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テレワークからノマドワークへ、Third place という「新しい日常」にシフトしよう

コワーキングスペースの写真

インターリンクはオフィスを閉鎖して、単なる在宅ワークではない、ノマドワーク(在宅+WeWork)へ完全移行します という記事。テレワークとかリモートワークとかじゃなく、ノマドワークというところがすばらしい。

ノマドというと一時期詐欺師のような連中が暴れまわったせいでおかしなイメージを持ってる人も少なからずいるだろうが、俺や id:elm200 さんが10年以上前にこれからはノマドだノマドだと騒いでいたのは、物理的な場所にとらわれる必要はもうなくなったということをずっと言ってたのである。

逆に言えば10年以上前にはそういう下地がとっくにできてたわけだ。現代の仕事はほとんどがパソコンひとつで完結するのであり、真面目にペーパーレス社会に取り組んでいれば接触8割減なんてそう難しい話ではなかったはずなのである。

さて、上記記事ではコワーキングスペースを活用し、働く場所を在宅でもコワーキングスペースでも好きなところで働いたらいいという形にしている。

コストの問題は別としてカフェでも問題はないだろう。特に東京はルノアールという古からのノマドワーカーたちの聖地があり、Wi-Fi も電源もあって快適な作業場だ。

ノマドというワードが流行ってた頃、なぜか彼らをくさす言葉として「スタバでドヤ顔」というのが言われてたが、当時の日本のスターバックスは電源もWi-Fiもなく、本物のノマドはスタバにはいなかった。本物のノマドはルノアールにいた。

パンデミックなんか発生したせいというのが悲しいところだが、ようやくオフィスに集まることの意味の無さに気づいた人が増えたのはたいへん喜ばしいことだ。

しかし数年前からコワーキングスペースが流行したとはいえ、なぜかコワーキングスペースは都心に作られることが多かった。もちろんそれはそれで重要なのではあろうが、ノマドワークには東京一極集中を解消する力があるはずなのに、それではまったく意味がない。

コワーキングスペースはむしろ住宅街にあるべきなのだ。

コワーキングスペースの機能は働く場所というだけではない。Third place という思想がある。

サード・プレイスとは、コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す。サード・プレイスの例としては、カフェ、クラブ、公園などである。アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグはその著書『ザ・グレート・グッド・プレイス』(The Great Good Place)で、市民社会、民主主義、市民参加、ある場所への特別な思いを確立するのに重要だと論じている。

サード・プレイス - Wikipedia

コワーキングスペースはまさに Third place だ。知らない人もいるようだが、スターバックスなどもこうしたサードプレイス思想の影響のもとに作られている。

私たちは、誰もが歓迎される温もりと帰属意識のある文化の創造に努めています。この方針は、私たちのミッションである "人間の精神を鼓舞し、育む──ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから" に沿って、サードプレイスの環境を維持することを目的としています。 (機械翻訳+筆者による修正)

Use of the Third Place Policy

サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」 サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」
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  • 発売日: 2018/03/30
  • メディア: Kindle版
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  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

書籍もいろいろ出てるので興味のある人は手にとってもらいたい。

サードプレイスは仕事をするだけの場ではない。家庭でも勤め先でもないコミュニティであり、どちらでも難しい自己実現の場でもある。コワーキングスペースは例えば家においておけない趣味がおかれててもぜんぜん不思議ではない。

そういう場は住宅街にあるべきだ。できれば住宅地の駅前にあるとよい。地元の駅前のカフェ、そこで議論したり仕事をしたり趣味に興じたりする人々、そういう風景こそがサードプレイスであり、コワーキングスペースのあるべき姿だ。

そう、ちょっと思い出してみるといい。そうした風景は日本に元々ある。そう、公民館だ。公民館では各部屋に別れて、様々な活動をしてる人々がいる。音楽をしてる人もゲームをしてる人もいる。そこに「仕事をする人」が加わるのだ。

だからこれは東京一極集中解消という名目で、公民館の一種として国が作っていくべきであろう。私的なコワーキングスペースにも補助金を出していくべきだ。なんなら鉄道会社が通勤減の売上の補填として経営してもいい。

人々が通勤をしない、ノマドワークがあたりまえになり、東京一極集中が解消され、満員電車も過去のものとなる。そんな「新しい日常」を我々は作っていくべきだ。

コワーキングスペースは、図書館とカフェが併設されたような場でもいい。人々がゆったりと自分の興味に興じられればそれでいいのである。ただそこには、電源とWi-Fiが必要になる。椅子も座り心地の悪いものではなく、長く座っていられるものがいい。イメージとしては図書館の自習室を思い浮かべてもいい。

我々は公民館の一種としてのコワーキングスペースで仕事をし、ときどき人に会ったり現物を確認するために都心へ行く。

そんな「新しい日常」を作るためにも、国や行政には意識を変えてもらいたい。サードプレイス思想を持った、新しい公民館を官民協力して作っていくのだと。

ノマドワークの時代が始まるのではない、始めていくのだ。

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