記事

「反ワクチン派」が新型コロナの陰で台頭するワケ 日本国内で赤ちゃんのワクチン接種率が低下

1/2

日本でワクチン接種率が低下

[ロンドン発]新型コロナウイルスによる人やモノの移動制限により、ユニセフ(国連児童基金)などは「定期的なワクチン接種が妨げられ、8000万人以上の子どもがジフテリア、麻疹(はしか)、ポリオといった感染症のリスクにさらされている」と警鐘を鳴らしました。

写真AC

日本のNPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気の略)を知って、子どもを守ろうの会」の調査でも、小児用の肺炎球菌ワクチンやMR(麻しん風しん混合)ワクチンの接種率が新型コロナウイルス・パンデミックの余波で低下していることが分かりました。

木村正人

木村正人

ワクチンの航空輸送料が2~3倍に高騰

低所得国での予防接種に対する新型コロナの影響を和らげることを目的とし6月4日にロンドンで開催予定の「グローバル・ワクチン・サミット」を前に、ユニセフと世界保健機関(WHO)、GAVIアライアンスが強い危機感を示しています。

WHOなどの調査によると、データが利用できる129カ国の53%に当たる68カ国で3月以降、ワクチン接種が妨げられたり全面停止されたりしたため、1歳未満の約8000万人が影響を受ける恐れがあります。

混乱している理由は、接種が必要な年齢の子どもを持つ親が移動制限や情報不足のため外出を避けていることや、新型コロナウイルスへの感染を恐れていることなど、さまざまです。

医療従事者の多くが移動制限や病院の“コロナシフト”による再配置、感染防護具不足のためワクチン接種をおこなうことができませんでした。移動制限により航空便は激減し、ワクチン輸送が大幅に遅延。フライト運賃は通常の2~3倍にハネ上がりました。

ユニセフのワクチン供給が7~8割減

昨年、ユニセフは100カ国に24億回分以上のワクチンを供給し、世界全体の5分の1を占めました。しかし今年3月下旬以降、供給が70〜80%も減少。2019年に麻疹流行を経験した5カ国以上がこの中に含まれ、数十カ国がワクチンの供給不足リスクにさらされています。

昨年、麻疹で6000人超の死者を出したコンゴ民主共和国では今年1~2月の間にB型肝炎、ジフテリア、破傷風、百日咳、髄膜炎などの幼児期の疾病に対するワクチン接種率が8〜10%低下しました。

ポリオのワクチン接種率は不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)で8.4%、経口ワクチンで5.4%減少。水痘、麻疹、肺炎球菌感染症、ロタウイルスに対するワクチン接種は1.5〜4.5%も下がりました。

8万6905人の子どもが経口ポリオワクチンを投与されず、7万4860人が破傷風、ジフテリア、百日咳、B型肝炎のワクチン接種を受けられていません。10万7010人の若者が黄熱病の予防接種を、8万4676人は麻疹の予防接種を受けられませんでした。

ワクチンの供給が不足している国にはベナン、ニジェール、タジキスタン、カンボジア、モンゴル、ソロモン諸島が含まれています。

安全距離をとるため接種を一時停止

多くの国は、新型コロナウイルス・パンデミックの初期段階で感染リスクを避けるため安全距離をとる必要があるとして、コレラや麻疹、髄膜炎、ポリオ、破傷風、腸チフス、黄熱病といった感染症に対するワクチン接種を一時停止しました。

特に麻疹とポリオの予防接種が大きな影響を受け、麻疹は27カ国で、ポリオは38カ国で接種が停止されています。

★サモアで麻疹のワクチンを接種される3歳の坊や©UNICEF/Stephen

GAVIアライアンスが支援する低所得国21カ国の2400万人以上がポリオ、麻疹、腸チフス、黄熱病、コレラ、ロタウイルス、HPV(ヒトパピローマウイルス)、髄膜炎、風疹の予防接種を受けられない恐れがあります。

WHOによると、2018年には世界で5歳未満の86%がジフテリア、破傷風、百日咳の接種を受けました。麻疹ワクチンの接種を1回受けた若者の割合は1980年の20%から2000年には72%に増加しました。ポリオによって障害が残った子どもの数は世界全体で99.9%も減りました。

「反ワクチン派が今後10年で支配的に」

世界中で35万人以上の死者を出した新型コロナウイルスではワクチン開発競争が加速しています。

しかし、米ジョージ・ワシントン大学のニール・ジョンソン氏ら研究チームがオンライン上の親ワクチン派と反ワクチン派の争いについて分析し、英科学雑誌「ネイチャー」に発表した論文では、今後10年のうちに反ワクチン派が支配的になるという非常に気になる予測を示しています。

木村正人

それによると、SNSの巨人フェイスブックのユーザーは約30億人、このうち1億人近くがワクチンについて立場を明らかにしています。昨年10月時点で親ワクチン派は690万人(124のクラスター=集団=を形成)、反ワクチン派は420万人(317のクラスター)、どちらでもない中間層は7410万人(885のクラスター)。

例えば反ワクチン派の「レイジ・アゲインスト・ザ・ワクチン」は4万人。親ワクチン派のビル&メリンダ・ゲイツ財団の支持者は100万人以上でした。

しかし昨年10月から今年2月にかけて反ワクチン派は主要メディアが麻疹流行に関連して反ワクチン派を否定的に報じたにもかかわらず、新たなネットワークを築くのに成功していました。ジョンソン氏はその理由を7つ挙げています。

あわせて読みたい

「ワクチン」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    れいわの甘い危機管理が致命傷に

    田中龍作

  2. 2

    コロナの誤解指摘 辛坊氏に反響

    女性自身

  3. 3

    謙虚さに欠ける泉佐野市長の言動

    PRESIDENT Online

  4. 4

    小池圧勝 公約どうでもいい都民

    文春オンライン

  5. 5

    橋下氏「熊本知事の後悔分かる」

    PRESIDENT Online

  6. 6

    無責任に石炭火力削減を叫ぶ朝日

    木走正水(きばしりまさみず)

  7. 7

    「責任痛感」安倍首相は口先だけ

    大串博志

  8. 8

    飲み会解禁する会社の多さに衝撃

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

  9. 9

    PayPayに追随した電子決済の末路

    PRESIDENT Online

  10. 10

    台湾載せぬWHO 外務省は別途対応

    赤池 まさあき

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。