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『テラスハウス』“やらせ”の有無や出演者ケアが十分だったのかBPOは審議すべき

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「放送倫理」のお目付け役、BPOの出番がやってきたと思う。

 今回のフジテレビ『テラスハウス』をめぐっては、木村花さんがSNS上で寄せられた心ない誹謗中傷によって精神的なダメージを受けて自殺に追い込まれたと見られるため、SNS上での誹謗中傷や名誉毀損などの行為をどのように規制できるのかが議論になっている。

 一方で焦点の一つは『テラスハウス』の番組制作側に問題がなかったのかどうかだ。

 「リアリティー」をうたいながら、一般的に“やらせ”と呼ばれるような“過剰な演出”はなかったのか。

 番組の宣伝などで、ドラマティックに視聴させるために「あおる」ような行為がSNSでなかったのかどうか。

 それが問われてくる。

 『テラスハウス』の“やらせ”問題では、先日、黒川前検事長の「賭け麻雀」問題をスクープして辞任に追い込んだ「週刊文春」が繰り返し報道してきた。

だが、これまでも同番組はその制作手法や“過剰演出”がたびたび問題視されてきた。

「週刊文春」(2014年6月5日号)では、同番組のディレクターらによる出演者へのセクハラやパワハラ、やらせ強要をスクープ。同年9月で番組はいったん終了した。

出典:文春オンライン(5月27日)「“強制わいせつ事件”も起きていた【テラスハウスの闇】 木村花さんを追い詰めた『過剰演出』と『悪魔の契約書』」

 刑法上罪に問われかねない“強制わいせつ事件”まで起きていたことが事実であれば、番組側がどこまで現場をコントロールしていたのか、あるいは放置していたのかが問われることになってくる。

「2014年12月、被害者のB子さんは1人で女子部屋で寝ていましたが、そこにA氏が侵入。B子さんのベッドに入り込み、キスを迫ったのです。キスの後で男女の関係を求めてきたA氏に対し、B子さんはA氏の頭を抱え、なだめることでその場を収めました。この日の夜は収録がなかったのですが、たまたま、シェアハウスにA氏とB子さんの男女1人ずつしかいないという状況になってしまったのです」(前出・番組関係者)

出典:文春オンライン(5月27日)「“強制わいせつ事件”も起きていた【テラスハウスの闇】 木村花さんを追い詰めた『過剰演出』と『悪魔の契約書』」

 『テラスハウス』を見る限り、様々な出来事が「カメラの前で」起きていることが分かる。

 出演者も番組制作する側も「カメラを意識」しながら、何らかの意味で「演じている」ことは事実だろう。

 週刊文春は、制作スタッフによる「誘導」があったという証言を報じている。

マネジャー抜きでメンバー全員がスタッフに集められていたこともあった。そこで全体的な流れや方向性を説明されていたことを後から演者に聞いて知りました。全体的な流れはスタッフが誘導していました。

出典:文春オンライン(5月27日)「“強制わいせつ事件”も起きていた【テラスハウスの闇】 木村花さんを追い詰めた『過剰演出』と『悪魔の契約書』」

 他方で、それを真っ向から否定するような報道もネット上では出ている。

ネット上では「やらせ疑惑」が報道されていますが、少なくとも私が出演していた『テラスハウス』にやらせは一切ありませんでした。

出典:AERA.dot(5月29日)「木村花さん出演の『テラスハウス』 元出演者が“やらせ疑惑”について実名告白」

 こうした中で制作するフジテレビは番組の休止を発表し、遠藤龍之介社長もコメントを発表した。

 『テラスハウス』はリアリティーショーであり、主に若者の恋愛を軸に、それにまつわる葛藤や喜びや挫折など様々な感情を扱うものですが、刻々変化する出演者の心の在り方という大変デリケートな問題を番組としてどう扱っていくか、時としてどう救済していくかということについて向き合う私どもの認識が十分ではなかったと考えております。

 以上のことを考慮したうえで、今回、既報の通り、同番組の制作、地上波での放送、およびFODでの配信を中止するとともに、今後、十分な検証を行ってまいります。

出典:FNNプライムオンライン

 制作していたフジテレビとして「今後、十分な検証」を行うとしている。

 放送倫理上の違反があったのかや出演者への心の問題へのケア不足がなかったのか。今後のフジテレビ社内の「検証」がしっかりしたものであれば明らかになるはずだ。

 放送関係者ならばピンと来るが、こういう流れになってくるとフジテレビの「検証」の次の段階が、番組の「放送倫理」の番人であるBPO(放送倫理・番組向上機構)が「検証」することになるのが今後予想される展開だ。

 「番組のお目付役」などと評されるBPOは、NHKと日本民間放送連盟が設立した自律的な放送倫理遵守のための組織で、法律を背景にした強制力を持っていない。このため、何か問題を検証するにあたっては当該の放送局の「協力」が絶対的に不可欠だ。

 フジテレビ自身が「検証」することになった以上、BPOの中にある3つの委員会のうち、「やらせ」や「不適切な演出」などのケースを担当する「放送倫理検証委員会」がいずれ審議する流れが出来たことは間違いない。

 では、BPOはこの問題をどのように扱うのだろうか。

BPOがこれまで指摘したリアリティーショーの「問題点」

 BPOはこれまでもリアリティーショーの問題点を指摘して注意喚起してきた。

特に本番組を視聴した子どもに、自分たちが将来大人になって生きていく実社会は、パワハラやセクハラを我慢しなければよい職が得られない場所である、という誤った観念を植え付けてしまう危険性があるのである。

セクハラ・パワハラに対する問題意識が広く社会的通念として確立しつつあるなかで、青少年への影響を考慮し、番組の中にセクハラ・パワハラを容認するような内容が含まれないよう、番組制作者は十分に注意されたい。

出典:BPO青少年委員会(2020年3月9日)「『リアリティショーを模したセクハラ・パワハラ場面を含むバラエティー番組』に関する委員長コメント」

 あるいはリアリティーショーそのものではなくとも、「リアル」を追求するバラエティー番組については個々のケースの審議に積極的な姿勢を示してきた。

委員からは「意欲的な番組であるが、もともと無理があったのではないか」「同局の番組に対して委員会が2014年4月に出した意見書(検証委員会決定20号)において指摘した背景や問題点との類似が窺われる。なぜ教訓が生かされなかったのか、再発防止策が生かされていたのか解明する必要がある」などの意見が出され、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。

委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

出典:BPO放送倫理検証委員会「ニュース・トピックス」(2020年5月15日)「フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』審議入り」

 リアリティーショーは、「台本がない」とか「ありのままのリアリティーを見せる」とうたいながら、すべてカメラの前でいろいろな人間ドラマが進行して撮影されていく。このため、どんなに「筋書きがない」と釈明しても、そこで起きる人間ドラマはある程度、出演者本人や制作者たちによって「カメラを意識された」ものだ。

 元々なんらかの「意図」や「作為」があって撮影されて編集されているものだと言える。

 そこで「演出」がどのように加えられていたのかについて焦点になってくるのが、実際にそれぞれのハプニングが出演者自身によって本当に自発的に起こされていたものか。それとも制作スタッフからの何らかの指示で起こしていたのかになってくる。

 木村花さんのケースでいえば、大事にしていたプロレスのコスチュームを同居人の男性が洗濯して小学生のもののように縮んでしまって彼女が激怒した場面が焦点になる。

 あのコスチュームをめぐる事件は、制作者側によって「演出」「指示」された結果として起きていたものだったのか。もしそうなら、放送倫理上も重大な問題になってくるに違いない。そこは「検証」が必要な点だろう。

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