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『エール』唐沢寿明57歳に 高校中退「月給18万円」ショーパブバイトで客とケンカしていた20代 - 近藤 正高

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 きょう6月3日は、俳優の唐沢寿明の誕生日である。1963年生まれの57歳。最近では、NHKの連続テレビ小説『エール』で、主人公・古山裕一の父・三郎を演じている。裕一役の窪田正孝とはこれ以前にも、2015年にシリーズ第1作がつくられた刑事ドラマ『THE LAST COP』(翌年に連続ドラマ化)でタッグを組んでおり、プライベートでも親交があるという。今回も何かの力になれればいいと思い、出演を決めた部分もあるとか(※1)。『THE LAST COP』での共演について、唐沢は《窪田、苦労しただろうな。僕が、台本に書いてないアドリブばかり入れたからね(笑)》とのちに振り返っている(※2)。朝ドラには『とと姉ちゃん』(2016年)以来の出演だが、そのときも、個性派ぞろいの共演者から生っぽいリアクションを引き出そうと、アドリブをたくさん入れた。『エール』でも必要なときはアドリブをしているという(※3)。

【写真】1995年、山口智子と唐沢寿明の結婚会見などこの記事の写真を見る(全4枚)

映画「ラストコップ THE MOVIE」の舞台あいさつ。スタジャンのペアルックでポーズをとる唐沢寿明(左)と窪田正孝

『エール』で唐沢が演じる三郎は、作曲家をめざす裕一に応援を惜しまないものの、ちゃらんぽらんで頼りない。あげく家業の呉服屋の経営を傾かせ、裕一に迷惑をかけることになった。唐沢というと、ドラマ『白い巨塔』(2003年)の財前五郎などクールな人物を演じることも多いが、今回はそれとは対照的な役柄だ。どんな役にもなりきるという点で彼は、現在の日本の俳優では屈指の存在だろう。

唐沢が俳優になろうと思った日

 唐沢が俳優になろうと初めて思ったのは小学生のころ、テレビの2時間ドラマで、橋爪功がすごくいやな役を演じているのを見て、泣くぐらいの勢いで怒ったのがきっかけだった。そのとき、演技で人をそんな気持ちにさせる俳優はすごいと思い、この職業に興味が湧いたという。高校1年のときには東映の養成所にある「東映アクションクラブ」に入り、レッスンを受け始める。撮影所に通いながら、大道具や照明の仕事を手伝ったり、エキストラをしたりするようにもなった。そのうちに高校は、勉強に意味が見出せず中退。時期を同じくして実家も飛び出してしまう。

 養成所にはその後も通ったが、なかなか芽が出ない。そのため「こんな養成所にいたって俳優にはなれない」と周囲に言っていたところ、撮影所の偉い人の耳に入り、やめさせられてしまう。それから俳優としてブレイクするまでは紆余曲折の連続だった。養成所を追われるとまず、地方回りをしている養成所の先輩を頼って、遊園地やデパートの「仮面ライダーショー」の一員に加えてもらう。撮影所の手伝いも続けたが、もちろんそれだけでは食えず、バイトしながらどうにか食いつなぐ日々だった。俳優になる糸口をつかむべく、どうにかして目立とうと、テレビの素人参加のバラエティ番組にサラリーマンなどを装って出演したこともあった。さらには一緒に地方を回っていた仲間に声をかけて劇団を結成、自主公演を始める。

歌手で芽が出ず、ショーパブで客とトラブル……20代の日々

 そのころ、テレビ番組の素人参加コーナーに出たことがきっかけで、ある大手芸能プロダクションにスカウトされる。そこでついたマネージャーは、どういうわけか唐沢に歌をうたってみろと勧めた。マネージャーはやがて事務所をやめて、彼を歌手にするべくレコード会社に売り込みをかけ続ける。しかし先方にはまるで相手にされず、歌手になるつもりのない唐沢としてはつらい日々だった。《おれがダメになる時期があったとしたら、あのときだったと思う》と唐沢はのちに書いている(※4)。そんな彼を救ったのは「自分はダメじゃない」というプライドだった。

 劇団とプロダクションのレッスン、レコード会社回りを続けながら、バイト情報誌で見つけた六本木のショーパブの仕事に応募し、合格する。パブの初任給は大学卒と同じぐらいの18万円だった。しかしショーへの出演以外にも、ウエイターとして接客せねばならなかった。すぐカッとなるたちだった彼は客とトラブルを起こすこともしばしばで、何度となく店をやめると申し出た。それでも不思議なことに、トラブルが起きるたびに給料は上がったという。ショーのほうでは確実に認められつつあった。最終的に給料は36万円となり、稼いだカネはすべて、スポーツジム通いなど自分への投資に使った。映画やドラマのオーディションも何度となく受けた。24歳のときには、舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』に出演する。このとき、書類を出して選考を待つのはもういやだと思い、制作会社の社長に直接会って話をした。それでだめだったらあきらめがつくと考えたのだ。果たして、その場で出演が決まり、主役こそ逃したものの、もうひとつのいい役を得た。

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