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法人企業統計調査で設備投資増加の謎???

本日、財務省から1~3月期の法人企業統計が公表されています。

統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高はほぼ3年ぶりの減収で前年同期比▲6.4%減の347兆8257億円、経常利益は2四半期連続の減益で▲4.6%減の18兆5759億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで▲3.5%減の11兆6303億円を記録しています。

GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比▲4.2%減となっています。なお、設備投資についてはソフトウェアを含むベースです。

まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期の設備投資、4.3%増 法人企業統計、売上高や経常利益は減少

財務省が1日発表した1~3月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.3%増の16兆3525億円で、2四半期ぶりに増加した。発電所への投資があった電気業が39.2%増、駅周辺の再開発投資をした運輸・郵便業が12.3%増となるなど、非製造業全体が6.2%増と2四半期ぶりに増加したことが寄与した。

製造業も0.6%増と2四半期ぶりに増加した。医療機器向けの業務用機械が大幅に伸びた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額は、前年同期比で3.5%増、季節調整した前期比は7.2%増だった。

全産業の売上高は3.5%減の359兆5572億円と、3四半期連続の減収だった。新型コロナウイルスの感染拡大で宿泊業などサービス業が17.5%減、資源価格の下落で卸売・小売業が9.4%減となり、非製造業全体で5.9%減となったことが影響した。製造業は電気機械などが好調で2.9%増だった。

全産業ベースの経常利益は32.0%減の15兆1360億円と、4四半期連続の減益となった。減少率は2009年7~9月期(32.4%減)以来の大きさだった。新型コロナの影響でサービス業など非製造業が32.9%減、自動車や鉄道車両といった輸送用機械など製造業が29.5%減となった。

財務省は今回の法人企業統計の総括判断について「今期の経常利益は新型コロナの影響により厳しい経済全体の傾向を反映している」とした。

同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計した。今回の結果は内閣府が8日発表する1~3月期GDP改定値に反映される。今回は新型コロナの影響で企業事務が遅れ、調査票の回収率が低下しているため、7月末をめどに同調査の確報値を公表する。同様の措置は11年3月の東日本大震災発生後以来2度目。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。

季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月ないし10~12月期を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。


上のグラフを見ても明らかな通り、季節調整済みの系列で見て今年1~3月期には、経常利益が大きく落ちた一方で、売上高と設備投資が増加を示しています。極めて予想外と私は受け止めています。売上については、特に製造業で増加しており、これは季節調整していない原系列の統計で見ても同じです。

原系列の統計で見て、製造業の中で増収の寄与が大きいのは電気機械と輸送用機械となっています。他方、経常収益は季節調整済の系列で見て前期比2ケタ減、季節調整していない原系列なら前年同期比で▲30%を超える減少となっています。

産業別でーたは季節調整していない原系列しかないながら、製造業でいえば、輸送用機械や化学、非製造業ならサービス業や卸売業・小売業など幅広い業種でマイナスとなっていて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響が見られると私は受け止めています。

それにしても、売上や設備投資が1~3月期に上向いたのは不思議です。特に、設備投資増は謎で、逆に、この反動もあって、4~6月期には売上も経常利益も設備投資もそろって大きく減少に転ずるのは確実です。


続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。

また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。ソフトウェアを含むベースに今回から再計算しています。

この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、一番上のパネルで労働分配率が上昇しているのは景気後退期に入ったひとつのシグナルです。

雇用保蔵が始まっているのでしょうが、リーマン・ブラザーズ破綻後のような「派遣切り」などを招かないような対策が必要なことはいうまでもありません。

繰り返しになりますが、真ん中の設備投資比率の上昇は謎です。一番下の利益剰余金はややペースが鈍化しているように見えますが、1~3月期までは、COVID-19の影響をものともせずに右肩上がりを続けています。

本日の法人企業統計を受けて、来週月曜日の6月8日に1~3月期GDP統計2次QEが公表される予定となっています。基本的に、設備投資を中心に上方改定されるものと私は考えていますが、いずれにせよ、日を改めて2次QE予想として取り上げたいと思います。

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