランスになることの利益が少しずつ増してきたようなのだ。ノマドがちょっとしたブームになっている。

ノマドというのは、会社を辞めたり、あるいはクビになったり、もしくは就職さえできなかった人たちが、自分たちのことをフリーターとかプーというと、ちょっとばかり惨めな気分になるので考えだされた言葉だ。僕が思うにノマドは主にふた通りいると思う。

IT系に多いのだが、企業からの外注先となり、下請け業務をせっせとこなしているノマドである。こちらは昔からあり、めずらしくもなんともないだろう。いわゆる零細自営業者である。

ちょっぴり新しいタイプのノマドは、ブログを書いたり、インターネット・サービスを作ったり、ニュースのまとめサイトとかを作って、主にアフィリエイト収入で生活している。これだと、確かに誰とも関わらずに生活していくことは可能だ。アフィリエイト収入の目安だが、月に3~4万円ぐらい稼ぐには、月間10万ページビューぐらい必要だ。月に10万円以上稼ぐには、月間30万ページビューぐらい欲しいところで、はっきりいうと、それだけのサイトを作るのはかなりむずかしい。こうしてエリート・ノマドは朝から晩まで必死こいてサイトの更新をして、なんとか年収100万円ぐらいを達成する。月収ではなく、年収である。

僕のツイッターのタイムラインなどを見ていると、まともな社会人の人たちはノマドみたいな人たちを頻繁にディスっているようだ。嫌っている、といってもいい。しかし、僕には、なぜノマドが社畜に嫌われるのか理由が分かる。それは、ノマドが無意識に、あるいは意識的に社畜たちをディスっているからに他ならないのだ。

貧困、不安定な生活、社会からの阻害。こうした苦しい日々の生活のなかで、ノマドたちの心の支えとなっているのは、ひとつの想いだ。

「それでも、社畜よりマシ」

本でもツイッターでも、ノマドの人たちが一言目にいうことは「サラリーマンは毎日満員電車の通勤でかわいそう」である。かわいそう、だ。すでに上から目線で、給料がいくらか知らないが、俺達ノマドは社畜より上、という意識がある。二言目は「サラリーマンは嫌な上司の命令に毎日従わなければいかずかわいそう」である。また、かわいそう、だ。哀れみの目で見ているようだ。そして三言目にいうことは「昼間に美術館に行けてすごく楽しい」である。楽しい、だ。つまり、お前たちサラリーマンはつまらない、というのが、本来まったく美術などというものに興味がなかったノマドたちが暗に言いたいことなのである。

なるほど確かに社畜もつらい。毎月の月給というもののために売り渡した代償はあまりにも大きいのかもしれない。以下は、匿名掲示板などでよく見かける、囚人と社畜の比較についてのコピペである。

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しかし、僕は、この社畜とノマドとの静かなる戦争において、社畜の側に立たざるをえない。それは、一言でいうならば、その美術館を作るのに税金払った人は誰、という話なのだ。大したスキルも人望もないノマドたちが生きていけるのも、過去の社畜、現在の社畜たちが築きあげてきた有形無形の社会インフラストラクチャーにタダ乗りできるからに他ならないのだ。

最近、僕は世界の金融システムについての本を書いたのだが、ひとつのテーマは、巨大金融機関が受け取っている、多くの分かりにくい見えない補助金や、税金で賄われている社会のインフラへのフリーライドを分かりやすく可視化する、ということだった。

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外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々画像を見る

実際には多くのノマドたちは貧しい生活で困窮しているのだが、仮に、そこそこの稼ぎを得て、快適なノマド・ライフをエンジョイし、大企業のサラリーマンを見下すだけの生活をしているとしても、それは多くの企業の努力や、彼らが見下す社畜たちの支払う税金によって築きあげられてきた社会インフラにタダ乗りできているからこそ成り立つものである、ということを自覚する必要がある。つまり、ノマドやニートといったものは、本来、とても恥ずかしいことなのだ。少なくとも、人に自慢するようなことじゃない。それは、合コンに来た男や、デートに誘ってきた男が、いかにイケてなかったかを女子会で吹聴し、そういった男たちをあしらう私は高めの女だということを遠まわしに表現して、ひたすら自尊心を守ることだけに汲々としている売れ残り女と同じようなものなのだ。こういったフリーライダーたちばかりになれば社会は崩壊してしまう。それゆえに、社会全体がそういった人たちを蔑んでいくことはぜひとも必要なことなのである。

さて、本書は、自称ニートのpha氏が、インターネットを駆使してお金をかけずに人生を楽しく生きていくための知恵を詰め込んだ本である。文章も上手く、また、編集もしっかりしていて、本としての完成度が非常に高くなっている。そういう意味で本書はオススメである。買って損はしない。

pha氏は自称年収100万円だが、この本は売れているようなので、明らかに今年度は数百万円以上の印税が転がりこんでくるだろう。また、ギークハウスなど、低所得者層向けのシェアハウスの経営をしたり、人気のインターネット・サービスを生み出すなど、彼はニート(自称)として多くの収益源を確保しつつある。

僕は、pha氏に次のステップとして、有料メルマガをはじめることをススメたい。この本のヒットで獲得した知名度を使って、貧しいノマドやニートから毎月数百円ずつお金を集めれば、かなりの収益が見込めるだろう。貧しいニートたちに、どうやったら成功したニートになれるのか、を説けばいい。

また、会社勤めができない、人格に問題のあるノマドやニートのプログラマをタダ同然の給料で雇って(夢とかヤリガイがあればお金はいらないよね♡)、インターネット・サービスをどんどん拡張して、アフィリエイト収入をもっと安定させることだ。シェアハウスに関しては、不動産管理会社を使って経営を効率化していくべきだろう。その間に、マーケティングを兼ねた執筆活動も続けなければいけない。

こうやって一歩ずつ前に進んでいけば、年収1000万円程度ならすぐに実現するだろう。そうすると、女も寄ってくるようになるし、財産を管理するための金融の知識も必要になってくるだろう。僕のメルマガでも読んで恋愛マネジメントや資産運用の勉強をしてはどうだろうか。

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