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映し鏡。

インターネット上の誹謗中傷をどう規制するか、という議論が、ここに来て一気にヒートアップしてきた感がある。

今回はテレビ番組の演出が招いた悲しい結末がきっかけになっているとはいえ、この問題自体は、もう10年以上も前から繰り返し繰り返し議論されていたことで*1、決して一人や二人ではない被害を受けた多くの方々の立場からの主張と「表現の自由への介入/表現の萎縮」を懸念する立場からの主張が激しくぶつかり合う中、そのバランスの上で今の仕組みが成り立っている、ということ、そして、この問題に限らず、過去には、一つのきっかけで制度を動かした結果、思わぬところで多くの人が見過ごしていたところで反作用が出た、という事例もあったことは、気に留めておく必要があるだろう*2

そもそも、この手の問題の根底にあるのは、いつの時代も変わらない「人間の本質的な愚かさ・醜さ」

たまに、

「リアルな世の中ではみんないい人たちなのに、インターネットの世界に行くとみんな攻撃的で悪い人になる。だから、インターネットはけしからん。」

みたいな言説を見かけることもあるのだが、たぶんそれは全く実態とは異なるし、そう思わせるものがあるのだとしたら、それは、

「実社会では、本人に見えないところで隠れて言われているから見えない妬み、やっかみ、思い込み等々に由来する雑言が、インターネット上では『文字』という目に見える表現の形で残る」

からに他ならないわけで、発信者を特定する仕組みも手続きも一通り分かっていて、インターネット上に完全な「匿名」の世界などあり得ない、ということが分かっている者としては、(実際にアクションを起こすかどうかは別として)「何を言われているか」が明確な証拠として残る分、対処しやすいという一面もあったりはする。

なので、過去に、リアルな世界、それも世の中の大海から見たら極めて狭い世界に過ぎないのに、発せられてはすぐ消える言葉の連鎖だけで、しかも本人たちの気がつかないところで、優秀な部下ともども中傷され、妨害され、足を引っ張られる、という経験をしたことがある者としては、議論の方向性自体、注意が必要だろうな、と思っているところでもある*3

まぁ、リアルな世界で実際に何があったのか、ということは、一年前の今頃から夏にかけていろいろ書いたところでもあるからあえて繰り返すことはしないけど、その後、あちらの世界に降りかかったもろもろの出来事も見ていると、ポジティブに物事に取り組むより誰かの足を陰険に引っ張ることの方にエネルギーを割くようになってしまった組織の行く末は短いし、それは個々人のレベルに落としても同じことなのかな、ということが実証されてしまっているところはあるので、ネットでもリアルでも、身近なコミュニティ内での誹謗中傷に苦しんでいる方々には、「命を大切に。そして信念は曲げずに。そうすれば、どういう選択をしようとも、自分の道はおのずと開ける。」ということだけは申し上げておきたい。

最後はかなり脱線してしまったけど、ちょうど節目のタイミングでもあったので・・・。

時が経つのは早いですね。

*1:ちなみに自分のブログを見返していたら、過去にこんな話題も。ネット風評被害対策の新サービス - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~ その後、このサービス、どうなっているのだろうか・・・。

*2:あと、「発信者情報開示のハードルを下げる」という手段は、特定の粘着ストーカー対応といった文脈では有効な策になり得るのだけど、著名人への攻撃のように、到底カウントできないレベルで膨大な誹謗中傷が寄せられる場面で、そのハードルが下がったところで救済の足しになり得るのか、という疑問もあるわけで、今回の件をきっかけに議論を始めるとしても、もう少し別のアプローチはあり得るのではないかな、と思っているところである。

*3:実社会での自分のコミュニティとはかけ離れたところから誹謗中傷を浴びる著名人を基準とした「対策」と、実社会でのコミュニティ内の問題がそのまま顕在化するケース(たとえば学校内、職場内での「いじめ」の延長線上にある誹謗中傷等)への「対策」とでは、講じなければいけない手段も、啓発の方向性も、本来は全く異なるはずである。

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