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「検察は相当な覚悟で進めている」河井克行・案里夫妻の選挙をめぐる疑惑、自民党本部関係者も聴取で捜査大詰めか



 ついに自民党本部の関係者までもが任意で事情を聞かれる事態に発展している、河井克行・案里夫妻の選挙をめぐる疑惑。

 発端となったのは、去年夏の参院選で妻・案里参院議員の陣営が、ウグイス嬢に対し規定以上の手当てを支払っていたという疑いだ。今年3月にはこの違法報酬を巡って、案里議員の公設秘書ら3人が逮捕、うち2人が起訴されている。さらに選挙前には自民党本部から案里議員の陣営に1億5000万円もの選挙資金が振り込まれていたことが明らかになっており、検察当局がこの件で自民党本部の関係者を任意で事情聴取したことが明らかとなった。

・【​映像】"巨額資金"なぜ河井陣営に? 党本部関係者も聴取捜査大詰め



また、夫で前法務大臣の克行衆院議員が地元・広島の複数の首長や有力県議に現金を渡した疑いも浮上している。広島・前安芸太田町長は「克行氏が去年4月下旬頃に参院選について触れ、現金20万円が入った封筒を手渡した」と証言。検察は克行議員に任意で事情聴取をおこなっており、立件に向けた捜査を進めているとみられている。 

 案里議員の公設秘書への判決は来月30日までに言い渡される予定だが、仮に有罪で禁錮以上の刑が確定し、連座制が認められた場合には案里議員の当選が無効になる。連座制とは、候補者や立候補予定者と一定の関係にある者が、買収等の罪に問われ刑に処された場合、たとえ候補者が買収等に関わっていなくても当選が無効となるなどの制度だ。



 29日の『ABEMA Prime』に出演したノンフィクション作家の森功氏は「選挙というのはお金がかかる。ポスターの印刷代もあるし、たくさん選挙活動をすればガソリン代もかかる。ボランティアに出す弁当代も必要だ。資金は色々なところから調達してかき集めることになる。普通の公認料は1500万円だが、それでも足りないくらいかもしれない。しかし今回は、その10倍という額だ。この辺に、政界の思惑、選挙区の特殊な事情が絡んでいると思う。岸田派の溝手顕正さんの他にもう一人出したいということだったが、ちょっと弱いので、“実弾”をぶちこんで選挙をやらせたということだと思う」との見方を示す。



 「誰が案里さんを立てようとしたのかについては2つの説がある。まず、安倍さんと溝手さんの間には前回の参院選での“遺恨”があり、あまり上手くいっていない。そこで安倍さんが刺客を立てたのではないかという説。もう一つは、菅(官房長官)さんが自分の子飼いである克行さんの奥さんを立てたという説だ。官邸内も、安倍さんの陣営は“あれは菅さんの問題だ”と言っているし、菅さんの陣営は“あれは安倍さんの問題だ”と言っている。今、そのへんの綱引きをやっているという感じだろう。ただ、さすがに党本部も“選挙買収をしろ”とまでは言っていないのではないかと思うし、そこまで捜査が進むかどうかは疑問だ」。



 元東京地検特捜部で弁護士の高井康行氏は、夫妻の捜査について「現金がどういう趣旨で渡されたのかが重要だ。渡す側が“選挙についてよろしく頼む”という趣旨で渡し、渡される側もその趣旨を認識していれば、名目いかんに関わらず、買収行為に当たる。現金授受及び趣旨を認める供述が複数あれば、立証は比較的難しくない」との見解を示す。

 その一方、党本部関係者への聴取については「原資が1億5000万円から出ていたのであれば、それを調べるのは普通のこと。原資を渡す側と受け取る側との間で、その資金で買収をすることについて合意があれば共犯は成立するが、本件でそのような合意があったとは考えにくい。仮にあったとしても、その立証は簡単ではない」と話している。



 森氏は捜査の進捗状況について「国会議員の捜査でもあるので、時間がかかる。逮捕なのか略式起訴なのかは微妙だが、今は会期中なので、不逮捕特権のある議員を逮捕するためには、国会に逮捕許諾請求しなければならない。いずれにせよ、会期末まで待って、本格着手するという段取りだと思うし、安倍政権としてもある程度は覚悟せざるを得ないという状況にある。“辞職したから勘弁してください”ということもあるが、今回は東京や大阪からも応援部隊が入っているので、そういうことはあり得ないと思う。克行さんは法務大臣でもあったので、安倍さんの任命責任も問われる事態になる。

そこにあえて地検が切り込んでいくということなので、相当な覚悟もあると思う。このような選挙違反は警察が手掛けることが多く、検察が手掛けることはあまりない。しかし今回は国会議員夫妻が絡んでいる特殊な事件でもあるので、特に検事総長が指揮を執って捜査をしている。家宅捜索もしているし、事情聴取も終えているので、広島地検による捜査はかなり順調に進んでいると思う」と話す。

 その上で、「発端はウグイス嬢に対する報酬を定められた1万5000円の倍にあたる3万円も払っていたという問題だった。これは言ってみればよくある話で、全国で告発がある。今回、そこを端緒にして、1000万円以上の買収の立件が可能というところまで捜査を積み上げてきたということは、検察にもそれなりのやる気があるということだ。政治資金規正法違反よりも、公職選挙法違反(買収)でやりたいと思うが、この金が選挙に使われたということを立証できなくてはならない。選挙違反の中でも買収は贈収賄事件とよく似ていて、ものを頼んでお金を渡す、その頼まれたものが何に使われたかということが捜査の上で一番大事になってくるので、時期なども必要だ」と指摘した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)


▶映像:"巨額資金"なぜ河井陣営に? 党本部関係者も聴取捜査大詰め

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